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第二章

職人探し

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「10層攻略おめでとう。
あなた達二組が一番乗りよ」

「エロイカ先生、ありがとうございます。」

「まあ、男子の顔は酷いこと、だいたいの想像はつくけどね。」

「知ってたんですね。
オカ スミコ のこと」

「当然でしょ。教師なめないでね。
その為にパーティを男女混合縛りにしたのよ
スミコの『調教』は、女には効果ないからね」

「ああ スキルだったんだ。男子たち、スミコの足をペロペロ舐めてたんですよ。」

「やっぱりね。
男の子は………そうなのよ
まぁこれで、課題の10層クリアしたから、パーティメンバーの組み替えも自由よ」

「それじゃあ、早速
今のパーティは解散!
ジーナ キャロライナ テイルの女子3人でパーティ組みます。」

「それなら、ぼくらも、この男3人でパーティ組みます。」 





「『裁縫』スキル?わたしは持って無いわよ。」

ジーナ キャロライナ テイル の3人は、洋服店に来ていた。

「今ある服をほどいて、別の形にしたいんです。」

「そうすると、生地作りから仕上げ迄出来る人じゃないとダメよね。
ちょっと待って、先代に聞いてみるわ。
ちょっと店番してて」

「すみません、お手数おかけします」

しばらくして、店員さんは年配の女性を伴って来た。

「『裁縫』スキルを持ってる人を探してるそうですね。
それだったら、『かけはぎ屋』のシルク婆さんが、そのスキル持ってたと思うわ」

「あのー『かけはぎ屋』って何ですか?」

「あら?若い人は、知らないのね。今どきはあまり物を大事にしないからねぇ。
『かけはぎ』は『かけつぎ』と言う人もいるけど、破けた服を、元通りに修理する技術よ。
上手な人にかかると、どこを直したか、わからないくらいよ」

「ありがとうございます。勉強になります。
それで、そのシルクさんは、どこに行けばお会いできますか。」

先代さんは、私たちを表に連れ出して、地面に小枝を使って道順の地図を書いてくれた。


地図に従って、シルクさんの家を探して行く。

よろずお仕立て
かけはぎ 承ります
シルク

玄関脇に、小さな板に半分消えかかった看板があった。

「ごめんください。
シルクさんは、ご在宅ですか?」

「すみませ~~ん。シルクさんいらっしゃいますかぁ~~~」



「うるさいねぇ いったい何の騒ぎだい?」

「シルクさん『裁縫』スキルお持ちですよね。
それで、お会いしたいと思って来ました」

「だから何かい?仕事の依頼かい。」

「そうです。変態さん御用達の服を普段着に作り直したいんです。」

「ほおー それで」

「ここに居るキャロライナは、炎を纏うことで、爆発的な戦闘力を発揮します。だけど…」

「戦いが終わると、服が燃えて裸になる」

「な 何でそれを!」

「そんな、悩みを持った女が、前にもおったからな」

「えっ そうなんですか?」

「ウソついて 何の得がある。」

「それで どうなったんですか」

「どうもならんわ 金属で裁縫は、出来んのじゃて
普通の布は、たて糸とよこ糸を編み込んで作るのじゃが、その糸が上手く出来んのじゃ。
ほれ、出してみいその変態の服とやらを
持ってきておるんじゃろう」

テイルが袋からスミコの服を出した。

シルク婆さんは、天眼鏡虫めがねを出して服を調べた。

「やはりな、編んではおらん。金属の輪を組み合わせておる。
ほれ、見てみい。」

シルク婆さんは、天眼鏡と服を食い気味に覗き込んでたキャロライナに渡した。

「ホントだ。小さなリングが縦横に組合せてある」

キャロライナが、服と天眼鏡をジーナに、渡す

「それでじゃ、糸にならないから布にもならん、ハサミで切れんし、どうにもならんのよ」

「それでもこうして服として存在しているから、誰かが作ったんですよね。」

「鎖かたびらを知っておるか?あれはここまで小さな金属の輪ではないが、構造は、同じじゃな」

「それはどこで?」

「わしが知るわけなかろう」

「ですよね。おじゃましました。」







ジーナたちは、武器・防具の店にやって来た。

「鎖かたびらを作る職人ですか?
うちは、武器・防具を売る店なので、直接職人さんの所に行かれては困ります。
すみませんが、職人さんの斡旋は、お断りしております」

「では、この店で注文すれば良いのだろう。
オーダーメイド出来るのだな。」

「ある程度は可能です。伝説に成るような武器や防具で無ければ」

「特殊な金属を使って、高熱の炎でも燃えたり溶けたりしない服で、人前で恥ずかしく無い服が欲しいのよ」

「お客様、それは伝説クラスの防具ですよ。それをオーダーメイドで作れる職人は、この国中探しても居ませんよ。
申し訳ございませんが、当店では、お役に立てません」





「結局だめでしたね」

「キャロライナには、もう少しつうか、もうしばらくスミコの服で我慢してもらうしかないかな」

「え~~~っ これ走ったりキックの時にアソコに食い込んで痛いのよ。」

「そこを、身体強化すればどう」

「それやったら、逆に感度が良くなって、だめなのよ。
ちょっと擦れただけでもビリビリ感じちゃうの」



その日の夜、人がみな寝静まった頃、ユウト(ジーナ)は『転移』でシルク婆さんの所に行き、『裁縫』スキルを手に入れてきた。その際シルク婆さんの記憶を少し覗いて見ると、以前同様の目的で彼女の元を訪れたのは、教師のエロイカだった。

ユウトは、続けてロベルトの元にゆき、夢枕に立った。

「燃えない服を作りたくて錬金術師を見つけたい。探して欲しい」

ロベルトは寝ているので、一方通行にユウトが伝えるだけだ。
ロベルトが朝起きたときに、夢の記憶が残ってるはずだ。

ロベルトの隣で裸で寝ているマリーンを少し観察してから、毛布をかけてやり。
自分の部屋に戻った。
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