ルーザー

烏帽子 博

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新たな世界に

明日はデート

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「ちょっと、わたし一旦家に戻るわ」

「えっ うん。じゃ送るよ」

「一人でいいから!」

わたしは、マークを振り切るように、マークの家から飛び出した。
マークが喜ぶにしても、自分はあの格好は無理だ
恥ずかしすぎて顔から火が出そう。

家の近く迄来て、なんとなく公園に足を運んだ。

小さな子どもたちが遊んでいるのを、母親たちが、井戸端会議をしながら見守っている。

あの母親たちも、裸でエプロンするのかなぁ~
いやいや、子どもが居たらそれはないなぁ~
恋人限定、期間限定かな?

若いカップルがベンチでチュッチュしている。
そうね、あなたたちなら似合うかも

そう言えば、次のゲームが、まもなくだ、ミランダがウィナーになったら?
マークをあの娘絶対また誘惑する。
「わたしのこと好きにしていいわ」ってマークに言ってた。

マークが好き
マークが恐い
マークと居たい
マークを誰にも取られたくない

自宅に戻って、シャワーを浴びてから、ベッドにもぐりこんだ。
火照った体を自分で抱き締めた。
自分の胸を掴んでみると、熱くなってる。
あのコピーのレイバーみたいに大きければいいのになぁ
マークって普通の男性なの?
わたしがバージンだからわからないだけ?



いつからか涙が溢れ出していた。
泣きながら、起き上がり、シルビアにモニターから連絡していた。

「あらあら、恋人と感動の再会したはずの娘が、裸で泣いてるのはどうしたの?
乱暴でもされたの?」

わたしは、マークの家での事を話した。

「う~ん。わたしの感覚では、マークは変態とか異常とかじゃないと思うけど、レイは受け入れ難いってことよね。
エッチなレイバーも返品してくれたんでしょ。
レイとのために練習してたのよ。」

「練習? それでもなんか、ケダモノみたいに思えて。」

「マークは無理やり襲ってこなかったんでしょ」

「はい」

「優しいじゃない。
わたしの初めての時の彼はケダモノだったわよ。」

「えっ?そうだったんですか?それで」

「それから、何人かとつき合ったけど、やりたいだけの男ばかりだったわ。」

「ごめんなさい、知らなかったから。」

「いいのよ。わたしも性欲強めで、欲しがってたからそうなっただけよ。
所詮は人間も動物。体が成熟したら、異性を求めるものよ。」

「わたしは、未熟ですか?」

「ふふふ、それは自分の体と彼に聞いたら?
彼に抱かれる自分を想像してみて。
それであなたの体はどう反応するかしら?

それより、風邪ひかないでよ、グダグダ言ってないでベッドに行きなさいよ。」



シルビアとの通話を切ってから、ベッドに入って、話の内容を繰り返し思い出していた。

なんだかわたしの重大事件を、日常茶飯事みたいに軽く返事された気がして、ちょっと悔しかった。

ー レイ、まだ起きてる?ー

突然マークの声が頭の中に響いた
わたしは、平静を装って

ー なに、どうかしたの?ー

ー 明日、会えないかと思ってさ ー

ー 明日、やれないかって?ー

ー そんなこと言ってないよ、会えないかって言ったんだけど  ー

わたしは、体中が火照った。
そのことばかり考えていて、聞き間違えたのが恥ずかしすぎて、なにも言えなくなった。







ー レイ 何で黙ってるの?駄目かな?ー





わたしは気づかれないように平静を装おうとしたけど、少し声がうわずってしまう

ー い~ いいわよ、
ど どこかぁ 楽しい所行きたいなぁ~ ー

ー 魔獣ハントはどう?ー




聞いたことないワードだ

ー 魔獣ハント?ー

ー 街から出て、魔の森で、魔獣狩りをするんだ。
レイのスキルなら簡単すぎるかも知れないけど、色んな魔物が出てくるらしいよ。ー


やっと気持ちが落ち着いてきて普通に話せるようになった

ー マークも『マーク』スキル使って楽しめそうなとこね。ー

ー うん、前から行ってみたいと思ってたんだけど、最初はレイと一緒にと思って、まだ俺も行ったことないんだ。ー

ズキュン!
マーク 反則よ!
そんなこと言われたら、またドキドキするじゃない。

ー いいわ、連れてって ー

ー じゃ、明日朝迎えに行くね。おやすみレイ。

ー おやすみ、マーク。ー





ハァ~


寝られる訳がない


明日は、きっとマークと❤………


ダメよ~ダメダメ まだ早いわ


でも、念の為………


わたしは、どの下着がいいか、悩みに悩んだ。






朝になり「チュンチュン」と小鳥が鳴きだした。



結局、ピンクのTバックにした。

パンツが決まれば後は早かった。
ブラもピンクで飾りのないフロントホック
後は、色気は無いが森の中で動くのにいいような服を適当に選んだ。

「ピンポン」

「あっ ちょっと待って~」

わたしは、広げた下着をぐしゃぐしゃのままタンスに押し込んで、玄関に向かった。

そこでは、マークが白い歯を見せて微笑んで、手を広げていた。

「おはよう レイ」

わたしは、マークの顔を手で突っ張って

「朝っぱらから、やめてよ!」

「アハハ、やっぱ レイはこうでなきゃ」

わたしは、また体が熱くなったが平静を装った。

「ふざけるのは、おしまい。行きましよ」
と歩きだした。

「ちょ 待てよ~」

とマークは追いかけて来て、わたしの手を握った。

わたしは、もう振りほどこうとはしなかった。

シティカーの乗り場へと手を繋いで歩いた

全神経が手に向けられている。
マークの体温が伝わってくる。
私の手冷たいかしら?
マークはどう思ってるかしら?
緊張で繋いだ手に汗かいてきた。
恥ずかしい。どうしよう。


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