S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る

神谷ミコト

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謁見の間

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――帝都ガリレア城

 玉座からガリレア王がカインを見下ろしている。

 騎士が剣を構え今にもカインに斬りかかってこようとする。殺気を感じる。
 今日はミントさんとランチの約束をしていたのに…災難だ。カインがつぶやいた。



 その日は、朝から冒険者の数も少なかった。そういう日もあるだろう。

 ミントさんと明けの明星にランチに行く話をしていた。

 今日は久しぶりにギルドの書類業務に集中できそうだ。

 メンゼフさんが外から勢いよく入ってくる。

 「カイン。悪いが着いてきてくれ。」

 急ぎの要件なのだろう。はいっと言い、席を立つ。

 メンゼフさんと二人で走りながら、現状を説明してくれた。

 「イフリートのこと帝国議会で報告させてもらった。今は昔の書物から情報を探そうという動きになっていたんだが…おまえ姫様になにかしたか。」

 「いえっ姫様なんて会ったことも話したこともありあせんよ。」

 「そうか…おまえのことだから、なにかしたいんだろう。陛下が一目会いたいと言い出してな。電話でギルドにかけておまえを呼び出しても良かったんだが、誰に聞かれるか分からねえし、直接説明したほうが良いと思ってな。」

 「気を使わせて申し訳ないですが…ほんとうに記憶ありませんっ。」

 お姫様なんて見たことも話したこともない。断じて誓える。

 「いやいいんだ。まぁおまえのことだから、大丈夫だろうとは思うが、言動には注意してくれよ。」

 ガリレア城は帝都の真ん中に位置している。ギルドから走って数分の距離だ。

 城門に着く。

 「オレだ。これがさっき陛下が言っていたカイン。受付なんていい。ほらっカインいくぞ。」

 城に顔パスとはさすがメンゼフさんだ。

 「いいか。余計なことは言わなくていいからな。最低限で良い。イブのことも人間になれるとか言わなくていいからな。入るぞっ」

 大きな扉を開けて謁見の間に入る。

 玉座にはガリレア王が座していて、偉そうな大人が20人は並んでいるだろうか。

 「今連れてまいりました。こちらがカインです。」

 メンゼフさんが王座の前まで進み、片足をついて挨拶をする。

 カインもそれに合わせて片足を付いて頭を下げる。

 「面を上げてよい。急に喚び出してすまんなカイン。」

 「いえ、陛下お目にかかれて嬉しく存じます。」

 「勇者パーティにいたときよりも良い顔つきになったではないか。家出息子と聞いていたが、ポーン家としても鼻が高いだろう。なぁアルベルトよ。」

 アルベルトはポーン家の領主であり、カインの実父だ。

 アルベルトがええ。嬉しく思いますと陛下と答える。

 (父もいるなんて。最悪だな。すぐに終わらせてさっさと帰ろう。)

 「今日呼び出したのは火の精霊イフリートのことだ。余に見せてくれぬか。」

 返事をして、イフリートを呼ぶ。

 指輪が光りイフリートが現れ、カインの肩に止まった。

 イフリートを見た、大人たちがザワつく。

 「おおこれが、イフリートか。美しい…。どうやらメンゼフが言っていたことは嘘ではなかったみたいだな。」

 「陛下にうそをつくなんて…お戯れを。」

 メンゼフさんは普段ガサツだが、キッチリしている姿は始めてみた。ちょっと面白い。

 陛下がうなずく。

 「よい。カインありがとう。諸君精霊関係から諸々調べを進めてくれ。そして、議会の者は下がるように。」

 はっと言い、大人がぞろぞろと謁見の間から出ていった。

 これで帰れると思ったが、まだ開放してもらえないみたいだ。

 「実はの、カイン。余はお礼を言わねばならんのじゃ。」

 「陛下、私は、お礼を言われることなどなにもしておりません。」

 「まぁ待て。そう終わらせて帰ろうとするな。」

 ほれっ来なさいと言い、少女が陛下の横に現れた。

 「時にカインよ。この子に見覚えあるか。」

 高そうなドレスを着ているし。恐らくお姫様なのだろう。

 「いえ。記憶にございません。」

 「余の娘じゃ。以前カインに暴漢から助けられたと聞いての。娘がどうしても探してほしいとせがまれてのぅ。お礼を言いたくて今日は呼んだんじゃよ。」

 「おっお父様、それは言わない約束でしょっ。」

 目を見て思い出した、家を探していた日に路地で襲われていた子だ。

 「改めて、カイン様。わたし、ガリレア=ユナです。先日は助けていただきありがとうございました。」

 ユナが深々と頭を下げる。

 「頭を上げて下さい。そんな…お礼を言われること私はしておりませんっ。」

 「謙遜せんでもよい。カインお主は命の恩人だ。お主になにか褒美をやろう。なにか欲しい物はあるか。余ができることであれば、なんでも叶えてやるぞ。」

 変な汗が出てきた。

 欲しい物…今はギルドの職員だし、ともに働く仲間もいる。欲しい物は特に思い浮かばない。

 「陛下。ありがたいお言葉ですが、欲しいものはありません。今、ギルド職員として幸せに働いておりますので。」

 ふむと言い、陛下が立派に蓄えたひげを触っている。

 「何も要らぬと申すか。無欲なやつだ。父アルベルトとは大違いだなっ」

 陛下が豪快に笑う。

 偉い人が笑っている時にはどういう顔をしていいかわからない。何を言えば良いんだろうと悩んでいると陛下が言葉を続けた。

 「余からお願いじゃ。娘の専属の騎士になってはくれないかカイン。」

 高く評価されること自体はありがたいが、騎士になるとギルドで働くことを辞めなければならない。困った。無下に断ってギルドの立場が悪くなっても困る。

 「お父様。カイン様が困っていますわっ。そこまでは望んでおりませんっ。」と、ユナが口にする。

 「そうか。カインはポーン家の身だし、てっきりユナが結婚したいものかと思っておったわ。」

 陛下がわっはっはと笑うが、偉い人が言う冗談は笑えない。肝が冷える。横にいるメンゼフさんに目を向けると苦笑いしている。

 「冗談はさておき、週に1日でも良い。城に来てサナに魔法や剣を教えてやってくれんか。」

 …助けを求める目でメンゼフさんを見るが、それくらいだったら良いだろめんどくさいなと言う顔をしている。恐らく受けろということだろう。

 その矢先、後ろにいた騎士が発言する。

 「陛下、ご無礼を承知で進言させていただきます。このような放浪息子に姫様を任せるのは厳しいかと存じます。」

 「ふむ。サーレムの言うことも一理あるな。実力があれば、騎士は認めるということだな? よしわかった。予もカインの実力がみたい。サーレムお前とカインが決闘して証明せよっ。」

 おそらく専属騎士がユナに教育を施していたのだろう。プライドもあることもわかる。が、僕はやると言っていないし、戦う理由がない…が、とても言い出せる雰囲気ではない。

 女騎士はハッと返事をしてストレッチをしている。やる気満々だ。

 「カインも用意しろっ。この場で構わない。広場まで行くの面倒だからな。壊れては困るから剣だけでやってくれ。余が決闘の見届人になろう。」

 やるとは言っていないが、これは戦わざるをえない状況だろう。陛下はもしかすると楽しみたいだけではないだろうか。

 騎士は強い。陛下の直下に位置する部隊だ。弱いわけがないだろう。サーレムと言ったか、立ち振舞を見るに強いことが分かる。それに、殺気がすごい。めちゃくちゃ睨んでる。

 「分かりました。やりましょう。」

 「おいっ。いいのかカイン」

 メンゼフさんが小声で聞いてくる。もう状況的には引き下がれないだろう。

 剣に手をかける。

 陛下が声高らかに宣言する。

 「始めっ」

 騎士サーレムが勢いよく斬りかかってくる。

 カインは剣で受け、そのまま押し飛ばし距離を取る。

 (力ならこちらが優勢かな。まずは受けに回って観察しようっ。)

 騎士が飛びかかり剣を突く。

 サイドステップしてかわす。

 勢いそのままに反転して、横に剣を払うが、騎士がしゃがみ剣をかわす。

 たしかに強いし速い。ただ、怖さはない。これだったらまだルークのほうが強かった。騎士の攻撃は読みやすい。習得している型が一緒だからだろう。

 その後も騎士の剣撃が続くがなんなく受け流す。

 騎士が距離を取った。

 ―――くるっ

 騎士は声を上げ先程より速く剣を振りおろす。

 (恐らく、スキルを使ったな。スキルは強いがスキも大きい。チャンスだ)

 騎士との距離を息がかかるくらいの距離まで詰め、カインの剣の柄頭で騎士の柄をなぐる。

 騎士の手から剣が抜け、宙を舞う。

 カランカランと音がして剣が床に落ちた。

 「そこまで、勝者カイン。良いもの見せてもらったな。これでサーレムも文句ないだろう。」

 「は、はい……。」

 サーレムは落ち込んでいて言葉が出ないのだろう。こんなの騎士の戦いじゃない悔しいという顔をしている。その考えは正しいが僕は騎士ではないし正々堂々、魔物は戦ってくれない。

 「よしっそれでは毎週サナの教師として来てくれ。ギルドに直接依頼として出させてもらおう。どうも遊びが過ぎたみたいだ、会議の時間だ。みな下がってくれっ。」

 挨拶をして謁見の間を出る。

 「カイン様。すみません。巻き込んでしまって。こんなことになるとは思っていませんでしたの。」

 ユナが頭を下げてくれる。

 「いえ。ユナ様。驚きましたが、ギルドへの依頼と言われるとこちらも断れません。よろしくお願いします。」

 「カインさんって本当に良い人ね。これからもよろしくねっ。」

 そう言うとユナは騎士とともに去っていった。まだ騎士は睨んでいたが、それは気が付かなかったことにしよう。

 城を出てギルドに戻るため歩きだす。メンゼフさんが話しかけてきた。

 「カインのモテ体質もお姫様まで毒牙にかけるとは…おまえそっちの道で食っていけばとんでもないことになるぞ。」

 「なに冗談いってるんですかっ。ギルドにお金も落ちますし、週一であれば問題なくギルド業務もできると思います。メンゼフさん止めてくれないし、あせかきましたよっ」

 「まあたしかにそうだな。」メンゼフがつぶやく。

 詳細はまだわからないがギルドへの依頼であればギルドも潤う。

 「メンゼフさん早く帰らないとミントさんと明けの明星いけなくなります。走りましょ。」

 こいつは大物だわっとメンゼフがつぶやいた。
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