ないものねだり

相思相愛

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第2話

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そして塾の帰りである俺は声を掛けてきたクラスメイトのみんなとそのまま話していた。

「そういえば今日の授業も体育には出てなかったな。なんでだ?
俺にはそんなことする必要ないってか?」

面白半分で笑いながら男が質問する

しかし決してそういう意味で体育の授業のみ参加しないわけではない。
それを踏まえて俺は答える。

「半分正解かな。
確かに基礎体力は必要だけど弁護士にそれ以上は必要ないから。
だからその時間を法について勉強してるだけだよ。
時間を無駄にはしたくないからね」
そう言った言葉を自分にも言い聞かせた。

「さすがエリートは時間の使い方から違うぜ」

昔はあまりなかったが今では座学の家庭教師のみならず基礎体力向上をはかる体育の家庭教師も存在する。言わずもがなその家庭教師が俺の家にもくる。

いや、くると言うより住み込みでいるの方が正しいだろうか。

そして口ではそれ以外が必要ないわけではない。
ただ単に、



できないだけだ。



だって俺は、
普通では入学できない


Ω性。

この事は誰にも知られてはいけない。

俺の父はテレビでも出るぐらい有名な『春日法律事務所』の取締役で名前は『春日 治彦かすが はるひこ

彼にかかれば負ける裁判はないとされている。
そんな超エリートの父はもちろんα性であり、その息子である俺もα性でなければならない。もはやみんながα性だと思い込んでいる。

それがΩ性だと知られれば必ず何かしらの騒動は起こるだろう。

俺の父はそれぐらい国に名を轟かせているのだ。

俺自身そんな父を尊敬している。

そんな思いを侍らせながら
自身の右手を見てみると針は22時をさしていた。

クラスメイトと話しているとそこに1台ネオンの光を浴びながら注目を集めている黒のリムジンが俺の前で停まる。

そこから出てきた黒の燕尾服を纏う男
だが、その男はいつも迎えにくる若輩者ではなく、小じわが目立つ男だった。

「本日もお疲れ様です。励様。」


何故今日は運転手が違うのか疑問にも思ったがすぐに答えが分かる。


「そうか。今日は水曜か。」

誰にも聞き取れないぐらいの声を発して俺は目の前の車に乗った。



またこの時間がやってきた。

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