魔探偵探偵事務所

カクカラ

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1章5節 盤上の世紀末

1-8 (115話)

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シンは悲しい顔をすることもなく、嬉しい顔をすることもなくただ普通に振る舞っていた。
芦業あしなりという名前。見覚えのあった顔。
数年ぶりの再会。こんなにも変わっていた。
変な感じで再開するなんてソワソワしていて訓練どころじゃなかった。

「やっと思い出した?シン」
「ああ。悪いな、こんな形で会うなんて思ってなかったからさ」

照れ臭い感じが身体中駆け巡ってくる。
何年ぶりなのかわからない。
だけど、あの頃とそっくりだ。
姉と弟のような複雑な関係。赤の他人だが、その関係はまだ切れていなかったんだ。
不安が安心に変わった時、心の鎖が切れた。
信用できる人間がまた1人。
繋がるたびに仲間が増えていく。美沙も真織もそしてこの少女も。

「なぁ、それよりお前何で何も言わずに俺の前から消えたんだ?何かあったのか?」
「何も言わずに消えたのはゴメン。でも、これだけは言えないの。いくら魔探偵の息子だからってこの情報だけは言えない。だけど、これだけは言わせて。父親が探ってるある事件について知りたかったから私は去ったの、あの場所を」

ある事件とは何なのか。
シンが幼い頃に起きた事件の前に何らかの事件が発生していた。
その事に関しては全く知らなかった。
父親の転勤ではなく、特別任務とくべつにんむがあったために一緒について行ったという事になる。
どうしても知られてはいけない事があったのだろうか。
町に居ては危ないかもしれない。
そう思って何も言わずに去っていったのか。
でも、何か一言ぐらい言ってくれればよかった。
そのためにシンは人を信じきれなくなった。裏切られたと思いながら。

「あの場所で何かあったのか?それとも・・・」

その真相を知ろうとしていた瞬間、ガラガラと扉の開ける音が聞こえた。
2人は音のした方へ顔を向けた。
そこに居たのは医務室から戻ってきた美沙と真織だった。
何が起きたのかわからない。
男と女の関係だという思いからか2人は失礼そうな顔をして扉をゆっくり閉めた。
気まずい感じがよりただよってくる。

「・・・っておい!!閉めるなよ!!こいつとは何の関係もないんだからさ!!頼むから話を聞いてくれ!!」

引き止めようと大きい声で2人に誤解ごかいを解こうとする。
ゆっくりとまた扉を開けて再度確認する美沙と真織。
周りを確認する。シンとあの女の子。
何か関係しているに違いない。
やっぱりこれはあれなのかもしれない。だが、聞くしかなかった。
中に入って扉を閉めた。気まずい空気がどんどん漂っていく。
芦業は美沙と真織を見てシンに一言浴びせた。

「あんた、女の子に好かれてるんだ。意外だなーっ」
「好かれてないから。たまたまこうなっただけ」

そう。本当にたまたまなのだ。会ったのが女で、入れたのも女。
これは偶然だとしか思わない。でも、芦業からすればシンと美沙、真織が付き合っているんじゃないかと疑う。
これは三角関係なのではないかと。それに感づいたシンは違うと首を横に振った。
じゃあ、どんな関係なのかと疑問を持ち始める。
そして、美沙と真織も。この芦業とどんな関係なのか。
お互いに疑いをかける展開になってしまった。
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