魔探偵探偵事務所

カクカラ

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1章5節 盤上の世紀末

1-7 (114話)

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この女は何を言っている。
ちょっと頭が狂っているのか。
知っているような顔で堂々と話をしているようだけど、シンにとってはわからない。
消えた記憶なんてそうそう思い出せるもんがない。
むしろあんな事件があってから人との係わりを避けてきた。
だから知るわけがない。でも、そのまさかだった。知ったように言われるなんて。

「あんな泣き虫がこんなに成長してさ・・・何か似合わないな。いつもいじめられていた奴が今はこんなに立派になっていいねぇ」
「泣き虫・・・?いじめられてた・・・?・・・げっ!!」

何かを思い出していく内に何かがシンの記憶に触れてしまった。
「泣き虫」と「いじめ」いうワードに引っかかり、幼き頃の記憶が蘇ってしまった。
昔、この女と一緒のクラスに居た時の頃だった。
シンは男の中では唯一のいじめられていた人物だった。
毎日のようにからかわれ、物を取られる時もあった。
だが、何故かそれを見過ごせなかった人物がたった1人だけ存在していた。
いじめられていたら仲介ちゅうかいをするように割って入ってきて止めてくれた。
泣いていた時もめてくれた。頭を撫でてくれたり、嬉しい言葉をかけてくれたり。
いつでもポジティブに考えてくれていた人物がたった1人だけ。
だが、いつの間にかいなくなっていた。その年のクラス発表にその名前はなかった。
何故なのか問いただしたが、誰も知る人はいなかった。それからは何の連絡も逢う事もなくなった。
音沙汰おとさたもなく消えてしまった人間。それがまさか・・・目の前にいる人物だというのだろうか。
姿さえも変わってしまっているのにそれでもシンの事をわかっているなんてどこかが変わっていないのだろうか。
見た目なのか。それとも内面から出ている何かなのか。
はっきりとしないまま立ち尽くすシン。

「あの頃の方が可愛かったのに、今じゃ人すら受け入れないような顔して。何があったんだか。まあ、知ってはいるんだけど?でも、言わないよ。あんたに関わることなんだから。思い出したくないんでしょ?あの事件の事」

あの出来事でさえも知っている。何でも知っているような台詞せりふを言い返してくる女の子。
一体この感じは何だろうか。もやもやした気持ちと晴れたような気持ちと裏腹うらはらな気持ち。
すべてが入り混じっていて何が何だかわからない。
整理がつかないほどの混乱をしていた。だけど、知っている。
本当にあの時の女の子なんだな。
会えた喜びと会いたくなかった悔しさがにじみ出てくる。
手が震えて何を言えばいいかわからない。けど、冷静になればいいんだよな。
いつも通りでいいとシンは心を落ち着かせて女の子にこう言った。

「よぉ、芦業あしなり・・・。久々・・・だな」
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