魔探偵探偵事務所

カクカラ

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1章5節 盤上の世紀末

2-2 (120話)

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薄暗い雰囲気の中、2人は見つめあいながら話をしようとしている。
火花を散らしながらやる事でもないと思うが、伝言を任せられたのだから西崎は帰ろうとしても帰れる訳がない。
伝えなければ何されるかわかったものでもないし、言われてしまったら伝えに行く以外の方法もない。
どっちにしても西崎には転ばされるばかり。黛と猪野糸が使っていた机も今ではシンと西崎が座っている。
勉強を一時中断して2人を見つめていた。

「悪いな、勉強の邪魔させて。ちょっとの辛抱しんぼうだから待っててくれないか?こいつと話し終えたらどくから心配するな」
「心配してるのはあなたなんですけどね。岩城さんを置いていって寂しいそうなお人だ」

ふて腐れな台詞に毒がある。大人に向かって悪口まで言える立場になったのか!?
随分ずいぶんと偉くなったもんだな。ガキの分際でちょっと懲らしめてやろうっかな。

「用件は何です?」
「あの娘から伝言というより依頼を受けた。依頼内容も全部聞いている。何でもの依頼みたいだ」

身辺警護の依頼なんて意外な依頼。
警察にでも任せればいいものをどうして魔探偵に頼む必要があるのだろうか。それもシン本人に。
父親の権力で動かせば身辺警護することぐらいたやすい話。
出来ないということは何か事情があるのか。

「身辺警護って何?もしかして、あの四角くてフワフワの・・・」
「それは
「じゃあ、みんな必死にやる・・・」
「それは
「えっと、みんなで避難する・・・」
「それは。・・・ってなんでシャレなんだよ!!話そらしてんじゃないっての!!」

こんな形でシャレをぶっこまれても話す勇気ないわ。むしろ、帰りたい気分。
岩城の方がまだマシな性格なのに、ここにいるあのシャレ娘は寒すぎる。
よくこんな所に入れられたもんだ。
食べ物の事にしか頭にない奴って本当に目の前にいるんだな。

「さ、本題に入るぞ。今回は護衛の依頼だ。何でも今将棋界では多少の名の知れた人物。あの嬢ちゃんの依頼はその人物の護衛と保護になる」
「護衛と保護って・・・。警察がする仕事なんじゃないですか?何で私達に頼むんです?」

その台詞はあの嬢ちゃんに言ってほしい。
頼んできたのはあっちなんだから文句が言えない。
依頼を受けている以上断るという言葉は脳裏にはなくなる。
あいつの依頼となると俺まで関わってくるから断りづらいんだよ・・・。
本当にこいつの周りには変な問題児ばかりが揃ってて面倒なんだ。子守りなら魔探偵がすればいいものを・・・。

「依頼が僕宛だからでしょ。断りづらいのにも無理がありますよ。だって刑事という役職ですからね。市民を守れないんじゃ警察なんて肩書かたがき、使えないですもんね」

意外な場所で毒を吐きやがる。生意気な奴ほど後で後悔するんだ。
ひねくれ者にはそれなりの対処っていう物があるからな。
助けてくれと言っても助けてやんないよ。そこはこいつのやり方次第って事になる。

「で、その護衛をする人物っていうのは誰なんですか?」
「名前は星浮 央樹ほしうき おうき。今将棋界のルーキーで一番期待されているという人物だ。何でもここ最近、星浮の周りで不審な事が相次いでいるらしい。変な手紙が送られてきたり、星浮と同じルーキーの人間が1人怪我をしていて犯人が星浮なんじゃないかなんて噂されている。もちろん命を奪われる可能性もなくはない。一刻も早くこの茶番を終わらせてほしいとのご依頼で俺に言われたって訳よ」

こういうのは警察の仕事なのではないのか。
上層に話をつければいつだって護衛や保護だってしてくれるというのに。
何かあるから魔探偵に振ってきたのか。それとも別の意味でなのか。
依頼を受けている以上断りは一切出来ない。
本人が不在の状態で却下したらより怒りをぶつけてくる恐れもある。
何にしてもこっちに回ってくることは事実。やらなければいけなくなりそうだ。

「で、護衛は何人でやるんです?」
「護衛は5人だ。お前ら3人と依頼者である嬢ちゃん、そんで俺だ」
「5人?6人じゃなくてですか?」

その言葉には触れてほしくなかった。
はまだ回復どころか未だに気絶してる状態でもある。
一癖あるやつと仕事なんて俺は断じて嫌だな!1人で自由にしてる方が楽でいいわ。
弱腰刑事と一緒に行ったところでお荷物になりそうで仕方ないし、頼りもないし・・・。
どこにいい才能なんてあるんだ?ないようにしか見えない。
ただのオタクという代名詞だけは。
とりあえず今回は楽にやらせていただきましょうか。

「あ、そうそう。これ見せるの忘れてた」

内ポケットから何やら折り曲げてある紙を取り出して広げた。
これがあの変な手紙というのだが、何だか憎しみや恨みしかないような文字ばかりがありそうで怖い。
寒気がしそうで恐ろしくなる。
それを見た3人は依頼者である芦業が頼んできた理由を知ることになった。
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