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第一機動艦隊の苦境
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「長官、テニアンとグアムの飛行場が空襲を受けました」
水平線がようやく明るくなりはじめた海上を進みつつ索敵機が発艦する様子を見守る山口に佐久田は報告した。
「敵はマリアナ攻略をあきらめていないのか」
「そのようです。それと我々第一機動艦隊の位置が判明せず黎明でも確実に攻撃できるマリアナの航空基地を攻撃したのでしょう。基地航空部隊と機動部隊の両方を相手にするより片方を潰しておいたほうが楽に戦えますから」
冷静に佐久田は山口に伝えた。
実際スプールアンスが立てた作戦は佐久田の推測通りだった。
夕方までに日本軍哨戒圏ぎりぎりまで接近し夜間に全速接近。夜明け前に攻撃隊を発艦させ夜明けとともに島に殺到し空襲を敢行する。
ギルバード航空戦から米軍が使い始めた米軍の作戦であり、タラワやクウェゼリンでも使われていただけに予測は可能だった。
「陸上基地から航空隊が発進できるのに、どれくらい時間がかかる」
「滑走路の復旧に三、四時間は掛かるでしょう。敵の新たな空襲がなければの話ですが」
穴を埋め戻して発進するには時間がかかる。それに応急修理した滑走路は十分に機能しない。
滑走中に足を取られて事故を起こす機体が確実に出る。
ソロモン戦でも進出初日に急造の滑走路に脚を取られて保有機の半数を失った飛行隊もいる。
今後は着陸事故で失う機体が増えていくだろう。
「この一回で済むか?」
「いいえ」
佐久田も山口の空襲が一回で終わるとは思っていない。
「米軍はマリアナの航空基地から発進不能にしようとするでしょう。大規模空襲はこれ以上行われませんが、断続的な空襲は日没まで続くと考えるべきです」
少数でも飛来する度に退避する必要が出てくる。
掩体壕に隠した航空機を離陸させるためには駐機場に出して滑走路から発進させなければならない。そこを空襲で襲撃されたら何も出来ないまま破壊される。
少数なら掩体壕から飛びだたせる事が出来るが、わずかだし無傷の滑走路が必要だ。
米軍は滑走路を執拗に爆撃していくだろう。
「第一航空艦隊はあてに出来ないか」
「全力で迎撃するでしょうが、全ての空襲を阻止することは不可能です」
「マリアナに着陸させたのが痛いな」
夜間着艦で失われることを恐れて攻撃隊はマリアナの陸上に着陸させていた。
空母に着艦させるより陸上への着陸がやりやすいからだ。
しかし、このような状況、度重なる敵機の攻撃を受けていて発進不能となる。昨夜母艦に戻さなかったことが山口には悔やまれる。
「いえ、夜間着艦で機体の多くが失われたでしょう。夜間の長距離飛行で無事にたどり着ける機体も少ないですから。敵艦隊近くのテニアンやグアムに向かわせたことは、あの時点では正しい判断です」
佐久田の評価に山口は驚いた。
もう少し辛辣な評価を与えると思っていたのだ。よいしょしているかとも思ったがすぐに過ちであると気が付いた。
佐久田はただ公平に客観的に報告しただけだった。
自分の参謀の性格を把握できていない自分に山口はため息を吐いた。
「攻撃を続行しますか?」
だがそれも佐久田の問いかけがあるまでだった。
山口は本来の、周りから闘将と評価される闘志を見せて答えた。
「当然だ。敵機動部隊を発見次第、準備中の攻撃隊を発艦させる」
すでに敵艦隊発見に備えて全ての空母は攻撃隊の準備をしている。
三段索敵に自信があるのだ。
今攻撃すればマリアナへの攻撃隊を収容中の敵艦隊を攻撃できる可能性が高い。
ここで攻撃すればマリアナへの空襲を止めることも出来るので午後から第一航空艦隊の援護も期待できる。
「索敵機より報告! 空母を含む敵艦隊を発見しました!」
「攻撃隊発艦」
打てば響くような反応で山口は命じた。
すぐさま甲板で待機していた攻撃隊は全機発動機を回し飛び立っていった。
昨日の攻撃隊とほぼ同数。
ならば敵の空母群を攻撃隊は撃破できると山口は確信していた。
水平線がようやく明るくなりはじめた海上を進みつつ索敵機が発艦する様子を見守る山口に佐久田は報告した。
「敵はマリアナ攻略をあきらめていないのか」
「そのようです。それと我々第一機動艦隊の位置が判明せず黎明でも確実に攻撃できるマリアナの航空基地を攻撃したのでしょう。基地航空部隊と機動部隊の両方を相手にするより片方を潰しておいたほうが楽に戦えますから」
冷静に佐久田は山口に伝えた。
実際スプールアンスが立てた作戦は佐久田の推測通りだった。
夕方までに日本軍哨戒圏ぎりぎりまで接近し夜間に全速接近。夜明け前に攻撃隊を発艦させ夜明けとともに島に殺到し空襲を敢行する。
ギルバード航空戦から米軍が使い始めた米軍の作戦であり、タラワやクウェゼリンでも使われていただけに予測は可能だった。
「陸上基地から航空隊が発進できるのに、どれくらい時間がかかる」
「滑走路の復旧に三、四時間は掛かるでしょう。敵の新たな空襲がなければの話ですが」
穴を埋め戻して発進するには時間がかかる。それに応急修理した滑走路は十分に機能しない。
滑走中に足を取られて事故を起こす機体が確実に出る。
ソロモン戦でも進出初日に急造の滑走路に脚を取られて保有機の半数を失った飛行隊もいる。
今後は着陸事故で失う機体が増えていくだろう。
「この一回で済むか?」
「いいえ」
佐久田も山口の空襲が一回で終わるとは思っていない。
「米軍はマリアナの航空基地から発進不能にしようとするでしょう。大規模空襲はこれ以上行われませんが、断続的な空襲は日没まで続くと考えるべきです」
少数でも飛来する度に退避する必要が出てくる。
掩体壕に隠した航空機を離陸させるためには駐機場に出して滑走路から発進させなければならない。そこを空襲で襲撃されたら何も出来ないまま破壊される。
少数なら掩体壕から飛びだたせる事が出来るが、わずかだし無傷の滑走路が必要だ。
米軍は滑走路を執拗に爆撃していくだろう。
「第一航空艦隊はあてに出来ないか」
「全力で迎撃するでしょうが、全ての空襲を阻止することは不可能です」
「マリアナに着陸させたのが痛いな」
夜間着艦で失われることを恐れて攻撃隊はマリアナの陸上に着陸させていた。
空母に着艦させるより陸上への着陸がやりやすいからだ。
しかし、このような状況、度重なる敵機の攻撃を受けていて発進不能となる。昨夜母艦に戻さなかったことが山口には悔やまれる。
「いえ、夜間着艦で機体の多くが失われたでしょう。夜間の長距離飛行で無事にたどり着ける機体も少ないですから。敵艦隊近くのテニアンやグアムに向かわせたことは、あの時点では正しい判断です」
佐久田の評価に山口は驚いた。
もう少し辛辣な評価を与えると思っていたのだ。よいしょしているかとも思ったがすぐに過ちであると気が付いた。
佐久田はただ公平に客観的に報告しただけだった。
自分の参謀の性格を把握できていない自分に山口はため息を吐いた。
「攻撃を続行しますか?」
だがそれも佐久田の問いかけがあるまでだった。
山口は本来の、周りから闘将と評価される闘志を見せて答えた。
「当然だ。敵機動部隊を発見次第、準備中の攻撃隊を発艦させる」
すでに敵艦隊発見に備えて全ての空母は攻撃隊の準備をしている。
三段索敵に自信があるのだ。
今攻撃すればマリアナへの攻撃隊を収容中の敵艦隊を攻撃できる可能性が高い。
ここで攻撃すればマリアナへの空襲を止めることも出来るので午後から第一航空艦隊の援護も期待できる。
「索敵機より報告! 空母を含む敵艦隊を発見しました!」
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すぐさま甲板で待機していた攻撃隊は全機発動機を回し飛び立っていった。
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ならば敵の空母群を攻撃隊は撃破できると山口は確信していた。
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