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大西洋の戦い
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大西洋においてUボートが激しく船団を襲撃しているためイギリスに運び込める物資が少なく第八航空軍――イギリスに展開しているドイツ本土爆撃部隊への補給が不十分で活動できなかった。
彼ら英国派遣米軍より、イギリス国民数千万の食料の方が優先されるべきだからだ。
結果、第八航空軍の活動は低下しドイツの本土の工業地帯は大した被害を受けていない。
またドイツ空軍の防空部隊も健在で、彼らが連合軍の前に立ち塞がった。
「それもインド洋と太平洋に護衛艦艇を回しているからだ」
事実、マーシャルの言うとおり大西洋へ派遣される護衛艦艇が少なかった。
そのためUボートの攻撃は収まることがなく、船団の数とイギリスに着く船の数が少なかった。
「大西洋に艦艇を回せ」
「ダメです」
マーシャルの要請をキングは拒否した。
「日本軍は侮れません。太平洋は護衛艦艇を必要としています」
連合軍護衛艦艇不足の原因は、日本軍による通商破壊だった。
潜水艦の数はドイツに比べて少なかったが、空母機動部隊が加わるととんでもない脅威となっていた。
偵察機を出せるため、潜水艦以上の索敵能力を発揮するため、天候が良ければ500キロ以内の船団を全て把握し攻撃隊を出してくる。
襲われた船団は次々と九九式艦爆と彗星艦爆の急降下爆撃で護衛艦艇を含めて撃沈された。
Uボートに対して強力な護衛艦艇も航空機の攻撃には弱く貧弱な対空火器を展開しても攻撃を阻めず撃沈は免れなかった。
護衛艦艇が排除されれば、偵察機の通報で駆けつけた潜水艦や巡洋艦、駆逐艦が襲い掛かり船団の生き残りにトドメを刺した。
米軍の多い南太平洋はともかく、本土をドイツに脅かされているイギリス支配のインド洋は、投入できる連合軍兵力が少なく、日本機動部隊に蹂躙され、スリランカ島とソコトラ島を奪われている。
奪回には膨大な兵力が必要だが、遠すぎて派遣できない。
かといって見捨てるにもイギリス国王の冠に輝く最大の宝石インドからの物資と兵員はイギリスの生命線であり、インドから出てくる船団はイギリスが戦うために必要だった。
そのため護衛艦艇を割く必要があり、その護衛艦艇をアメリカがイギリスに供与する必要があった。
結果、大西洋に必要な護衛艦艇の不足をもたらし、Uボートを暴れさせた。
「だが大西洋も護衛艦艇が必要だ。ティルピッツやグラーフ・ツェッペリンを相手にするには戦艦や空母が必要だ」
四二年末に就役したティルピッツとグラーフ・ツェッペリンは大西洋における連合軍最大の脅威だった。
ティルピッツはノール・カップ――ノルウェー最北端の北岬周辺のフィヨルドに配置され北氷洋を進む対ソ連支援船団を襲撃していた。
特に航空作戦が問題で流氷が南下し航路が狭まる上、海が荒れ、日照時間が短くなり作戦飛行が不可能になる冬季は戦艦以外に護衛手段がない。
ティルピッツが出撃すると船団護衛は非常に危険であり、護衛のための戦艦のやりくりに連合軍は頭を悩ませた。
「特にグラーフ・ツェッペリンは酷い、先日も船団が一つ壊滅した」
ティルピッツ一隻でさえ頭が痛いのに、大西洋には更に大きな脅威であるグラーフ・ツェッペリンがいた。
日本の技術協力により建造されたグラーフ・ツェッペリンは一時建造が中断されたが再開され、四二年の秋に就役した。
日本軍のインド洋作戦に刺激され四二年末から北大西洋の通商破壊に参加。
Uボートと共に連合軍の船団を襲撃した。
航空機によって発見され、スツーカの急降下爆撃を受けた護衛艦艇は次々と撃沈され丸裸になった船団はUボートの餌食になった。
護衛空母から発艦したスピットファイアもグラーフ・ツェッペリンから発艦するメッサーシュミットMe109とフォッケウルフFw190に迎撃され、守り切れない。
大西洋の戦いの転換期とされた四二年後半――船団の護衛艦艇の増加、対Uボート戦術の改良、護衛船団方式の確立などにより商船の損害は急減しUボート撃沈数の増加という、好ましい状況だった。
だがグラーフ・ツェッペリンが投入された四三年は、インド洋の悲劇が再生産され、グラーフ・ツェッペリンの艦載機によって護衛艦艇が沈められUボートが息を吹き返し再び船団の撃沈数が上昇する暗黒期に突入した。
今年四四年に入ってグラーフ・ツェッペリン級二番艦ペーター・シュトラッサーの就役参戦もあり、連合軍は更に苦しい状況に置かれていた。
「空母機動部隊を回して貰えないか」
「ドイツ海軍など護衛空母で十分です」
マーシャルの要請をキングは却下した。
田舎海軍の空母などカサブランカ級で十分であり、数百機を同時運用する日本軍の方が脅威だ。
単艦による通商破壊と霧深い北海での不意遭遇戦に備えて、軽巡以上を撃退出来るだけの重武装と装甲を有するグラーフ・ツェッペリン級は、艦載機搭載数が五〇機以下と少ない。
二隻以上で行動することは殆ど無いためジープ空母――カサブランカ級などの護衛空母で十分に対抗出来るとキングは判断していた。
「ハンターキラーチームで十分に対応出来るでしょう」
「出来ていないから、護衛船団がやられるのだ」
Uボート狩りを行うハンターキラーチームをグラーフ・ツェッペリン狩りに転用していたが、速力が二〇ノットの上、小型であるジープ空母では取り逃がすことが多かった。
「ヨーロッパ戦線の為に空母を回し給え」
「太平洋戦線にもっと兵力を注力するべきです」
「ヨーロッパ優先だと決まっただろう」
「ヨーロッパはソ連に任せるべきです」
「共産主義国に任せるわけにはいかない」
キングとマーシャルの口論は激しさを増していった。
彼ら英国派遣米軍より、イギリス国民数千万の食料の方が優先されるべきだからだ。
結果、第八航空軍の活動は低下しドイツの本土の工業地帯は大した被害を受けていない。
またドイツ空軍の防空部隊も健在で、彼らが連合軍の前に立ち塞がった。
「それもインド洋と太平洋に護衛艦艇を回しているからだ」
事実、マーシャルの言うとおり大西洋へ派遣される護衛艦艇が少なかった。
そのためUボートの攻撃は収まることがなく、船団の数とイギリスに着く船の数が少なかった。
「大西洋に艦艇を回せ」
「ダメです」
マーシャルの要請をキングは拒否した。
「日本軍は侮れません。太平洋は護衛艦艇を必要としています」
連合軍護衛艦艇不足の原因は、日本軍による通商破壊だった。
潜水艦の数はドイツに比べて少なかったが、空母機動部隊が加わるととんでもない脅威となっていた。
偵察機を出せるため、潜水艦以上の索敵能力を発揮するため、天候が良ければ500キロ以内の船団を全て把握し攻撃隊を出してくる。
襲われた船団は次々と九九式艦爆と彗星艦爆の急降下爆撃で護衛艦艇を含めて撃沈された。
Uボートに対して強力な護衛艦艇も航空機の攻撃には弱く貧弱な対空火器を展開しても攻撃を阻めず撃沈は免れなかった。
護衛艦艇が排除されれば、偵察機の通報で駆けつけた潜水艦や巡洋艦、駆逐艦が襲い掛かり船団の生き残りにトドメを刺した。
米軍の多い南太平洋はともかく、本土をドイツに脅かされているイギリス支配のインド洋は、投入できる連合軍兵力が少なく、日本機動部隊に蹂躙され、スリランカ島とソコトラ島を奪われている。
奪回には膨大な兵力が必要だが、遠すぎて派遣できない。
かといって見捨てるにもイギリス国王の冠に輝く最大の宝石インドからの物資と兵員はイギリスの生命線であり、インドから出てくる船団はイギリスが戦うために必要だった。
そのため護衛艦艇を割く必要があり、その護衛艦艇をアメリカがイギリスに供与する必要があった。
結果、大西洋に必要な護衛艦艇の不足をもたらし、Uボートを暴れさせた。
「だが大西洋も護衛艦艇が必要だ。ティルピッツやグラーフ・ツェッペリンを相手にするには戦艦や空母が必要だ」
四二年末に就役したティルピッツとグラーフ・ツェッペリンは大西洋における連合軍最大の脅威だった。
ティルピッツはノール・カップ――ノルウェー最北端の北岬周辺のフィヨルドに配置され北氷洋を進む対ソ連支援船団を襲撃していた。
特に航空作戦が問題で流氷が南下し航路が狭まる上、海が荒れ、日照時間が短くなり作戦飛行が不可能になる冬季は戦艦以外に護衛手段がない。
ティルピッツが出撃すると船団護衛は非常に危険であり、護衛のための戦艦のやりくりに連合軍は頭を悩ませた。
「特にグラーフ・ツェッペリンは酷い、先日も船団が一つ壊滅した」
ティルピッツ一隻でさえ頭が痛いのに、大西洋には更に大きな脅威であるグラーフ・ツェッペリンがいた。
日本の技術協力により建造されたグラーフ・ツェッペリンは一時建造が中断されたが再開され、四二年の秋に就役した。
日本軍のインド洋作戦に刺激され四二年末から北大西洋の通商破壊に参加。
Uボートと共に連合軍の船団を襲撃した。
航空機によって発見され、スツーカの急降下爆撃を受けた護衛艦艇は次々と撃沈され丸裸になった船団はUボートの餌食になった。
護衛空母から発艦したスピットファイアもグラーフ・ツェッペリンから発艦するメッサーシュミットMe109とフォッケウルフFw190に迎撃され、守り切れない。
大西洋の戦いの転換期とされた四二年後半――船団の護衛艦艇の増加、対Uボート戦術の改良、護衛船団方式の確立などにより商船の損害は急減しUボート撃沈数の増加という、好ましい状況だった。
だがグラーフ・ツェッペリンが投入された四三年は、インド洋の悲劇が再生産され、グラーフ・ツェッペリンの艦載機によって護衛艦艇が沈められUボートが息を吹き返し再び船団の撃沈数が上昇する暗黒期に突入した。
今年四四年に入ってグラーフ・ツェッペリン級二番艦ペーター・シュトラッサーの就役参戦もあり、連合軍は更に苦しい状況に置かれていた。
「空母機動部隊を回して貰えないか」
「ドイツ海軍など護衛空母で十分です」
マーシャルの要請をキングは却下した。
田舎海軍の空母などカサブランカ級で十分であり、数百機を同時運用する日本軍の方が脅威だ。
単艦による通商破壊と霧深い北海での不意遭遇戦に備えて、軽巡以上を撃退出来るだけの重武装と装甲を有するグラーフ・ツェッペリン級は、艦載機搭載数が五〇機以下と少ない。
二隻以上で行動することは殆ど無いためジープ空母――カサブランカ級などの護衛空母で十分に対抗出来るとキングは判断していた。
「ハンターキラーチームで十分に対応出来るでしょう」
「出来ていないから、護衛船団がやられるのだ」
Uボート狩りを行うハンターキラーチームをグラーフ・ツェッペリン狩りに転用していたが、速力が二〇ノットの上、小型であるジープ空母では取り逃がすことが多かった。
「ヨーロッパ戦線の為に空母を回し給え」
「太平洋戦線にもっと兵力を注力するべきです」
「ヨーロッパ優先だと決まっただろう」
「ヨーロッパはソ連に任せるべきです」
「共産主義国に任せるわけにはいかない」
キングとマーシャルの口論は激しさを増していった。
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