56 / 83
連合軍の戦況
しおりを挟む
「さて、この結果はどういうことだね」
陸軍長官、海軍長官、陸軍参謀総長、海軍作戦部長、米軍の軍政、軍令の最高指揮官達を前にして車椅子の男は尋ねた。
「合衆国国民の代表者として、諸君らが率いる合衆国軍が、このような結果になったことを残念に思う」
彼らの上司、第32代合衆国大統領フランクリン・ルーズベルトに対して下を向いたままだった。
「ヨーロッパおよび太平洋の各戦線で大作戦を展開した。これが出来るのは我が国だけだ。その力を、世界最高の戦力を私は君たちに与えた。なのに何故失敗したのかね」
「マリアナはサイパンへの上陸に成功し、日本軍を撤退させました」
「日本軍の激しい抵抗を受けて完全占領していないのだろう」
発言した海軍作戦部長兼合衆国艦隊司令長官のキングを陸軍参謀総長のマーシャルが牽制した。
米軍はサイパン島に上陸したが、日本軍は地下陣地を作り上げており、抵抗していた。
日本軍が撤退したといっても航空部隊だけで、陸上の守備兵力は生き残っていた。
「グアムやテニアンへの上陸も進んでいない」
サイパン島上陸後にグアムとテニアンへ上陸する予定だったが、サイパン島の抵抗が激しいため、アメリカ軍は二島へ回せる兵力が無く上陸できずにいた。
「サイパンは日本軍の北部に追い詰めつつあります。数日の内には制圧出来るでしょう。グアム、テニアンへの上陸も間もなく行えます」
「サイパンだけでも死傷者が多い」
「ヨーロッパ戦線より少ない」
マーシャルの嫌みにキングは反論した。
トーチ作戦で北アフリカに上陸した米軍はロンメル率いる装甲軍により大打撃を受けてた。
上陸したもののドイツの降下猟兵がイタリアのフォルゴーレ空挺師団とイタリア海兵隊P大隊と共に大出血で奪ったマルタ島から出撃するドイツ空軍の攻撃。その援護を受けた船団が潤沢にロンメルの装甲軍を支援し、アメリカ軍を酷い目に遭わせた。
緒戦では一方的な攻撃を受け、アメリカ軍は壊滅し撤退した。
その報告にルーズベルトは「我々のボーイスカウトは戦争が出来るのか」と不安を述べた程だ。
幸い、海軍と空軍が反撃し事なきを得て反撃し北アフリカからドイツ軍を追い出した。だが、マルタ島が陥落しドイツ空軍の拠点となったためアフリカ大陸とシチリア島の間の制空制海権を最後まで取れず、ロンメルのアフリカ装甲軍二〇万は大部分がシチリアへの撤退に成功した。
その後のシチリア上陸作戦でもドイツ軍を逃し、イタリア戦線での苦戦と死傷者の増加を招いていた。
「確かに死傷者は多い。だが、それは総兵力が多いからだ。死傷率では太平洋の方が多い」
マーシャルは声を荒げて言った。
防御を固めた島々に上陸する太平洋戦線は艦砲射撃と航空部隊の支援を受けても上陸地点が限られるため、正面からの突撃を強要され、死傷者が多かった。
しかも、船で輸送される事が多いため上陸船団が攻撃を受けると、損害が大きくなる傾向があった。
「これ以上、陸軍師団は太平洋戦線へ送れないぞ」
スティムソン陸軍長官が言った。
既に人員1000万に及ぶ米陸軍を構築し管理している人物だ。
彼の目からしても太平洋戦線の死傷者数は多かった。
島々の戦いには海兵隊だけでなく陸軍兵力と航空隊が必要なため、キングは陸軍に協力しなければならない。
だが、やられっぱなしではダメだ、強く反論した。
「ノルマンディーの海岸から離れることが出来ないからですか?」
6月6日に始まったオーバーロード作戦――ノルマンディー上陸作戦は揚陸作戦艦艇4000隻、支援砲撃を行う戦艦などの軍艦を含めれば6000隻が投入され、作戦初日だけで15万の兵力が上陸した。
しかし、ドイツ軍の反撃により内陸部へ進撃できずにいた。
ノルマンディーの海岸に作った人工港マルベリーの建設に成功し橋頭堡と防衛線を構築したもののノルマンディー特有のボカージュ――生け垣の多い地形と武装SS第一二師団ヒットラーユーゲントの猛烈な反撃により前進できずにいた。
上陸一ヶ月後でも海岸線から20キロ以上離れる事が出来ず、ヨーロッパ第二捕虜収容所と敵味方の間で呼ばれる状態だった。
ちなみに第一は山がちで前進が遅々として進まないイタリア戦線である。
「護衛艦艇が少なく、船団の数が少ない。そのため第八航空軍が十分な爆撃が出来ないからだ」
マーシャル参謀総長は怒りを込めてキングに言った。
陸軍長官、海軍長官、陸軍参謀総長、海軍作戦部長、米軍の軍政、軍令の最高指揮官達を前にして車椅子の男は尋ねた。
「合衆国国民の代表者として、諸君らが率いる合衆国軍が、このような結果になったことを残念に思う」
彼らの上司、第32代合衆国大統領フランクリン・ルーズベルトに対して下を向いたままだった。
「ヨーロッパおよび太平洋の各戦線で大作戦を展開した。これが出来るのは我が国だけだ。その力を、世界最高の戦力を私は君たちに与えた。なのに何故失敗したのかね」
「マリアナはサイパンへの上陸に成功し、日本軍を撤退させました」
「日本軍の激しい抵抗を受けて完全占領していないのだろう」
発言した海軍作戦部長兼合衆国艦隊司令長官のキングを陸軍参謀総長のマーシャルが牽制した。
米軍はサイパン島に上陸したが、日本軍は地下陣地を作り上げており、抵抗していた。
日本軍が撤退したといっても航空部隊だけで、陸上の守備兵力は生き残っていた。
「グアムやテニアンへの上陸も進んでいない」
サイパン島上陸後にグアムとテニアンへ上陸する予定だったが、サイパン島の抵抗が激しいため、アメリカ軍は二島へ回せる兵力が無く上陸できずにいた。
「サイパンは日本軍の北部に追い詰めつつあります。数日の内には制圧出来るでしょう。グアム、テニアンへの上陸も間もなく行えます」
「サイパンだけでも死傷者が多い」
「ヨーロッパ戦線より少ない」
マーシャルの嫌みにキングは反論した。
トーチ作戦で北アフリカに上陸した米軍はロンメル率いる装甲軍により大打撃を受けてた。
上陸したもののドイツの降下猟兵がイタリアのフォルゴーレ空挺師団とイタリア海兵隊P大隊と共に大出血で奪ったマルタ島から出撃するドイツ空軍の攻撃。その援護を受けた船団が潤沢にロンメルの装甲軍を支援し、アメリカ軍を酷い目に遭わせた。
緒戦では一方的な攻撃を受け、アメリカ軍は壊滅し撤退した。
その報告にルーズベルトは「我々のボーイスカウトは戦争が出来るのか」と不安を述べた程だ。
幸い、海軍と空軍が反撃し事なきを得て反撃し北アフリカからドイツ軍を追い出した。だが、マルタ島が陥落しドイツ空軍の拠点となったためアフリカ大陸とシチリア島の間の制空制海権を最後まで取れず、ロンメルのアフリカ装甲軍二〇万は大部分がシチリアへの撤退に成功した。
その後のシチリア上陸作戦でもドイツ軍を逃し、イタリア戦線での苦戦と死傷者の増加を招いていた。
「確かに死傷者は多い。だが、それは総兵力が多いからだ。死傷率では太平洋の方が多い」
マーシャルは声を荒げて言った。
防御を固めた島々に上陸する太平洋戦線は艦砲射撃と航空部隊の支援を受けても上陸地点が限られるため、正面からの突撃を強要され、死傷者が多かった。
しかも、船で輸送される事が多いため上陸船団が攻撃を受けると、損害が大きくなる傾向があった。
「これ以上、陸軍師団は太平洋戦線へ送れないぞ」
スティムソン陸軍長官が言った。
既に人員1000万に及ぶ米陸軍を構築し管理している人物だ。
彼の目からしても太平洋戦線の死傷者数は多かった。
島々の戦いには海兵隊だけでなく陸軍兵力と航空隊が必要なため、キングは陸軍に協力しなければならない。
だが、やられっぱなしではダメだ、強く反論した。
「ノルマンディーの海岸から離れることが出来ないからですか?」
6月6日に始まったオーバーロード作戦――ノルマンディー上陸作戦は揚陸作戦艦艇4000隻、支援砲撃を行う戦艦などの軍艦を含めれば6000隻が投入され、作戦初日だけで15万の兵力が上陸した。
しかし、ドイツ軍の反撃により内陸部へ進撃できずにいた。
ノルマンディーの海岸に作った人工港マルベリーの建設に成功し橋頭堡と防衛線を構築したもののノルマンディー特有のボカージュ――生け垣の多い地形と武装SS第一二師団ヒットラーユーゲントの猛烈な反撃により前進できずにいた。
上陸一ヶ月後でも海岸線から20キロ以上離れる事が出来ず、ヨーロッパ第二捕虜収容所と敵味方の間で呼ばれる状態だった。
ちなみに第一は山がちで前進が遅々として進まないイタリア戦線である。
「護衛艦艇が少なく、船団の数が少ない。そのため第八航空軍が十分な爆撃が出来ないからだ」
マーシャル参謀総長は怒りを込めてキングに言った。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
【架空戦記】狂気の空母「浅間丸」逆境戦記
糸冬
歴史・時代
開戦劈頭の真珠湾攻撃にて、日本海軍は第三次攻撃によって港湾施設と燃料タンクを破壊し、さらには米空母「エンタープライズ」を撃沈する上々の滑り出しを見せた。
それから半年が経った昭和十七年(一九四二年)六月。三菱長崎造船所第三ドックに、一隻のフネが傷ついた船体を横たえていた。
かつて、「太平洋の女王」と称された、海軍輸送船「浅間丸」である。
ドーリットル空襲によってディーゼル機関を損傷した「浅間丸」は、史実においては船体が旧式化したため凍結された計画を復活させ、特設航空母艦として蘇ろうとしていたのだった。
※過去作「炎立つ真珠湾」と世界観を共有した内容となります。
If太平洋戦争 日本が懸命な判断をしていたら
みにみ
歴史・時代
もし、あの戦争で日本が異なる選択をしていたら?
国力の差を直視し、無謀な拡大を避け、戦略と外交で活路を開く。
真珠湾、ミッドウェー、ガダルカナル…そして終戦工作 分水嶺で下された「if」の決断。
破滅回避し、国家存続をかけたもう一つの終戦
そしてそこから繋がる新たな近代史へ
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
大東亜戦争を有利に
ゆみすけ
歴史・時代
日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を
もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら
俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。
赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。
史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。
もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる