ムスコの盗難

廣瀬純七

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消えたムスコ

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ある朝、俺は目を覚ますと、何かがおかしいことに気づいた。下腹部が妙に軽い。目を疑いながら布団をめくると、信じられない光景が広がっていた。

「…ない!?」

俺のペニスが、跡形もなく消えていたのだ。血の気が引いて、パニックが襲ってくる。夢だろうか?寝ぼけているんだろうか?何度も目をこすり、下を確認するが、やっぱり何もない。

混乱しながらスマホを手に取り、何かの手がかりがないかとニュースやSNSを漁り始めた。そのとき、見慣れない通知が届いた。

「オークションにあなたの出品物が追加されました。」

オークション?俺はそんなものに出品した覚えはない。気になってリンクをタップすると、驚くべきものが目に飛び込んできた。

「【本物・男性器】本日限定出品、最高入札者に発送いたします!」

俺の頭は一瞬で真っ白になった。画面に映る画像には、まさに俺のペニスが載っている。詳細な説明まで添えられており、「完璧な状態」とまで書かれている。

「ふざけんな…!なんで俺のがオークションに…」

急いでオークションの進行状況を見ると、すでに入札が開始されており、なんと信じられない高値がついている。さらに驚いたのは、入札者の中に見覚えのある名前があったことだ。

「え…嘘だろ?」

入札者リストには、先週別れたばかりの元カノ、ミカの名前があった。信じられない。あんな喧嘩別れをした相手が、俺のペニスを競り落とそうとしているなんて…。なんだこれは、悪い冗談か?俺は慌てて連絡を取ろうとしたが、ミカの電話は繋がらない。

オークションはあっという間に終了した。結果は――

「落札者:ミカ」

「…マジかよ」

俺のペニスは、元カノに落札されたのだ。

***

数時間後、焦りと混乱の中で必死に手がかりを探していた俺のもとに、ミカから一通のメッセージが届いた。

「あなたのもの、手に入れたわ。もう二度と返さない。じゃあね。」

簡潔で冷たいメッセージだった。俺は慌てて返信しようとしたが、すでに彼女のアカウントは削除されていた。まるで、最初から存在しなかったかのように。

ミカがどこへ行ったのかはわからない。彼女は俺の大事な部分を持って、消えたのだ。

絶望と喪失感が俺を襲う。あの日、些細なことから喧嘩をして、別れてしまったミカ。確かに、俺は彼女に酷い言葉を投げかけた。そして、彼女も俺の浮気で何度も深く傷つけられた。それでも、こんな仕打ちを受けるなんて、夢にも思わなかった。

「どうして…?」

答えはもう、知ることはできないだろう。俺のペニスは、元カノの手の中で、今もどこかに消えてしまった。

数年後、俺のスマホに元カノのミカによく似た男性と妻らしき女性と子供の写真が送られて来た。
メッセージに「あなたのムスコは元気です」と書いてあった。
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