入れ替わりのモニター

廣瀬純七

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元に戻る日のハプニング

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体が入れ替わってから、一週間。  
ついに今日、元に戻る日がやってきた——はずだった。  

「よーし、あと数時間でこの入れ替わり生活ともおさらばだ!」  

拓也の体の沙織が、解放感たっぷりの笑顔で伸びをする。  
しかし、目の前の沙織の体の拓也はソファーに沈み込んで、うつろな目をしていた。  

「……あれ、どうしたの?」  

「……お腹が痛い」  

「え?」  

「なんか下腹部がズーンと重いっていうか……あっ……これ……」  

沙織の体の拓也は、顔を青ざめさせたかと思うと、次の瞬間、顔を真っ赤にした。  

「……ちょっと、最悪かも」  

「え、え、何!? まさか体調悪いのか!? まさかインフルエンザに感染したの!?」  

「違う違う! そうじゃなくて……」  

拓也は一瞬ためらったあと、搾り出すように言った。  

「……**生理になったかも**」  

「は?」  

「だから、生理になっんだよ! 俺、今、沙織の体だから……つまり……」  

「…………」  

拓也の体の沙織は、数秒の沈黙のあと、ゆっくりと口を開いた。  

「……で、元に戻る方法って何だっけ?」  

「うん……入れ替わった時と同じ条件で、リラックスして深呼吸して……っていう感じだったよね……」  

「……リラックスできる?」  

「……無理」  

「だよね!!!」  

拓也の体の沙織が頭を抱える。  

「はぁぁぁぁ!? ちょっと待ってくれよ! せっかく元に戻れると思ったのに、**なんでここで生理なの!?**」  

「俺が聞きたいよ……」  

沙織の体の拓也はソファに崩れ落ちる。  

「お前……いつもこんな大変な思いしてたのかよ……ちょっと動くだけで腹痛いし、腰が重いし、イライラするし……なんか知らんけど甘いもの食べたくなるし……」  

「そうだよ!! 女って毎月こうなのよ!!!」  

「マジかよ……俺、今まで全然理解してなかったわ……」  

「……で?」  

「?」  

「どうするの? これじゃリラックスできないから、**しばらく入れ替わりは続行**ってことだよね?」  

「……だね……」  

二人は顔を見合わせ、同時にため息をついた。  

「……もう一週間くらい延長するの?」  

「いや……おそらく**最低でもあと三日、長ければ一週間かな……**」  

「はぁぁぁぁ!? そんなに!? もう無理だよ!!!」  

「俺が無理なんだよ!!! こっちは人生初の生理なんだぞ!!!」  

二人はソファでぐったりと倒れ込み、しばらく無言になった。  

「……なあ」  

「ん?」  

「俺たちって、これから一体どうなっちゃうんだろうな……」  

「……もういっそ、一生このままの方が楽なんじゃないの?」  

「それは絶対に嫌だよ!!!!」  

沙織の体の拓也が叫びながらクッションを投げつけ、拓也の体の沙織がそれを受け止めながら深いため息をつくのだった。  
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