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ニューフレームVR
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仕事が終わると、川田はいつものように同僚たちに軽く会釈をし、会社の自動ドアをくぐった。冬の冷たい風が頬をかすめたが、彼の心はそれに気を取られることなく高鳴っていた。スマートフォンの画面に表示された「ニューフレームVR」の予約情報を確認しながら、電車に乗り込んだ。
その施設は、駅から歩いて5分ほどの場所にあった。外見はシンプルなオフィスビルの一角だが、入り口の自動ドアには未来的な光のラインが施されており、どこか異世界への入り口のような雰囲気を醸し出していた。川田は緊張と期待が入り混じる中、足を踏み入れた。
受付に立つ若い女性が明るい笑顔で迎えてくれた。
「川田様ですね。本日は『性転換フルエクスペリエンス』プランをご予約いただき、ありがとうございます。」
彼女の声は柔らかく、まるでその空間全体が川田を包み込むような安心感を与えた。
案内された部屋は、未来的でありながら落ち着いたデザインだった。中央には流線形の白いカプセルが鎮座し、その内部に入ることでVR体験が始まるらしい。説明を受ける川田の目は、カプセルに釘付けだった。
「このシステムでは、身体感覚や声、さらには視界に至るまで、あらゆる要素を変えることができます。選択された体験の中で、完全に新しい自分を体験していただけます。」
川田は深く息を吸い込み、決意を固めた。ずっと心の奥にしまってきた「本当の自分」を、今こそ解放する時だ。彼は指先にわずかな震えを覚えながら、カプセルの中に足を踏み入れた。
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その施設は、駅から歩いて5分ほどの場所にあった。外見はシンプルなオフィスビルの一角だが、入り口の自動ドアには未来的な光のラインが施されており、どこか異世界への入り口のような雰囲気を醸し出していた。川田は緊張と期待が入り混じる中、足を踏み入れた。
受付に立つ若い女性が明るい笑顔で迎えてくれた。
「川田様ですね。本日は『性転換フルエクスペリエンス』プランをご予約いただき、ありがとうございます。」
彼女の声は柔らかく、まるでその空間全体が川田を包み込むような安心感を与えた。
案内された部屋は、未来的でありながら落ち着いたデザインだった。中央には流線形の白いカプセルが鎮座し、その内部に入ることでVR体験が始まるらしい。説明を受ける川田の目は、カプセルに釘付けだった。
「このシステムでは、身体感覚や声、さらには視界に至るまで、あらゆる要素を変えることができます。選択された体験の中で、完全に新しい自分を体験していただけます。」
川田は深く息を吸い込み、決意を固めた。ずっと心の奥にしまってきた「本当の自分」を、今こそ解放する時だ。彼は指先にわずかな震えを覚えながら、カプセルの中に足を踏み入れた。
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