高校生とUFO

翌朝の異変

翌朝、カオルは目を覚ますと、見慣れない天井が目に入った。部屋も妙に整然としていて、シンプルなインテリアが広がっている。さらに奇妙だったのは、身体の感覚がどこか違うことだった。

「…なんか、重いような…？」

ぼんやりと手を見下ろすと、自分の指とは思えない大きくてごつごつした手がそこにあった。驚きのあまり声を出そうとしたが、それも低くて男らしい声だった。

「嘘でしょ…？」カオルはベッドから跳ね起き、部屋の鏡の前に駆け寄った。鏡に映っていたのは、リョウの顔だった。カオルの脳裏に昨夜のUFOの記憶が蘇る。

「これって…夢じゃないよね…？」

同じ頃、リョウも自分の部屋で目を覚ましていた。目に入る髪の毛がいつもより長くて柔らかく、手足もどこか華奢だった。胸に違和感を覚え、恐る恐る手で触れてみると、思いがけない感触に思わず飛び上がった。

「なんで…カオルになってるんだよ！？」

大パニックになりながら、リョウは慌ててスマホを手に取り、カオルに連絡を試みた。すぐにカオルからの返信があり、「学校で話そう」とだけメッセージが届いた。

---

学校に着いた二人は、校門の前で顔を合わせた。リョウの体に入ったカオルが先に話し始めた。

「リョウ、これ…本当にどうしよう？」

「オレもわかんねえよ！昨日のUFOのせいかもしれないけど…なんでこうなったんだ？」

二人は自分たちの体を確認し合いながら、まるで信じられないというように視線を交わした。

「とりあえず、今日はお互いの振りをしなきゃいけないよね…？周りにバレたら困るし…」カオルが提案した。

「でも、どうやって？オレ、お前みたいに落ち着いた態度なんてできないし…」

カオルは少し微笑んで、「それはこっちも同じだよ。普段のリョウみたいに、いつも焦ったり怒ったりするのって難しいし」と冗談交じりに言った。リョウは少しムッとしたが、今はお互いに協力するしかない。

---

その日、二人はお互いになりきろうと努力したが、当然ながらぎこちなくて、クラスメイトから不思議がられることが多かった。リョウの体に入ったカオルが授業中に真面目にノートを取る姿に、友人たちは驚きの声を上げたし、カオルの体に入ったリョウは体育の授業で思わず大胆な行動をしてしまい、周りを騒がせた。

放課後、二人は校舎の屋上で再び話し合うことにした。

「こんな風に入れ替わってみて、改めてお互いのことがわかった気がするよ」カオルが遠くを見つめながら言った。

「そうだな…オレ、カオルってすごく冷静でしっかりしてると思ってたけど、いろんなこと考えてるんだな。逆にオレなんか、もっとしっかりしないとって気付かされたよ。」

その言葉にカオルは微笑んで、「それでもリョウの自由なところ、ちょっと羨ましかったよ」と言った。

二人は自然と笑い合い、元の自分たちに戻れる日を待ちながら、次の日もお互いの役を続けることにした。そして数日後、またもや青白い光が二人を包み込み、翌朝には元通りの自分に戻っていた。

その後も、二人は入れ替わりの経験を心の中に秘めながら、お互いをもっと理解し合った。何か特別な絆で結ばれたように、二人の関係は以前よりもさらに深まっていった。