入れ替わりノート

廣瀬純七

文字の大きさ
1 / 16

謎のノート

しおりを挟む
放課後の教室には、日が傾いて差し込むオレンジ色の光が広がっていた。  
高校2年生の北原歩美は、机の上に広げた教科書とにらめっこしていたが、どうにも集中できない。試験が近いのに頭に入るのは他のことばかり。  

「歩美、帰ろうよー!」  
背後から聞こえてきた明るい声に、歩美は振り返った。声の主は幼馴染の橘朋美だった。いつも元気で、どこか自由奔放な朋美は、教室の扉のそばでポニーテールを揺らしている。  

「ちょっと待って、これだけ終わらせたら――」  
歩美がそう言いかけたときだった。朋美が突然、教室の隅に目を留めた。  

「なにこれ?」  
朋美は小さなノートを拾い上げた。薄い茶色の表紙で、どこにでもありそうなものだったが、どこか古めかしい雰囲気を漂わせている。  

「捨てられてたのかな?」  
「そんなわけないでしょ。誰かの忘れ物じゃない?」  

朋美はくるりとノートを開いて中を見た。そして、眉をひそめる。  
「これ、変だよ。最初のページにこう書いてある。」  

朋美が読み上げた言葉はこうだった。  
「このノートに名前を書いた人は、他の誰かと入れ替わることができる――ただし、元に戻るには新たな名前を書き込む必要がある。」  

歩美は苦笑して、朋美の手からノートを受け取った。  
「何それ、まるで漫画みたい。誰かのいたずらでしょ?」  

しかしその夜、二人はこのノートがただのいたずらではないことを知ることになるのだった――。

--- 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

ボディチェンジウォッチ

廣瀬純七
SF
体を交換できる腕時計で体を交換する男女の話

リアルフェイスマスク

廣瀬純七
ファンタジー
リアルなフェイスマスクで女性に変身する男の話

未来への転送

廣瀬純七
SF
未来に転送された男女の体が入れ替わる話

リアルメイドドール

廣瀬純七
SF
リアルなメイドドールが届いた西山健太の不思議な共同生活の話

兄の悪戯

廣瀬純七
大衆娯楽
悪戯好きな兄が弟と妹に催眠術をかける話

処理中です...