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謎のノート
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放課後の教室には、日が傾いて差し込むオレンジ色の光が広がっていた。
高校2年生の北原歩美は、机の上に広げた教科書とにらめっこしていたが、どうにも集中できない。試験が近いのに頭に入るのは他のことばかり。
「歩美、帰ろうよー!」
背後から聞こえてきた明るい声に、歩美は振り返った。声の主は幼馴染の橘朋美だった。いつも元気で、どこか自由奔放な朋美は、教室の扉のそばでポニーテールを揺らしている。
「ちょっと待って、これだけ終わらせたら――」
歩美がそう言いかけたときだった。朋美が突然、教室の隅に目を留めた。
「なにこれ?」
朋美は小さなノートを拾い上げた。薄い茶色の表紙で、どこにでもありそうなものだったが、どこか古めかしい雰囲気を漂わせている。
「捨てられてたのかな?」
「そんなわけないでしょ。誰かの忘れ物じゃない?」
朋美はくるりとノートを開いて中を見た。そして、眉をひそめる。
「これ、変だよ。最初のページにこう書いてある。」
朋美が読み上げた言葉はこうだった。
「このノートに名前を書いた人は、他の誰かと入れ替わることができる――ただし、元に戻るには新たな名前を書き込む必要がある。」
歩美は苦笑して、朋美の手からノートを受け取った。
「何それ、まるで漫画みたい。誰かのいたずらでしょ?」
しかしその夜、二人はこのノートがただのいたずらではないことを知ることになるのだった――。
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高校2年生の北原歩美は、机の上に広げた教科書とにらめっこしていたが、どうにも集中できない。試験が近いのに頭に入るのは他のことばかり。
「歩美、帰ろうよー!」
背後から聞こえてきた明るい声に、歩美は振り返った。声の主は幼馴染の橘朋美だった。いつも元気で、どこか自由奔放な朋美は、教室の扉のそばでポニーテールを揺らしている。
「ちょっと待って、これだけ終わらせたら――」
歩美がそう言いかけたときだった。朋美が突然、教室の隅に目を留めた。
「なにこれ?」
朋美は小さなノートを拾い上げた。薄い茶色の表紙で、どこにでもありそうなものだったが、どこか古めかしい雰囲気を漂わせている。
「捨てられてたのかな?」
「そんなわけないでしょ。誰かの忘れ物じゃない?」
朋美はくるりとノートを開いて中を見た。そして、眉をひそめる。
「これ、変だよ。最初のページにこう書いてある。」
朋美が読み上げた言葉はこうだった。
「このノートに名前を書いた人は、他の誰かと入れ替わることができる――ただし、元に戻るには新たな名前を書き込む必要がある。」
歩美は苦笑して、朋美の手からノートを受け取った。
「何それ、まるで漫画みたい。誰かのいたずらでしょ?」
しかしその夜、二人はこのノートがただのいたずらではないことを知ることになるのだった――。
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