性転換入浴剤

廣瀬純七

文字の大きさ
9 / 10

お母さんになったお父さん

しおりを挟む
ある日、家族全員が忙しい中、お父さんは少し早めに帰宅した。最近仕事で疲れていた彼は、妻や娘たちが帰る前に、ゆっくりとお風呂に浸かってリラックスしようと考えた。

バスルームに向かうと、洗面台の上に見慣れない小さな入浴剤の袋が置かれている。「リラックス効果抜群」「ストレス解消」などの文字が書かれていて、見るからにリフレッシュできそうだ。

「これは娘が買ってきたのか?せっかくだし、使ってみるか。」

お父さんは特に気にせず、その入浴剤を湯船に投入した。湯気が立ち込め、部屋中に甘い香りが広がる。それに誘われるように、彼は服を脱いでゆっくりと湯船に浸かった。

「うーん、いい香りだ。これで疲れが取れるといいんだが…」

その瞬間、身体に違和感が走った。肌がチリチリと熱を帯び、体全体が徐々に変化していくような感覚。彼は驚いて体を見下ろしたが、何も異常はないように見える。しかし、次第に胸が膨らみ、腰が細くなり、手足の形も明らかに変わっていくのを感じた。

「なんだ…これは…?」

湯船から慌てて出て、鏡の前に立つと、そこに映っていたのは完全に女性の体だった。長い髪が肩にかかり、バストも腰の曲線もはっきりとした女性の姿。お父さんはパニックになりかけたが、現実は目の前にある。

「まさか、これが原因か…?」

入浴剤の袋を手に取って再確認しようとしたその時、娘の美咲が家に帰ってきた。

「ただいまー。あれ?お父さん、お風呂入ってるの?」

お父さんは慌ててバスローブを羽織り、戸惑いながら脱衣所から出てきた。

「美咲…お前が買った入浴剤、使ったんだけど…これは一体何なんだ…?」

美咲がその場に固まる。そして、状況を理解した彼女は急に笑い出した。

「ええっ!?お父さん、それ私が間違えて買った『性転換入浴剤』だよ!本当に使っちゃったの!?」

「性転換…だと?そんなのあるわけないだろう!」

お父さんは信じられないように叫んだが、美咲はさらに笑いを堪えながら説明を続けた。

「冗談みたいでしょ?でも本当に効くんだよね。友達が面白がって教えてくれたんだけど、まさかお父さんが使っちゃうとは思わなかった!」

お父さんは頭を抱えたが、鏡に映る自分の姿は、間違いなく「女性」だった。美咲はさらに興奮しながら続ける。

「でも、これってチャンスだよ!お父さん、せっかくならこのまま女の子体験してみない?ねえ、一緒にお出かけしようよ!女同士でショッピングとか!」

「何言ってるんだ…」

お父さんは戸惑いながらも、美咲の提案に少し興味を抱いてしまっている自分がいた。今の自分の姿を隠すのは難しそうだし、こうなった以上、一度くらい娘と「女同士」で過ごしてみるのも悪くないかもしれないと、どこかで考えてしまっていた。

「まあ、仕方ないな…一度だけ、付き合ってやるよ。」

こうして、お父さんは一日限りの「女性」として、娘との奇妙なショッピング体験をすることになった。

---

その日、家に帰ってきたお母さんは、お父さんがすっかり女性の姿で、楽しそうに娘と過ごしている様子を見て驚いた。すぐに事情を聞いて、二人で大笑いしたのは言うまでもない。

後日、お父さんは元の姿に戻ったものの、この奇妙な経験は家族の間で長い間語り継がれることになった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

兄になった姉

廣瀬純七
大衆娯楽
催眠術で自分の事を男だと思っている姉の話

兄の悪戯

廣瀬純七
大衆娯楽
悪戯好きな兄が弟と妹に催眠術をかける話

性転のへきれき

廣瀬純七
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

バーチャル女子高生

廣瀬純七
大衆娯楽
バーチャルの世界で女子高生になるサラリーマンの話

BODY SWAP

廣瀬純七
大衆娯楽
ある日突然に体が入れ替わった純と拓也の話

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

処理中です...