性転換入浴剤

廣瀬純七

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姉になった兄

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ある日、僕――いや、今は「私」と言うべきか――は美咲に手を引かれ、下着売り場を歩いていた。つい数日前までは普通の男子高校生だったのに、今ではすっかり「女の子」として振る舞うことになってしまったのだ。

---

数日前のこと。

「お兄ちゃん、最近疲れてるでしょ?今日は特別なお風呂に入って、リラックスして!」

妹の美咲が、にこにこしながらそう言った。彼女が手渡してきたのは、見たことのない入浴剤だった。「リラックス効果抜群」だとか、「ストレス解消」とか、そんな感じの謳い文句が書かれている。普段、あまりお風呂にこだわりはないけれど、美咲がせっかく選んでくれたのならと、特に疑わずにその入浴剤を使ってみることにした。

バスルームに入り、湯船に浸かると、確かに身体がじんわりと温まっていく。香りも心地よくて、リラックスできると思った――その時、妙な感覚が体に走った。

「ん…?なんかおかしい…?」

肌がピリピリと痺れるような感覚があり、目の前で自分の体が変わっていくのがわかった。胸が膨らみ、腰が細くなる。髪もどんどん長くなり、全体のバランスがまるで女性のように変わっていくのだ。

「な、何が起こってるんだ!?」

混乱の中、鏡に映る自分の姿は、明らかに「女性」だった。驚きと戸惑いでいっぱいだったが、その瞬間、美咲がバスルームの扉をノックして笑顔で言った。

「お兄ちゃん、びっくりした?それ、性転換入浴剤だよ!」

美咲は楽しそうに声をあげた。信じられない気持ちで、バスタオルを巻いて彼女の前に出たが、美咲は嬉しそうに僕の変わった姿をじっくりと見つめた。

「ほら、これで女の子になったんだから、もう『お兄ちゃん』じゃなくて『お姉ちゃん』だよね!」

「いや、何言ってるんだよ!こんなの…」

「大丈夫!すぐ慣れるって。それに、これを機に一緒に楽しめることがいっぱいあるよ。例えば、明日は一緒に下着を買いに行こっか?」

妹の明るさに圧倒され、何も言い返せないまま、その提案に流されてしまった。

---

そして今、僕――いや、私、美咲と一緒に下着売り場に来ていた。可愛いブラやショーツが並ぶ棚の前で、美咲が嬉しそうに色んなデザインを見せてくれる。

「ねえ、このピンクのフリルのやつ、すっごく可愛くない?」

「う、うん…」

こんな状況になるなんて思いもしなかったけれど、美咲は本当に楽しそうで、それに付き合わざるを得ない。試着室でブラをつけてみると、意外とフィットすることにまた驚いた。鏡を見ると、そこには完全に「女の子」になった自分が映っていた。

「ほら、似合うじゃん!これでお姉ちゃんも立派な女の子だね!」

美咲が満足そうに笑う。それを見ていると、少しずつだけど、この奇妙な状況にも慣れてきている自分がいた。

「これからもっと色々な女の子らしいこと、一緒に楽しもうね!」

美咲の言葉に、これからの生活がどうなるのかは全く想像もつかないけれど、少なくとも妹との距離がさらに近くなることは間違いなさそうだった。
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