とある会社の秘密の研修

廣瀬純七

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高橋先輩はAI?

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研修二日目。  

結衣——健一は、どうにも仕事に集中できずにいた。  

**(高橋先輩って、リアルの人間なのか? それともAIなのか?)**  

昨日、寮長から聞かされた言葉が頭から離れなかった。  

**「この世界には、人間が操作しているものと、AIが操っているものがあるのよ。」**  

そして——  

**「リアルの人間が操っているものでも、あなたのようにリアルの性別とは逆になっている場合もあるのよ。」**  

つまり、高橋先輩が「本物の人間」だったとしても、リアルでは女性の可能性がある……?  

そう思った瞬間、結衣は高橋先輩の顔をじっと見つめてしまっていた。  

「……中村?」  

「えっ!? は、はいっ!」  

突然名前を呼ばれ、結衣は慌てて姿勢を正す。  

目の前には、研修担当の**高橋和樹**。  

短く整えられた黒髪、引き締まった体つき、落ち着いた声。  

どう見ても「男」だ。  

「お前、今日はどうしたんだ? さっきからボーッとしてるし、仕事もミスばっかりだぞ。」  

「す、すみません……!」  

「いつもはもっと集中してるタイプだろ? 何か悩みでもあるのか?」  

「い、いえ! その……」  

言葉を濁しながら、結衣はまた高橋先輩の顔を見た。  

もしこの人がAIなら——。  
もしこの人がリアルの人間なら——。  
もしこの人がリアルでは**女性**だったら——!?  

「……お前、もしかして俺のこと気になってる?」  

「ええっ!? ち、違います!!」  

結衣は全力で首を横に振った。  

「いやいや、そんなに必死に否定しなくても……。」  

高橋先輩は苦笑しながら腕を組んだ。  

「……もしかして、お前さ。」  

「えっ?」  

「俺がAIなんじゃないかって疑ってる?」  

「……!!」  

図星を突かれ、結衣は言葉を失った。  

「やっぱりな。」  

高橋先輩は軽くため息をつくと、ニッと笑った。  

「**俺はAIじゃないよ。ちゃんとリアルの人間が操作してる。**」  

「……本当ですか?」  

「本当だって。お前、俺のことどんだけ疑ってるんだよ。」  

そう言われても、結衣の疑問は晴れなかった。  

**——リアルでは男なのか女なのか、それが問題なんだ……!**  

高橋先輩が「人間」なのは分かった。  
でも、リアルではどんな姿をしているのかは、まだ分からない。  

結衣は、思い切って聞いてみようとした。  

「じゃあ……先輩は、リアルでは……」  

「おーい、高橋! ちょっとこっち手伝ってくれ!」  

別の社員の声に遮られ、高橋先輩は振り向いた。  

「ああ、分かった!」  

そう返事をしてから、再び結衣の方を見た。  

「悪い、話はあとだ。」  

「あっ……」  

「とにかく、お前はもっと仕事に集中しろよ。じゃあな!」  

そう言い残し、高橋先輩はすたすたと去っていった。  

結衣は、その背中を見つめながら、ため息をつく。  

**——リアルの性別は、結局分からずじまいか……。**  

でも、もしかしたら——。  

**「高橋先輩は、本当はリアルでは……女?」**  

結衣の心に、新たな疑問が生まれた。  

**このバーチャルの世界には、まだまだ知らないことが多すぎる——。**
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