とある会社の秘密の研修

廣瀬純七

文字の大きさ
12 / 51

女性としてのリアルな体験

しおりを挟む
 
研修も四日目に入り、結衣——健一はようやくこのバーチャルの世界に慣れ始めていた。  

仕事にも少しずつ集中できるようになり、社員寮での生活もそれなりに快適だ。  

しかし、そんな中で寮長から告げられたある言葉に、結衣は思わず固まってしまった。  

「……え? もう一度言ってください。」  

「だから、この研修の目的のひとつに**『女性の立場をリアルに体験する』**っていうのがあるのよ。」  

寮長は落ち着いた表情で言う。  

「その一環として、あなたはこの三か月間で**三回、生理を体験することになる**の。」  

「……!!?」  

結衣は思わず椅子から立ち上がった。  

「せ、生理を体験する……!? ちょ、ちょっと待ってください! そんなことまで再現できるんですか!?」  

「もちろんよ。最先端の技術を駆使して、**ホルモンバランスや体調の変化までシミュレーションするシステムが組み込まれている**の。」  

「う、嘘でしょう……。」  

さすがにそれは聞いていなかった。  

バーチャルで女性の姿になることは理解していたが、まさかそこまでリアルに体験することになるとは——。  

「でも……痛みとかもあるんですか?」  

「個人差はあるけれど、基本的には**一般的な生理症状を体験できるように調整されてるわ**。」  

「お腹が重くなったり、腰が痛くなったり、イライラしたり……そういうのも全部感じることになるのよ。」  

「……マジですか。」  

結衣は呆然としながら、頭を抱えた。  

**(た、確かに女性の立場を体験するって言っても、そこまでやるのか……!)**  

「でも、安心してね。」  

寮長は優しく微笑む。  

「ちゃんと事前に通知が来るようになってるし、必要なものは社員寮で揃えてあるわ。」  

「え、必要なもの……?」  

「もちろん、**ナプキンとか鎮痛剤とか**よ。最初は戸惑うかもしれないけれど、ちゃんと周りに相談すれば大丈夫だからね。」  

「……。」  

結衣はゴクリと唾を飲み込んだ。  

このバーチャルの世界では、ただ見た目が女性になるだけじゃない。  

**"女性の身体"として生きることを、リアルに体験する研修なのだ。**  

そして、それは**避けられない現実**なのだ——。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

ボディチェンジウォッチ

廣瀬純七
SF
体を交換できる腕時計で体を交換する男女の話

未来への転送

廣瀬純七
SF
未来に転送された男女の体が入れ替わる話

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

ナースコール

wawabubu
大衆娯楽
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

処理中です...