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揺らぐ自己認識
しおりを挟む研修が始まって、すでに一週間が経過した。
最初は、自分の体が女性になっていることに戸惑い、歩き方すらぎこちなかった。
しかし今は、そんな違和感もすっかり薄れてしまっている。
**(もう、普通にこの体に慣れちゃったな……。)**
社員寮の自室で、結衣——健一は、ふと鏡を覗き込んだ。
そこに映っているのは、すらりとした女性の姿。
長く艶やかな黒髪、柔らかそうな肌、華奢な首筋。
**(俺……いや、私……?)**
自分を「俺」と呼ぶのも、なんだか違和感がある。
気づけば、座り方や歩き方も女性らしくなっていた。
スカートを履いていても、もう気にならない。
ヒールの靴だって、慣れてしまえば自然に歩けるようになった。
**(これが“順応”ってことなのか……?)**
研修初日には、シャワーを浴びるときすら恥ずかしくて仕方なかった。
けれど今は、そんな気持ちもほとんどない。
自分が「男だった」という意識が、少しずつ薄れてきている気がする。
「……ははっ、なんか変なの。」
結衣は苦笑しながら、そっと自分の頬を触った。
柔らかい肌の感触——それすら、もう当たり前のものに感じる。
**(このまま3か月過ごしたら、本当に自分が男だったことを忘れちゃうんじゃないか……?)**
そんな考えが、頭をよぎる。
**バーチャルの世界にいるのに、これはまるで「もう一つの現実」みたいだ。**
このまま、自分はどうなってしまうのだろうか——?
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