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試着室
しおりを挟む試着室の中で、結衣はそわそわしながら玲奈が選んだ下着を手に取った。
(……まさか、バーチャルの世界でこんなことをすることになるなんて。)
ここで過ごした1か月でだいぶ女性としての生活には慣れてきたものの、下着を選ぶという行為にはまだ抵抗があった。
(でも、玲奈がせっかく選んでくれたし……試しに着てみるだけなら。)
そう自分に言い聞かせて、着替えを始める。
――鏡の中には、ふわりとレースがあしらわれた可愛いデザインのブラとショーツを身に着けた結衣の姿があった。
「……」
思わず、じっと見つめてしまう。
(意外と……似合ってる?)
可愛いものを身に着けると、それなりに気分も変わるのか、いつもより少し女性らしく見える気がした。
そのとき――
「結衣~! どう? 似合ってる?」
試着室の外から玲奈の楽しそうな声が聞こえた。
「えっ!? い、いや……まあ……その……」
「何よ、はっきりしないわねぇ! ちょっとカーテン開けて見せてみなさいよ!」
「む、無理!!」
結衣は慌ててカーテンを押さえた。
玲奈はくすくすと笑いながら、「ま、気に入ったなら買っておきなさいよ? 女子力アップよ♪」と軽い口調で言う。
(女子力……かぁ。)
バーチャルの世界とはいえ、こうやって服や下着を選ぶことが“当たり前”になっている自分に、結衣は改めて驚いた。
でも、デートで健一に「可愛い」と思ってもらえたら、少し嬉しいかもしれない――。
そんな気持ちが心のどこかに芽生えているのも、否定できなかった。
(……なんだか、本当に女性になっていくみたいだな。)
少し複雑な気持ちを抱えながらも、結衣は玲奈が選んでくれた下着をそっとカゴに入れるのだった。
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