とある会社の秘密の研修

廣瀬純七

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研修も残り一か月

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### **第四十二章 「ずっとここにいることもできる……?」**  

研修が始まって二か月が経った。  

バーチャルの世界での生活にもすっかり慣れ、結衣としての日々が当たり前のものに感じるようになっていた。  

朝起きて会社に行き、仕事をこなし、寮に帰る。週末は玲奈や他の寮生と遊んだり、健一とデートをしたり――まるでリアルの人生そのもののようだった。  

そんなある日、仕事を終えて寮の談話室で玲奈と二人でお茶をしていると、彼女がふと口を開いた。  

「結衣、研修もあと1か月だけど……その後のこと、考えてる?」  

「その後……?」  

「うん。バーチャルの世界での生活を終えて、リアルに戻るのか、それとも――」  

玲奈はカップを置き、真剣な眼差しで結衣を見つめた。  

「この世界に残るのか。」  

結衣は一瞬、玲奈の言葉の意味が理解できず、思わず聞き返した。  

「えっ? でも、研修が終わったらリアルに戻るんじゃ……?」  

「普通はそうね。でも、あなたが希望すれば、これから先もずっとこの世界で生活することができるのよ。」  

「えっ……?」  

驚いて玲奈を見つめる。  

「バーチャルの世界は、ただの研修用の仮想空間じゃないの。ここでの生活を選びたい人のために、本当の“もう一つの現実”として存在してるの。」  

「もう一つの……現実……?」  

「あなたがここでの生活を続けたいと思えば、正式にこの世界の住人になることができるのよ。だから、この世界で結婚しても全く問題ないの。」  

玲奈は微笑みながら続けた。  

「むしろ、ここにずっと住んでる人たちはたくさんいるわ。AIもいるし、リアルの人間もいる。違いなんて、もうほとんどないのよ。」  

結衣は目を見開いた。  

(バーチャルの世界に……ずっと?)  

これまで、研修が終わればリアルに戻るものだと思っていた。  

でも――。  

玲奈の言葉を聞いて、結衣は改めて考えた。  

(もし、ずっとここで生きるとしたら……私はどうする? 健一との関係は? 玲奈や会社の仲間たちとの日々は?)  

胸の奥がざわめくような感覚に、結衣はしばらく何も言えなかった。
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