不思議な温泉

廣瀬純七

文字の大きさ
1 / 5

謎の秘湯

しおりを挟む
昔々、日本の山奥には「ペニス取れ温泉」という奇妙な名前の温泉があるという噂があった。あまりにも奇妙すぎて、誰も本気にはしていなかったが、その温泉を一度訪れた人は皆、二度とそのことを口にしなかった。それどころか、その話題を避けるかのように暮らし始めたのだ。

この奇妙な噂に興味を持った青年、健二は冒険心に駆られ、その温泉の真相を確かめようと決意した。健二は友人たちにこの話をしたが、誰も行こうとはしなかった。仕方なく彼は一人で山道を進み、噂の温泉を探し始めた。

温泉への道は険しく、周囲には立ち枯れた木々や、かすかな湯気が漂っていた。夕方になると、ついに彼は温泉の入口にたどり着いた。そこには古びた看板が立っており、「ペニス取れ温泉」と書かれている。看板には小さな文字で「入浴は自己責任」とも書かれていた。

「まさか、こんな名前の温泉が本当にあるなんて…」と健二は呟いた。しかし、彼は好奇心を抑えきれず、温泉に入ってみることにした。温泉の湯は不思議な色合いをしており、薄い青白い光を帯びていた。湯に手をつけると、驚くほど滑らかで心地よい感触だった。健二は恐る恐る服を脱ぎ、湯に浸かり始めた。

最初は普通の温泉と変わりない感覚だったが、突然、下腹部に妙な違和感を覚えた。何かがふわりと湯の中で浮かび上がるような感触だった。慌てて湯の中を覗き込むと、信じられない光景が目に飛び込んできた――なんと、自分のペニスが湯の中でプカプカと浮いているではないか!

健二は目を疑ったが、確かにそれは自分の体から外れてしまっていた。驚きと恐怖で体が硬直する中、ペニスはゆっくりと湯に沈んでいき、ついには見えなくなってしまった。

「え!?どういうことだ!?これ、本当なのか!?」健二は湯から飛び出し、慌てて自分の体を確認した。しかし、驚いたことに、彼の体には何の違和感もなかった。むしろ、すべてが元通りのように感じられた。不安に駆られながらも、健二は再び湯に浸かり、しばらく待ってみることにした。

その時、湯の底から再び何かが浮かび上がってきた。それは…健二のペニスだった。しかも、元の場所に自然と戻っていき、まるで何事もなかったかのようにくっついてしまった。

健二は何が起きたのか全く理解できなかったが、どうやらこの温泉では一時的にペニスが外れて、湯に浮かぶ現象が起こるらしかった。そして、温泉から上がると自然に戻るという不思議な力が働いているのだ。

その後、健二は温泉を出て、二度とそのことを口外することはなかった。やはり噂通り、この「ペニス取れ温泉」に来た者は皆、この奇妙な体験を語らないのだろう。そして、健二もまた、温泉の秘密を胸に秘めたまま、元の生活に戻っていった。

**教訓:** どんなに興味をそそる場所でも、奇妙な噂には耳を傾けるべきだ。しかし、もしも山奥で「ペニス取れ温泉」を見つけたとしても、くれぐれも入浴は自己責任で…。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

性転のへきれき

廣瀬純七
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

令和の俺と昭和の私

廣瀬純七
ファンタジー
令和の男子と昭和の女子の体が入れ替わる話

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

BODY SWAP

廣瀬純七
大衆娯楽
ある日突然に体が入れ替わった純と拓也の話

ボディチェンジウォッチ

廣瀬純七
SF
体を交換できる腕時計で体を交換する男女の話

バーチャル女子高生

廣瀬純七
大衆娯楽
バーチャルの世界で女子高生になるサラリーマンの話

処理中です...