性転のへきれき

廣瀬純七

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人生も入れ替わる

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「いい?裕人はこっちの家で私はこっちの家だからね!」
二人の家は隣同士だった。幼い頃はお互いの家を自分の家の様に出入りしていたのでお互いの両親も二人を自分の子供の様に思っていた。
「ただいまーっ!」
美月になった裕人が美月の家のドアを開けて中にはいった。それを見届けた美月も
「ただいまーっ!」と言って裕人の家のドアを開けて中に入ってドアを閉めた。
「美月おかえりーっ」
奥のリビングから美月の母親の声がした。裕人は階段を上がって二階にある美月の部屋に入った。
「あっ、美月の部屋だ。久し振りだなーっ、多分、中学ニ年の時以来だな」
すると突然、
「美月いるーっ!」
玄関から裕人の声がした。
「裕人くん?美月は二階にいるわよ!」
奥のリビングから美月の母親の声がした。
トントントントン!
美月が階段を勢良く駆け上がって裕人がいる美月の部屋に入った。
「裕人、ちょっと待って!」
美月が裕人の前に立って言った。
「えっ、なんだよ!美月っ、」
「着替えは私がやるからね!」と美月は言ってタオルを裕人に手渡した。
「何これ?」
「目隠しよ!だって私の体を裕人に見られるのは恥ずかしいからこれを着けて!」
美月にそう言われて裕人は渋々タオルで目を隠した。

美月の体になった裕人は女の子としての生活に慣れるのに大変だった。女性の下着を着けるのも大変だったが裕人は美月に必ずメイクをして登校する様にきつく言われていたのでそれに慣れるまではとても大変だった。
運動が得意な浩人は美月の体に変わっても体育の授業は全く問題はなかった。
「美月の運動神経ってそんなに良かったの?」美月の友達の美咲が不思議そうな顔で尋ねた。
「うん、元々運動神経は良かったんだけどもっと勉強を頑張りなさいって言われていたからね!」
「ふーん、そうなんだ」美咲は美月の答えに納得した様だった。
裕人は美月にノーブラなのがバレた時には酷く怒られた。そして相変わらず勉強の方は全く駄目だった。美月の様に女らしく振る舞う事も全く出来なくて急にお転婆な女の子になってしまったので周りの人達は困惑していた。
一方、裕人の体になった美月は運動の方は駄目だったがテストでは毎回優秀な成績を収めていたので担任の先生には褒められた。逆に美月になった裕人はお転婆が過ぎて度々教師には注意をされた。そしてクラスメイトの中には二人が入れ替わっているのではないかと噂をする者もいた。
7月の下旬になり学校は長い夏休みに入った。
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