魔法の本

廣瀬純七

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入れ替わった二人

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### 戸惑いの中で  

タケル(ジュンの体)は動揺しながらも、教室の自分の席に座る「タケル」をじっと見つめた。彼の体にいるジュンは、何かに気づいたようにタケルと目を合わせた。  

「…ねえ、あんた、タケルでしょ?」  
ジュン(タケルの体)が小声で尋ねてきた。  

「お前、ジュンなのか?」  
タケルも慌てて答える。  

「どうしてこうなったの?」  
「俺が知りたいよ!」  

周囲のクラスメートが怪訝な目で二人を見ていることに気づき、ジュン(タケルの体)は小さくため息をついた。  

「とりあえず、どっか人目のない場所に行きましょ。」  
タケルは頷き、二人でこっそり教室を抜け出した。  

***

### 真相を探る  

図書館の隅の誰も来ないスペースにたどり着くと、タケルはことの顛末を急いで説明した。  

「放課後に見つけた古い本に呪文が書いてあって、それを唱えたんだ。でもこんなことになるなんて思わなかった…。」  

ジュンは腕を組み、険しい顔で聞いていたが、途中で大きなため息をついた。  
「本当に呪文を唱えたの?そんなの、普通やらないでしょ。」  

「いや、面白そうだったから…。」  
タケルは申し訳なさそうに目を逸らした。  

ジュンはタケルの頭を軽く叩いた。  
「とにかく、その本をもう一度見てみるしかないね。どこにあるの?」  

「たぶん、あの棚に…。」  
タケルが本を置いた棚を指差したが、そこには何もなかった。  

「え?ないじゃん!」  
ジュンが声を上げると、二人は顔を見合わせてさらに焦った。  

***

### 謎の司書  

その時、図書館の奥から古風な眼鏡をかけた女性が姿を現した。長いローブのような服装に、どこか普通の司書とは違う雰囲気を漂わせている。  

「あなたたち、何を探しているの?」  
静かな声で尋ねるその女性に、タケルは思わず尋ねた。  

「昨日ここで見つけた古い本がなくなってて…。」  

女性は意味深に微笑むと、小さな声でこう告げた。  
「あの本を開いたのね。なら、元に戻すにはもっと深い覚悟が必要よ。」  

ジュンが食い下がった。  
「どうすればいいんですか?元に戻りたいんです!」  

女性は棚の奥から別の本を取り出し、二人に渡した。そこには、さらに複雑な呪文と、「真実の絆が試される」とだけ書かれていた。  

「時間が経つほど、入れ替わりは固定されてしまうわ。急ぎなさい。」  

二人は顔を見合わせ、決意を固めた。  

「絶対に元に戻ろう。」  
「ええ、責任とってよね!」  

***

こうしてタケルとジュンの、元の体を取り戻すための冒険が始まった。しかし、それは単に呪文を解くだけではなく、二人の間の信頼と理解を試す試練の旅でもあった。
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