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温水プールでのドタバタ
しおりを挟む水着に着替えたタケル(ジュンの体)、ジュン(タケルの体)、美咲(健一の体)、健一(美咲の体)の四人は、更衣室から出るなり、どこかぎこちない様子だった。
「おいタケル、歩き方が男っぽい!ジュンの体なんだから、もうちょっとしとやかにしてくれないと!」
ジュン(タケルの体)が注意するが、タケルは肩をすくめて答えた。
「だってこういう歩き方のほうが楽なんだよ。ヒール履いてるわけでもないしさ。」
「それはそうだけど…まったく、見られたら怪しまれるってば。」
ジュンはため息をつきつつも、自分の体が他人に動かされているという奇妙な感覚にモヤモヤを抱えていた。
一方、美咲(健一の体)はプールサイドで派手に転びそうになった健一(美咲の体)を支えながら声を上げた。
「ほら健一、ちゃんと女の体のバランス考えてよ!そんな勢いで走ったら転ぶって!」
「だってこんな軽い体、動きやすいんだもん…って、あっ、待て!」
その瞬間、健一の体になっている美咲が大きく目を見開いた。
「何?」
タケルが尋ねると、美咲は少し赤くなりながら指差した。
「健一、そんなにバタバタしたら…その、水着がズレてる!」
健一は慌てて水着の肩紐を直し、顔を真っ赤にして小さな声で謝った。
***
### 流れるプールでの混乱
「次は流れるプールに行こうよ!」
タケル(ジュンの体)が提案すると、四人は一列になって流れるプールへ向かった。
プールに入ると、柔らかい水流が四人を運び始めた。
「これ、気持ちいいね~。」
美咲(健一の体)が水の流れに身を任せながらリラックスした表情を見せる。
「いいけど…なんか変な視線感じない?」
ジュン(タケルの体)はキョロキョロと周囲を見渡していた。
「そりゃあ、ジュンの体になった俺がこんな派手な水着着てるんだから、目立つよな。」
タケルはジュンの体でピンクのビキニを着ていることに少し困惑しながらも、冗談交じりに言った。
「そういうことじゃないってば!」
ジュンは少しムッとしながら返したが、その瞬間、流れに逆らおうとした健一(美咲の体)がバランスを崩し、思い切り水の中に顔を突っ込んだ。
「ぷはっ!もう、これ難しすぎる!」
健一が声を上げると、美咲は手を叩いて笑い始めた。
「だから言ったじゃない!女の体は重心が違うんだから!」
***
### ウォータースライダーでのチャレンジ
次に四人が向かったのは、巨大なウォータースライダーだった。上から下まで長く続くチューブ型のスライダーを見上げて、タケルが声を上げた。
「これ、面白そうだな!俺先に行ってくる!」
「待って!女の体でそんなことするの!?」
ジュンが叫ぶ間もなく、タケルはジュンの体のまま滑り始めた。
滑り終わったタケルがプールにドボンと落ちると、すぐに水面から顔を出して笑顔で叫んだ。
「これ、最高!次、誰か行けよ!」
それを見たジュンは頭を抱えた。
「もう…ジュンの体であんなに元気よく飛び込むのやめてよ!」
「そんなの言ったって楽しいんだもん。」
タケルは全く反省していない様子だった。
***
### 最後に
プールを存分に楽しんだ四人は、休憩スペースに腰を下ろしてアイスクリームを頬張っていた。
「なんか、こうやって普通に遊ぶのも悪くないね。」
ジュン(タケルの体)がつぶやくと、タケル(ジュンの体)も頷いた。
「そうだな。体が入れ替わったままだけど、こんな日があってもいいよな。」
「でも、次からはもっと慎重に動いてよ!」
健一(美咲の体)は冷静に釘を刺したが、美咲(健一の体)はにやりと笑いながら肩をすくめた。
四人は体の入れ替わりという奇妙な現実に戸惑いつつも、一緒にいる時間を楽しんでいた。未来への不安は残るものの、その日だけは特別な思い出として心に刻まれた。
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