3 / 11
お尻の交換
しおりを挟む「――というわけで、今回は目の交換に続きまして!」
ユカタンは、いつものようにハイテンションでカメラに向かって叫ぶ。
「なんと!パーツ交換クリーム、第二弾!交換するのは…お尻!!」
部屋のど真ん中で両手を広げる彼女の後ろには、例によって無言の木島拓也が控えていた。
彼の顔は、目に見えてうんざりしている。
「やっぱりやるんですね、これ」
「そらやるやろ!」
ユカタンはドヤ顔でクリームのチューブを掲げた。「こんなネタ、見逃すわけないやん?」
「いや、誰得なんですか、これ…」
「ええやん!検証系ユーチューバーとしての使命や!」
***
今回の舞台は、ユカタンのスタジオじゃなく、なぜか「整体院みたいなセッティング」にしている。
「こっちのほうが雰囲気出るやろ!」
「いや、説得力はゼロですけど」
そう言いながらも、木島はちゃんとカメラの位置を調整し、照明も絶妙に当たるようにセットしているあたり、プロフェッショナル。
「じゃあ、木島くん…準備はええか?」
「準備というか…精神的には無理ですね」
「大丈夫大丈夫!サクッと終わらせるから!」
ユカタンがクリームを手に取ると、木島は表情を無にしてうつ伏せになる。
「これ…絶対カットした方がいい部分ですよね」
「視聴者さんが“知りたい”って思うトコだけ残すから!」
言いながら、ユカタンは木島のお尻にぬりぬり。
「あれやな…木島くん、思ったより筋肉あるわ…」
「……褒められてる気がしない」
次はユカタンの番だ。
「ほな、頼んだで」
「え、僕も塗るんですか?」
「せやろ。公平にせんと」
木島はまた無表情で手にクリームを取ると、ユカタンのお尻にも塗る。
「……ユカタン、なんでこんなモチモチしてるんですか」
「おお!それ褒め言葉やな!」
「いや、褒めてるわけじゃ…いや、もうなんでもいいです」
***
クリームを塗り終えた後、二人はしばらく無言。
「……これ、ホンマに交換されるんかな」
ユカタンは不安そうに自分のお尻をポンと叩いてみる。
「お?なんか…感覚が違う気がする!」
木島もそっと立ち上がり、自分のお尻に手を当てた。
「これ…絶対僕のじゃない」
「やんな!?めっちゃプリっとしてる!」
ユカタンは笑いながら木島を指差す。「木島くん、ええ感じやで!」
「いや、嬉しくない…!」
試しに椅子に座る木島。
「なんか…クッション性が増してる…」
「やろ?それ、うちの自信作やからな!」
逆にユカタンは椅子に座ってみると、
「うわ、ちょっと引き締まってて、硬め…!」
「ちゃんと鍛えてるんで」
「これはこれでアリやな…!」
***
その後、二人は撮影が終わっても交換したまま作業を続けることになった。
「座り心地が落ち着かん…」
「普段どんだけ柔らかいんや、ユカタン…」
「いやいや、木島くんが固すぎんねん!」
「トレーニングの成果なんで」
二人はそんなやりとりをしながら、編集作業を進めていく。
***
動画のエンディング、ユカタンは満面の笑みでカメラに向かってピースサイン。
「というわけで!今回は『お尻パーツ交換クリーム』を試してみたけど…」
木島が後ろでボソッと呟く。
「正直、人生で一番無駄な経験だった気がします」
「ちゃうちゃう!めっちゃ貴重な体験やん!みんなもぜひ試して――(※自己責任でな!)」
ユカタンの声に、テロップがデカデカとつく。
【※メーカーは一切責任を取りません】
【※返品不可】
木島はため息をつきながら録画を止めた。
「次は、もっと普通のアイテムにしてください…」
「それは木島くん次第やな!」
ニヤリと笑うユカタンの目は、次なるターゲットを探し始めていた。
22
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる