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新しい自分の身体
しおりを挟む優人は目の前の鏡に映る自分の姿をじっと見つめていた。タイムトラベルの影響で自分が女性の体になったとわかっていても、それを実際に目にすることは想像以上に衝撃的だった。
「これが……今の、俺?」
鏡の中には、女性らしい丸みを帯びた柔らかい顔立ちの自分が映っている。以前の顔の面影は少しだけ残っているが、それはごくわずかだった。目は大きく、長いまつげが自然と引き立てる。鼻筋は滑らかで、口元には少し控えめな唇が形作られている。
「なんか……綺麗だな。」
その言葉に驚いて、優人は思わず口をつぐんだ。自分で自分を褒めるなんて、今までの人生ではなかったことだ。
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### 「手と体の変化」
鏡から目を離し、次に手元を見た。細くて長い指。かつての自分のゴツゴツした手とはまるで別物だった。
「指先がこんなに繊細になるんだな……。」
次に腕、肩、そして体全体へと視線を移した。曲線的なラインがスカートのシルエットにしっかり現れている。胸元は以前の男性としての自分からは完全にかけ離れた存在感を持っていて、目のやり場に困るような感覚すら覚えた。
優人は思わずスカートの裾をそっとつまみ上げてみた。その下から現れた細くて均整の取れた脚に驚く。
「脚もこんなに……長くて細いのか。」
恥ずかしさと興味の入り混じった感情が込み上げ、優人は急いで裾を戻した。
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### 「声の違和感」
ふと、自分の声がどう変わっているのか気になり、優人はそっと口を開いた。
「えっと……こんにちは?」
耳に届いたのは高くて澄んだ女性の声だった。
「こんな声が……自分のものだなんて。」
その声を何度も試しているうちに、照れくささで頬が熱くなる。
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### 「新しい感覚」
少し落ち着こうと深呼吸をしたが、その瞬間、胸の動きに合わせて体の重心が変わるのを感じて再び意識が集中してしまう。
「……これ、本当に慣れるのかな。」
自分の体がすべて新しくなった感覚は不思議でもあり、少し怖くもあった。でも、その変化にどこか好奇心も湧いていた。
「これが……今の俺なんだよな。」
優人は再び鏡に向き直り、自分の新しい姿を見つめた。戸惑いや違和感はあるものの、どこか不思議な期待感も胸の内に広がっていた。
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