タイムトラベルノート

廣瀬純七

文字の大きさ
4 / 12

新しい自分の身体

しおりを挟む
  
優人は目の前の鏡に映る自分の姿をじっと見つめていた。タイムトラベルの影響で自分が女性の体になったとわかっていても、それを実際に目にすることは想像以上に衝撃的だった。  

「これが……今の、俺?」  

鏡の中には、女性らしい丸みを帯びた柔らかい顔立ちの自分が映っている。以前の顔の面影は少しだけ残っているが、それはごくわずかだった。目は大きく、長いまつげが自然と引き立てる。鼻筋は滑らかで、口元には少し控えめな唇が形作られている。  

「なんか……綺麗だな。」  

その言葉に驚いて、優人は思わず口をつぐんだ。自分で自分を褒めるなんて、今までの人生ではなかったことだ。  

---

### 「手と体の変化」  

鏡から目を離し、次に手元を見た。細くて長い指。かつての自分のゴツゴツした手とはまるで別物だった。  

「指先がこんなに繊細になるんだな……。」  

次に腕、肩、そして体全体へと視線を移した。曲線的なラインがスカートのシルエットにしっかり現れている。胸元は以前の男性としての自分からは完全にかけ離れた存在感を持っていて、目のやり場に困るような感覚すら覚えた。  

優人は思わずスカートの裾をそっとつまみ上げてみた。その下から現れた細くて均整の取れた脚に驚く。  

「脚もこんなに……長くて細いのか。」  

恥ずかしさと興味の入り混じった感情が込み上げ、優人は急いで裾を戻した。  

---

### 「声の違和感」  

ふと、自分の声がどう変わっているのか気になり、優人はそっと口を開いた。  
「えっと……こんにちは?」  

耳に届いたのは高くて澄んだ女性の声だった。  
「こんな声が……自分のものだなんて。」  

その声を何度も試しているうちに、照れくささで頬が熱くなる。  

---

### 「新しい感覚」  

少し落ち着こうと深呼吸をしたが、その瞬間、胸の動きに合わせて体の重心が変わるのを感じて再び意識が集中してしまう。  
「……これ、本当に慣れるのかな。」  

自分の体がすべて新しくなった感覚は不思議でもあり、少し怖くもあった。でも、その変化にどこか好奇心も湧いていた。  

「これが……今の俺なんだよな。」  

優人は再び鏡に向き直り、自分の新しい姿を見つめた。戸惑いや違和感はあるものの、どこか不思議な期待感も胸の内に広がっていた。  

---
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

リアルメイドドール

廣瀬純七
SF
リアルなメイドドールが届いた西山健太の不思議な共同生活の話

リボーン&リライフ

廣瀬純七
SF
性別を変えて過去に戻って人生をやり直す男の話

未来への転送

廣瀬純七
SF
未来に転送された男女の体が入れ替わる話

イヤホン型意識転送装置

廣瀬純七
SF
自分の意識を他人に転送できる世界の話

高校生とUFO

廣瀬純七
SF
UFOと遭遇した高校生の男女の体が入れ替わる話

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

不思議な夏休み

廣瀬純七
青春
夏休みの初日に体が入れ替わった四人の高校生の男女が経験した不思議な話

バーチャル女子高生

廣瀬純七
大衆娯楽
バーチャルの世界で女子高生になるサラリーマンの話

処理中です...