タイムトラベルノート

廣瀬純七

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うっかりトイレ事件

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大学の講義が終わり、優菜は教室を出て廊下を歩いていた。まだ新しい学期の始まりで、彼女にとっては女性としての大学生活も慣れていないものだった。頭では「今は女性なんだから」とわかっていても、長い間男性だった頃の習慣が思わぬところで顔を出す。  

そんな時、突然、彼女の内臓がトイレへ行けと命令を下してきた。  
「やば、早く行かないと!」  

優菜は慌ててトイレの場所を探し、廊下の端にあるトイレに飛び込んだ。無意識に男子トイレの方へ足を向けたのだ。  

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### 「うっかり男子トイレ」  

トイレに入ると、目の前にいつも見慣れた光景が広がっていた。小便器がずらりと並ぶ男子トイレ独特の配置だ。優菜は当たり前のようにその前に立ち、バッグを椅子のように抱えながら、「さて、急がないと」と思ったその時だった。  

ちらっと自分の姿を見下ろして、スカートの裾が目に入った。  

「えっ……スカート!?」  

驚きのあまり手が止まる。さらに、胸元に感じる自然な重み。  
「待って、俺、今……女じゃん!」  

一気に頭の中に冷水を浴びせられたような感覚が走った。周りには誰もいなかったが、汗が背中を流れるように感じた。  

---

### 「慌てて女子トイレへ」  

「やばい、やばい!」  

優菜は慌ててその場を飛び出し、廊下を振り返ることなく駆け抜けた。スカートの裾を押さえながら、今度は正しく女子トイレへと向かう。  

女子トイレのドアを開けると、幸いなことに中には誰もいなかった。優菜は急いで個室の中に駆け込み、肩で息をしながら一息ついた。  

「何やってんだよ、俺!」  

独り言を呟きながら、胸を押さえてドキドキする心臓を落ち着かせる。  

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### 「教訓」  

その後、無事に用を済ませた優菜は、洗面台で手を洗いながら鏡に映る自分の顔をじっと見た。  

「まだ慣れてないけど……これが今の俺なんだよね。」  

男性だった頃のクセが出てしまう自分に苦笑しながら、少しずつ新しい自分に順応していこうと心に決めた。  

トイレの失敗は恥ずかしかったが、優菜にとっては「自分が今どういう存在なのか」を改めて意識させるきっかけとなったのだった。  

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