ライバル令嬢は当て馬キャラを幸せにしたい!

粉砂糖

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1.プロローグという事にしてください

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皆様ごきげんよう。わたくしの名前は東鳳音麗香とうほういんれいかと申します。
ホテル経営を主とした東鳳音グループ取締役、東鳳音修也しゅうやの娘。社長令嬢というものですわ。

ナイスミドルで厳しいけど子供には甘いお父様と美しいお母様、
お二人の良い所を詰めこんだ美貌の三つ上のお兄様がいる家族の一番末っ子な私はたっぷり愛情を注がれ育ちましたわ。
使用人たちもいつもわたくしのことを温かく見守ってくれていて、幼いながらにこの幸せに浸っておりましたの。


勿論グループを担う家の一端でありますからお稽古やお勉強は幼くてもそれは当然の義務なのです。
毎日のレッスンは大変ですけれど世話しながらも楽しい毎日を過ごしていたのですが…
その生活が変わる出来事が先程起こったのですわ。

先程までのわたくしは授業の終わったお兄様にご本を読んで貰おうと絵本を抱えながらお兄様の部屋まで走っておりました。

そんなとき、廊下にてうっかり足をつんのめしてしまい思いっきり頭から滑り落ちたのです。
その時のゴン!という鈍い音は忘れられません。

お嬢様!?という驚いた使用人の声と麗香!?と驚いて部屋から出てきたお兄様の声が遠くから聞こえて来たのがわかりましたが、
ぶつけた頭がぐるぐると回っていた為大丈夫と答えられなかったのです。

ズキズキと痛む頭。この痛みは。何故かはっきりしませんがそれだけはわかりました。

脳の奥で流れてくる映像。声。
薄れ行く意識のなかで脳内で呟きます。

──ああわたくし、ふたこいのライバル令嬢に転生しておりますわ──


ふたこい─…「双海君に恋してる」というタイトルの12歳以上の女の子を対象にした少女漫画。

前世のわたくしは漫画をこよなく愛する女性でした。
父の漫画好き気質が遺伝したのか、我が家の蔵書に始まり学校や市立の図書館、同じく漫画が好きな友人からと沢山の漫画を読んでおりました。
その中でも特に気に入ってた一作品がこの「双海くんに恋してる」なのです。

さて、突然でございますがそんなわたくしには幼馴染みがおりまして。
頭をぶつけたわたくしの見舞いにと部屋で現在、優雅にお茶を啜っております麗しの男児二人。

父のご友人双海様のご子息双子、慎一と優二と申しますの。

…お察しくださったかと思いますがこの二人がメインキャラクターですわ。

兄の慎一はクールな一匹狼のような性格。
サラサラな黒髪とあまり感情を移さない黒い瞳とキリッと整ったやや冷ややかな顔立ちの彼に、幼いわたくしはひとめぼれ。周りを寄せ付けぬ雰囲気を持つ彼の特別になりたい一心で口約束ですが婚約をとりつけて見事その座に居座るようになりました。

わたくし東鳳音麗香は慎一に恋をしたヒロインの前に立ち塞がるライバル役。
傲慢不遜で自分が望めばなんでも手に入ると思っている女王様。文武両道、眉目秀麗。
自分で立ち上げたコスメブランドは大儲け。
ヒーロー顔負けのスペックに残念なのは性格だけのパーフェクト令嬢、それがわたくしだ。

そんな麗香は婚約者を取られないようにお金の力で物を言わせたり、自分の方がふさわしいのだとヒロインを諦めさせようとするが、努力もむなしく結局二人は結ばれる。

慎一に認められようとした努力はすべて傲慢な性格がチャラにしてしまっていたが、
麗香が慎一を一途に思っていた事でファンからは沢山の同情を買っていた。前世でのわたくしは慎一に対して何だこのクソ野郎とも思っておりました。
ええ、ヒロインは可愛いわ。惚れるのは分かる。
が、お前はもっと周りを見ろ!孤独気取ってればいいと思うなよですわ!!


そして弟、優二は茶交じりの少し跳ねた髪に明色の瞳、これまた慎一そっくりの顔だけど、爽やかな王子の猫を被った腹黒ブラコンキャラだ。
双子の兄である慎一に陶酔しており、近づく虫(男女問わず)には容赦がない。
あのニコニコとした爽やかな笑顔の裏で策を講じ慎一から遠ざけていく。原作では仲間でした。

優二は慎一と距離を詰めていくヒロインにつっかかり、引き離そうと策をかけていましたが
ある出来事を境に作っていた外面を崩されてしまい、それを受け入れたヒロインに徐々に惹かれてしまうのです。ありがちなパターンですわね。
引き返せないほどの深みにはまった優二は慎一にやるには惜しいと遅れて必死にアプローチをかけるが、最後には慎一を選ばれてしまい優二もフラれるのです。

しかも優二は結局はヒロインを優先し慎一の元へ送り出すシーンも多く、わたくしは涙が止まりませんでした。
ええ、推しです。最推しですわ、優二。
その後優二は東鳳音グループのホテルオーナーとして、海外を渡り歩くようになるのです。

正直一番幸せになってほしかった。わたくしは今まで慎一を陶酔していた部分はあっても健気に彼とヒロインの為に働いていた優二に報いが欲しかったのです。
漫画には優二が幸福になる未来は記載されてなくて巻末まで読み切った後「なんでだ神よ!!」と嘆いたものです。

で!す!が!
このふたこいの世界に転生し、さらには前世の記憶を取り戻したわたくしなら優二の恋を叶えることができるんではなくって!?
推しが幸せになる姿が見たい!その為なら腹立つ慎一であろうと結婚だってしてみせますわ!

「なんなら尻に敷いてわたくしに頭が上がらない様にだってしてみせますわ!」

己の気持ちを表すようにグッと拳を握り、天へと掲げる。

「ほう?尻に敷くとは誰の事を言っている?
よもや俺の事ではないだろうな?」

思わず声高々に宣言してしまいましたが、二人が部屋にいる事、すっかり忘れておりましたわ。
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