架空戦国伝

佐村孫千(サムラ マゴセン)

文字の大きさ
244 / 549
第7章 天下分け目の大決戦編

18.国米の戦い(10)

しおりを挟む
木内政豊による援軍の攻撃により、大月軍は総崩れ。
さらに、政豊が殿を務める事で志太連合軍の退路を作っていた。

政豊
「よし、祐藤殿らはこれで無事に城へ帰すことができそうじゃな。」

政豊は、祐藤たちが自国へ向けて退却を始めている様子を見て安心した様子である。

政豊
「さてと、あとは大月軍の大将殿を討ち取らせていただくとするかね。」

政豊は表情を引き締めて大月軍の軍勢を睨んでいた。

長包
「ひいいぃぃっ!いかん、このままでは拙者もろとも全滅してしまうぞ!」

長包は慌てふためいた様子で落ち着きを失っていた。

政豊
「貴様のような裏切り者が副将軍など片腹が痛いわ。裏切りの報いを受けるが良い!」

そう言うと政豊は長包に対して弓を引いた。
放たれた矢は長包の顔をかすめて飛んでいった。

長包
「あわわわわわ!お前たち、早う何とかせぬか!」

長包は情けない声をあげ、その醜態を晒していた。

政豊
「長包殿よ、観念されるが良い!」

政豊は鬼の形相で長包に近付こうとしていた。

その時である。
突然、政豊の軍勢目掛けて無数の鉄砲玉が飛び交っていた。
堀内・幕府・鳥居の連合軍の軍勢が木内軍を取り囲んでいた。

どうやら政豊は長包の兵と戦う事に軍勢を集中させていた為、他の軍勢の接近に気付く事が遅れていたようである。

継晴
「仕方の無い奴じゃ…ほれ、助けに参ったぞ。」

呆れた表情で継晴はそう言った。

義成
「長包殿、もう少し骨のある者じゃと思っておったがな…」

続いて義成は残念そうな表情を浮かべていた。

為永
「長包殿、大丈夫にございますか…」

為永は、政豊の攻撃に怯える長包に対して心配の声をあげていた。

景綱
「この鳥居景綱めがそなたの相手をいたそうではないか。」

景綱は相変わらず凛々しい表情で政豊に向かってそう言った。

政豊は鬼の形相から一転し、笑みを浮かべ始めていた。

政豊
「ふふふ…長包殿よ、お主はどうも悪運が強いようじゃな。今回は命拾いしたと思え。じゃが、次は無いことを覚えておくが良いわ!」

政豊は長包に対してそう言い放った後、大月軍に背を向けて声をあげた。

政豊
「全軍に告ぐ!直ちに攻撃を止めて退却いたせ!良いな?」

退却命令である。

木内軍は1,000人ほどの兵数だ。
そして本体の堀内軍や幕府軍、鳥居軍の軍勢と比べるとその差は蟻と象である。
このような兵力差でまともに戦えば木内軍は壊滅する事は明白。
政豊はそうした状況を瞬時に把握し、退却命令を出したのである。
これは、先の柳城攻めにおいて崇冬によって辛酸を舐めさせられた痛い経験からか、戦場では冷静を保つ事を心掛けていたからこその判断と言っても良いであろう。

政豊による号令を受けた兵たちは、次々と風の如くに戦場から離脱。
そのあっという間の出来事に、継晴たちは攻撃を仕掛ける事が出来ずに軍勢を取り逃がしてしまったという。

義成
「木内政豊、真に逃げ足の早き者にございますな…」

義成が悔しそうな表情でそう言った。

継晴
「まぁ良いわ。こたびの戦は我が軍が勝利したことに変わりは無いからのぅ。」

継晴は、結果的には志太軍を退けた事に満足している様子であった。
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

滝川家の人びと

卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。 生きるために走る者は、 傷を負いながらも、歩みを止めない。 戦国という時代の只中で、 彼らは何を失い、 走り続けたのか。 滝川一益と、その郎党。 これは、勝者の物語ではない。 生き延びた者たちの記録である。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...