架空戦国伝

佐村孫千(サムラ マゴセン)

文字の大きさ
285 / 549
第7章 天下分け目の大決戦編

59.三浦宮御所の戦い(12)

しおりを挟む
政豊率いる木内軍の強襲を受けた志太軍ではあったが、思いがけない援軍の到着によって戦況は変わろうとしていた。

★現在の戦況

志太連合軍(総兵数 11,000人)
志太軍
計 3,000人

口羽軍
計 5,000人

秋庭軍
総大将「秋庭 家春」
計 1,000人

郷田軍
総大将「郷田 直胤」
計 1,000人

堀内軍
総大将「堀内 為永」
計 1,000人

幕府・木内連合軍(総兵数 10,000人)
幕府軍
計 8,000人

木内軍
計 2,000人

祐宗
「家春殿らよ、恩に着るぞよ…」

祐宗は家春らの援軍に対して礼の言葉を述べていた。

家春
「主家のご命運を分ける戦いに参戦するは当然のことにございます。」

家春は祐宗に対して真剣な表情をしてそう言った。

祐永
「ここまで我が志太家を思うてくれる者たちがおるとは…感謝せねばならぬな。」

祐宗もまた、家春の言葉に対して感謝をしている様子であった。

やがてその様子を見ていた政豊がしびれを切らしたのか、苛立った表情で言う。

政豊
「えぇい!ごちゃごちゃうるさい!例え貴様らが何人束になろうとも、この政豊の敵では無いわ!」

すると家春が政豊に軽く会釈して落ち着いた様子で言う。

家春
「木内政豊殿、お久しゅうございますな。柳城での戦いでは真にお世話になり申した。」

家春は柳城での戦いにおいて、家臣らと共に出陣していた。
そこで政豊の軍勢による奇襲に遭い、家春らは討死の危機にまでさらされていた。
武士としてこの上ないまでの屈辱を与えられた家春は、後に何度も政豊に襲われる悪夢を見るほどであったと言う。
そして今、こうしてこの場で政豊と再び刀を交える事を知った家春は、苦い過去と決別する決意を固めたのである。

家春の顔を見た政豊は、思い出したように言う。

政豊
「ん、何じゃ?誰かと思えばあの時のお前さんか。確か…家春とか言ったかのぅ?久しぶりじゃのぅ!」

政豊は家春を柳城で戦った相手であるとかろうじて認識していた。
同時に家春と再会できた事を喜ぶような口調ではあったが、建前の挨拶である事は明らかな様子だ。

家春
「そうじゃ、拙者が秋庭家春にござる。あの時にお主が拙者に与えた屈辱、今こそここで晴らしてくれるわ!」

家春は政豊を歯を食いしばりながら睨みつけてそう言った。
よほど先の戦いにおいての屈辱が耐え難がった事がこの表情からも伺える様子である。

これに対して政豊は、家春の感情的な言葉を一蹴するかのようにこう言った。

政豊
「ふん、個人的な怨みをぶつけるのなら勝手にやってくれ。迷惑なこった。儂らは先を急ぐものでな。悪いな。」

政豊はそう言うと家春らの軍勢に背を向けた後、続けて家春らに対して大きな声を上げた。

政豊
「しかし!それでも邪魔をすると申すのならば!それなりの覚悟は持っておるじゃろうな?!命が惜しくば、大人しくしておいた方が身の為ぞ?!」

その言葉は、背を向けている家春らに対して大きく響き渡っていた。
この態度に家春の怒りは頂点に達した。

家春
「なっ…政豊殿、いや貴様!一体どこまで拙者たちをこけにしたら気が済むというのじゃ!」

敵にあえて背を向けて挑戦的な言葉を放つ政豊。
それはまるで家春らの軍勢は役立たずである故に、全力を注がずとも返り討ちに出来ると言わんばかりの様子だ。

怒りの冷めぬ家春は、直胤と為永らに対して声を上げた。

家春
「もう許さぬぞ!郷田殿、堀内殿!我らの力を政豊にお見せしてやりましょうぞ!」

直胤
「我が盟友の雪辱、晴らすは今ぞ!」

為永
「木内政豊殿、お覚悟を!」

こうして三家の軍勢が一つに集結し、木内軍に対して攻撃を開始する事となった。
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
現代文学
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら

俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。 赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。 史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。 もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。

江戸の夕映え

大麦 ふみ
歴史・時代
江戸時代にはたくさんの随筆が書かれました。 「のどやかな気分が漲っていて、読んでいると、己れもその時代に生きているような気持ちになる」(森 銑三) そういったものを選んで、小説としてお届けしたく思います。 同じ江戸時代を生きていても、その暮らしぶり、境遇、ライフコース、そして考え方には、たいへんな幅、違いがあったことでしょう。 しかし、夕焼けがみなにひとしく差し込んでくるような、そんな目線であの時代の人々を描ければと存じます。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

処理中です...