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第7章 天下分け目の大決戦編
72.三浦宮御所の戦い(25)
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教晴と義久らが新たに参陣した志太連合軍ではあったが、堅固な三浦宮御所を前に祐宗らは苦戦を覚悟していた。
そんな中、教晴から御所への抜け穴が存在するとの発言を耳にする。
その報告を聞いた祐宗は、直ちに軍勢を率いてその現場へと向かった。
到着した現場には、御所の侵入を守る石垣がずっしりと積まれていた。
教晴はその中でも一つの石垣を勢い良く押した。
すると石垣はまるで扉が開くかのように滑らかに横へと動いた。
動いた石垣の後ろからは、洞窟のような洞穴が見えた。
どうやらこれが御所内へと続く秘密の抜け穴の入り口のようだ。
教晴がためらいながら祐宗に言う。
教晴
「ここがその抜け穴にございます。しかし祐宗殿よ、真によろしいのでございますか?」
抜け穴への案内はしたものの、その先に継晴らの兵が待ち伏せしているかも知れない。
そういった危険をわざわざ冒してまでこの作戦を実行すべきなのであろうか。
教晴はそう考えていた。
すると祐宗が勇ましい表情で言う。
祐宗
「先刻にも申した通り、かようなことを案じておっては御所は制圧できぬであろう。我らはただただ、前に進むのみぞ!」
祐永もそれに続いて口を開く。
祐永
「拙者も兄者と同じ意見にござる!泰平の世の天下を我らで造る為には、かようなことなど申す暇などござらん!」
祐宗、祐永は兄弟して堂々たる態度であった。
そんな祐宗らの様子を見た政豊も続けて言う。
政豊
「継晴による不意打ちなぞ屁でも無いわ!この政豊が返り討ちにしてくれる!」
いかにも豪傑な政豊らしく、そして頼もしい発言であった。
教晴
「はっ、承知いたしました。それではご案内いたします故、拙者の後を着いて来てくだされ。」
教晴は祐宗らの自信に満ちた表情を見て安心したのか、先程のためらいはどこかに消え去っていた。
一方、御所の継晴らは志太連合軍の異変に気付き始めようとしていた。
継晴
「おや…やけに外が静かになったではないか。これはどういうことじゃ?」
祐宗らの兵たちは、教晴が案内する抜け穴に移動していた。
ただ、全軍を抜け穴に移動すれば幕府軍にたちまち気付かれるであろう。
そうした事を恐れた祐宗は、幾分かの兵たちはその場に留まらせていた。
しかし、それでも兵数は減った事に変わりは無い。
継晴はそうした少しの志太連合軍の変化に対して敏感に感じ取っていたようである。
兵
「もしや、我らの御所が堅固なことを思い知って呆然としておるのではございましょうか?」
兵たちは先刻に継晴が口にしていた御所の堅固さを思い出しているようであった。
継晴
「かも知れぬな。このまま粘れば奴らも根負けして退却せざるを得ぬであろう。」
継晴もまた兵たちの言う通り、御所の防御力の高さに志太連合軍も手を焼いているのであろうと考えていた。
そして続けて兵たちに声をかける。
継晴
「いずれにせよ、奴らが退却するのも時間の問題であろう。じゃが、決して気を抜くでないぞ!」
兵
「ははっ!」
兵たちは継晴のその声に改めて気を引き締めていた。
しかし、それから少し経った後に継晴が再び顔をしかめて呟き始めた。
継晴
「いや…それにしても静か過ぎる…志太の連中は一体何を考えておるというのじゃ…」
どうやら余りにも志太連合軍の兵たちが静か過ぎるという事に疑問を抱いている様子だ。
仮に守りの堅固な御所を前に立ち往生しているとは言え、それにしても幕府軍への攻撃の勢いが急激に衰え過ぎである。
志太連合軍は、他に何か新たな作戦を立てているのでは無いか、と考え始めていた。
やがて継晴は、何かを理解したかのような表情をして声を上げる。
継晴
「むむっ!教晴が志太側に回ったということは、もしや…そうか…そういうことか!分かったぞ!」
どうやらこの静けさは、教晴の寝返りによるものに関係していると継晴自身は確信した様子である。
継晴
「よぅし、者どもよ!直ちに余の申す場所に移動せよ!奴らを返り討ちにすることができようぞ!」
継晴は非常に興奮した様子であった。
そんな中、教晴から御所への抜け穴が存在するとの発言を耳にする。
その報告を聞いた祐宗は、直ちに軍勢を率いてその現場へと向かった。
到着した現場には、御所の侵入を守る石垣がずっしりと積まれていた。
教晴はその中でも一つの石垣を勢い良く押した。
すると石垣はまるで扉が開くかのように滑らかに横へと動いた。
動いた石垣の後ろからは、洞窟のような洞穴が見えた。
どうやらこれが御所内へと続く秘密の抜け穴の入り口のようだ。
教晴がためらいながら祐宗に言う。
教晴
「ここがその抜け穴にございます。しかし祐宗殿よ、真によろしいのでございますか?」
抜け穴への案内はしたものの、その先に継晴らの兵が待ち伏せしているかも知れない。
そういった危険をわざわざ冒してまでこの作戦を実行すべきなのであろうか。
教晴はそう考えていた。
すると祐宗が勇ましい表情で言う。
祐宗
「先刻にも申した通り、かようなことを案じておっては御所は制圧できぬであろう。我らはただただ、前に進むのみぞ!」
祐永もそれに続いて口を開く。
祐永
「拙者も兄者と同じ意見にござる!泰平の世の天下を我らで造る為には、かようなことなど申す暇などござらん!」
祐宗、祐永は兄弟して堂々たる態度であった。
そんな祐宗らの様子を見た政豊も続けて言う。
政豊
「継晴による不意打ちなぞ屁でも無いわ!この政豊が返り討ちにしてくれる!」
いかにも豪傑な政豊らしく、そして頼もしい発言であった。
教晴
「はっ、承知いたしました。それではご案内いたします故、拙者の後を着いて来てくだされ。」
教晴は祐宗らの自信に満ちた表情を見て安心したのか、先程のためらいはどこかに消え去っていた。
一方、御所の継晴らは志太連合軍の異変に気付き始めようとしていた。
継晴
「おや…やけに外が静かになったではないか。これはどういうことじゃ?」
祐宗らの兵たちは、教晴が案内する抜け穴に移動していた。
ただ、全軍を抜け穴に移動すれば幕府軍にたちまち気付かれるであろう。
そうした事を恐れた祐宗は、幾分かの兵たちはその場に留まらせていた。
しかし、それでも兵数は減った事に変わりは無い。
継晴はそうした少しの志太連合軍の変化に対して敏感に感じ取っていたようである。
兵
「もしや、我らの御所が堅固なことを思い知って呆然としておるのではございましょうか?」
兵たちは先刻に継晴が口にしていた御所の堅固さを思い出しているようであった。
継晴
「かも知れぬな。このまま粘れば奴らも根負けして退却せざるを得ぬであろう。」
継晴もまた兵たちの言う通り、御所の防御力の高さに志太連合軍も手を焼いているのであろうと考えていた。
そして続けて兵たちに声をかける。
継晴
「いずれにせよ、奴らが退却するのも時間の問題であろう。じゃが、決して気を抜くでないぞ!」
兵
「ははっ!」
兵たちは継晴のその声に改めて気を引き締めていた。
しかし、それから少し経った後に継晴が再び顔をしかめて呟き始めた。
継晴
「いや…それにしても静か過ぎる…志太の連中は一体何を考えておるというのじゃ…」
どうやら余りにも志太連合軍の兵たちが静か過ぎるという事に疑問を抱いている様子だ。
仮に守りの堅固な御所を前に立ち往生しているとは言え、それにしても幕府軍への攻撃の勢いが急激に衰え過ぎである。
志太連合軍は、他に何か新たな作戦を立てているのでは無いか、と考え始めていた。
やがて継晴は、何かを理解したかのような表情をして声を上げる。
継晴
「むむっ!教晴が志太側に回ったということは、もしや…そうか…そういうことか!分かったぞ!」
どうやらこの静けさは、教晴の寝返りによるものに関係していると継晴自身は確信した様子である。
継晴
「よぅし、者どもよ!直ちに余の申す場所に移動せよ!奴らを返り討ちにすることができようぞ!」
継晴は非常に興奮した様子であった。
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