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第7章 天下分け目の大決戦編
73.三浦宮御所の戦い(26)
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教晴によって御所内への抜け穴に案内された祐宗らは、中で構える継晴を討つべく潜入を開始していた。
祐宗
「それにしても、真にしっかりとした造りじゃな。」
抜け穴の中を通りながら祐宗はたまげた様子でそう言った。
すると教晴が後ろを振り向いて言う。
教晴
「初代将軍の頃より、この抜け穴は欠かすこと無く手入れをして保っております。」
どうやらこの抜け穴は日々の整備が行き届いている事もあってか、極めて良好な状態であった。
その為、初代将軍の利晴の代から何代後の時代となってもその状態を保ち続け、決して朽ち果てる事は無かった。
祐永
「数百年も前から造られておったとは思えぬ程にござるな。」
祐永は、この抜け穴の徹底した整備について非常に関心している様子であった。
政豊
「抜け穴と聞けば儂はぼろい物を想像しておったが、流石は将軍家よのぅ。」
政豊は皮肉じみた口調でそう言っていた。
盗賊衆である政豊にとって抜け穴は、狭い・暗い・汚いなどの先入観を持っていたが、この抜け穴を見た事で目から鱗が落ちる思いであった。
教晴
「常に周りの国に対して警戒をしておったのでございます。しかし、まさかこの存在を敵方の者に教えることになろうとは…」
本来は敵国の脅威から身を守るべきはずのものが、逆に敵国によって利用されている事に大して教晴は複雑な心境であった。
祐宗
「教晴殿、お気持ち察しいたしますぞ…」
祐宗は教晴に対して慰めるように声をかけた。
すると教晴はすかさず答える。
教晴
「されど、これは戦の無き泰平の世にする為には必要なことである故に誰かがやらねばならぬ。それが余であったということにござる。」
教晴は、吹っ切れた様子あった。
一方、継晴は抜け穴の出口まで兵たちと向かった。
こちらも先程と同じく石垣を押すことで出口が姿を現していた。
兵
「継晴様、こちらは一体…」
兵たちは、石垣から覗かせる穴を見て驚いた様子であった。
すると継晴が兵たちに対して説明し始めた。
継晴
「これは、外へと通じる抜け穴じゃ。我が将軍家の始祖よりかような事態に備えて作ってくださったものでな。」
先程にも説明した通り、この抜け穴の存在を知る者は三浦家一門の人間のみである。
その為に兵たちは継晴の説明を受けて初めてその存在を知った事となる。
兵
「何と!利晴様の時代からこの抜け穴がご用意されておられたのでございますか!」
先程に祐宗たちが驚いたように、兵たちもそのしっかりとした設備に対して驚いている様子だ。
数百年の時が経ってもなお朽ち果てる事無く存在しているその姿には、誰もがそう感じずにはいられなかった。
そして継晴が続けて兵たちに対して言う。
継晴
「無論、この抜け穴のことは教晴も知っておる。それ故、あやつは必ずここを通って来るであろう。志太の兵を引き連れてな。」
継晴は、同様にこの抜け穴の存在を知っている教晴の名前を口にしていた。
守りの堅い御所に対しては正攻法では無く、抜け穴を使って侵入するという策を教晴は志太軍に持ちかけているであろうと継晴は考えていた。
継晴
「我ら軍勢は、ここに来るであろう志太軍を待ち伏せして一気に包囲するのじゃ!」
どうやら抜け穴を使って志太軍が御所内へ侵入した瞬間に継晴は奇襲をかけるつもりのようだ。
そして同時に抜け穴の出口を幕府軍の兵が塞ぐ事で志太軍を袋の鼠にすると言う。
この策が成功すれば現在の形勢は大逆転し、志太軍はほぼ壊滅するであろう。
軍略に対しては人並みかそれ以下であったと言われている継晴ではあったが、この時ばかりは非常に冴えていたようである。
そうしてしばらく時を置いた後、抜け穴の出口付近で人の気配がするのを継晴は感じた。
どうやら祐宗らの軍勢がすぐそこまで来ているようである。
継晴
「ふふふ…やはり思ったとおりじゃな。」
継晴はにやりと笑みを浮かべていた。
祐宗
「それにしても、真にしっかりとした造りじゃな。」
抜け穴の中を通りながら祐宗はたまげた様子でそう言った。
すると教晴が後ろを振り向いて言う。
教晴
「初代将軍の頃より、この抜け穴は欠かすこと無く手入れをして保っております。」
どうやらこの抜け穴は日々の整備が行き届いている事もあってか、極めて良好な状態であった。
その為、初代将軍の利晴の代から何代後の時代となってもその状態を保ち続け、決して朽ち果てる事は無かった。
祐永
「数百年も前から造られておったとは思えぬ程にござるな。」
祐永は、この抜け穴の徹底した整備について非常に関心している様子であった。
政豊
「抜け穴と聞けば儂はぼろい物を想像しておったが、流石は将軍家よのぅ。」
政豊は皮肉じみた口調でそう言っていた。
盗賊衆である政豊にとって抜け穴は、狭い・暗い・汚いなどの先入観を持っていたが、この抜け穴を見た事で目から鱗が落ちる思いであった。
教晴
「常に周りの国に対して警戒をしておったのでございます。しかし、まさかこの存在を敵方の者に教えることになろうとは…」
本来は敵国の脅威から身を守るべきはずのものが、逆に敵国によって利用されている事に大して教晴は複雑な心境であった。
祐宗
「教晴殿、お気持ち察しいたしますぞ…」
祐宗は教晴に対して慰めるように声をかけた。
すると教晴はすかさず答える。
教晴
「されど、これは戦の無き泰平の世にする為には必要なことである故に誰かがやらねばならぬ。それが余であったということにござる。」
教晴は、吹っ切れた様子あった。
一方、継晴は抜け穴の出口まで兵たちと向かった。
こちらも先程と同じく石垣を押すことで出口が姿を現していた。
兵
「継晴様、こちらは一体…」
兵たちは、石垣から覗かせる穴を見て驚いた様子であった。
すると継晴が兵たちに対して説明し始めた。
継晴
「これは、外へと通じる抜け穴じゃ。我が将軍家の始祖よりかような事態に備えて作ってくださったものでな。」
先程にも説明した通り、この抜け穴の存在を知る者は三浦家一門の人間のみである。
その為に兵たちは継晴の説明を受けて初めてその存在を知った事となる。
兵
「何と!利晴様の時代からこの抜け穴がご用意されておられたのでございますか!」
先程に祐宗たちが驚いたように、兵たちもそのしっかりとした設備に対して驚いている様子だ。
数百年の時が経ってもなお朽ち果てる事無く存在しているその姿には、誰もがそう感じずにはいられなかった。
そして継晴が続けて兵たちに対して言う。
継晴
「無論、この抜け穴のことは教晴も知っておる。それ故、あやつは必ずここを通って来るであろう。志太の兵を引き連れてな。」
継晴は、同様にこの抜け穴の存在を知っている教晴の名前を口にしていた。
守りの堅い御所に対しては正攻法では無く、抜け穴を使って侵入するという策を教晴は志太軍に持ちかけているであろうと継晴は考えていた。
継晴
「我ら軍勢は、ここに来るであろう志太軍を待ち伏せして一気に包囲するのじゃ!」
どうやら抜け穴を使って志太軍が御所内へ侵入した瞬間に継晴は奇襲をかけるつもりのようだ。
そして同時に抜け穴の出口を幕府軍の兵が塞ぐ事で志太軍を袋の鼠にすると言う。
この策が成功すれば現在の形勢は大逆転し、志太軍はほぼ壊滅するであろう。
軍略に対しては人並みかそれ以下であったと言われている継晴ではあったが、この時ばかりは非常に冴えていたようである。
そうしてしばらく時を置いた後、抜け穴の出口付近で人の気配がするのを継晴は感じた。
どうやら祐宗らの軍勢がすぐそこまで来ているようである。
継晴
「ふふふ…やはり思ったとおりじゃな。」
継晴はにやりと笑みを浮かべていた。
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