300 / 549
第7章 天下分け目の大決戦編
74.三浦宮御所の戦い(27)
しおりを挟む
祐宗らが御所内に通じる抜け穴に入り、数刻の時が経っていた。
やがて一行は、行き止まりと思われる場所に辿り着いた。
祐宗
「うむ?教晴殿、ここは行き止まりではござらんか?」
祐宗は首を傾げてそう言った。
すると教晴が振り向いて祐宗に言う。
教晴
「いえ、ここが抜け穴の出口にございます。すぐに御所内へとご案内いたします故、お待ちくだされ。」
そこは一見すると行き止まりのように見えるが、壁の間からはわずかに光が差しているのが分かった。
教晴はおもむろにその壁を押し出すと壁はゆっくりと動き出した。
壁の後ろには光が広がり、目の前には御所内の景色が見えていた。
祐宗
「ほぅ、これが御所の中か…」
教晴は御所の様子を見て圧倒されていた。
御所内の要所々々は、城とは違った綺羅びやかな造りであったからだ。
祐宗のように武将として戦いに明け暮れる者にとって、こうした造りの建造物は非常に魅力的に見えていたようである。
祐永
「流石は我ら武家を束ねし者に相応しき構えにござるな。」
祐永もまた、御所内の様子に対して感服している様子である。
政豊
「ふん、贅の限りを尽くしておるただの愚かな者の住処であろうが。くだらぬわ!」
一方、政豊は呆れ果てた様子でそう言っていた。
政豊の発言は半ば僻みのように聞こえるが、庶民としての言葉を代弁しているようにも思えた。
そうして祐宗らが抜け穴の出口から御所内の侵入に成功した頃、継晴らの軍勢はその近くに身を潜めていた。
継晴
「来たぞ…教晴じゃな。それに、志太祐宗…志太祐永…木内政豊もおるではないか…」
継晴は志太軍の軍勢の中に祐宗らの姿が見えた事を確認していた。
継晴
「正に今が好機であるな。よし!ではお前たちよ、一気に攻撃を仕掛けよ!」
継晴がそう声を上げるやいなや、兵たちは一斉に志太軍に対して弓を弾いた。
兵たちが放った矢は、たちまち志太軍に豪雨のように降り注いだ。
その様子にいち早く気付き、声を上げたのは政豊であった。
政豊
「ぐわっ!何じゃ貴様らは!」
幕府軍の放った矢は政豊の顔をかすめ、頬からは血が流れていた。
この継晴らによる不意の攻撃により、多くの志太軍の兵たちが負傷した模様である。
そして兵たちはたちまち混乱状態へと陥った。
教晴
「やはり父上が待ち構えておったか…」
教晴は唇を噛んで俯きながらそう言っていた。
継晴
「はっはっは!教晴よ、お前のその浅はかな考えが命取りとなったようじゃな!」
継晴は教晴の作戦に対して嘲笑いながらそう言った。
そして続けて継晴が祐宗たちに対して声を上げる。
継晴
「ここは貴様らのような身分の卑しき者には相応しき場所にはござらん!」
継晴は怒りの表情を見せていた。
そして幕府軍の兵たちによる志太軍の攻撃は手を止める事無く続いている。
祐宗
「いっ、いかん!ここは一旦、引き返すのじゃ!」
幕府軍による攻撃を一方的に受け続ける事に危険を感じた祐宗は慌てた様子で声を上げた。
その様子を見た継晴がさらなる追い打ちをかけるように叫ぶ。
継晴
「おぉっと!そうやすやすと簡単にお前たちを逃しはせぬぞ!覚悟いたせ!」
そう言うと幕府軍は志太軍の後ろに回り込み、抜け穴の出口を兵たちで塞いだ。
継晴
「ふはははは!これで貴様らは袋の鼠ぞ!余の断り無しに御所に入ったことを後悔せよ!」
継晴は声高らかに下品な笑い声を上げていた。
どうやら祐宗らを御所内に封じ込めて追い込みをかけるようである。
祐永
「兄者、こうなればこの幕府軍を我らが撃破するしか無さそうにございますな…」
祐宗
「やるしか無い、ということか…行くぞ!」
この絶体絶命とも言える状況に置かれた祐宗らは、共に覚悟を決めた表情であった。
やがて一行は、行き止まりと思われる場所に辿り着いた。
祐宗
「うむ?教晴殿、ここは行き止まりではござらんか?」
祐宗は首を傾げてそう言った。
すると教晴が振り向いて祐宗に言う。
教晴
「いえ、ここが抜け穴の出口にございます。すぐに御所内へとご案内いたします故、お待ちくだされ。」
そこは一見すると行き止まりのように見えるが、壁の間からはわずかに光が差しているのが分かった。
教晴はおもむろにその壁を押し出すと壁はゆっくりと動き出した。
壁の後ろには光が広がり、目の前には御所内の景色が見えていた。
祐宗
「ほぅ、これが御所の中か…」
教晴は御所の様子を見て圧倒されていた。
御所内の要所々々は、城とは違った綺羅びやかな造りであったからだ。
祐宗のように武将として戦いに明け暮れる者にとって、こうした造りの建造物は非常に魅力的に見えていたようである。
祐永
「流石は我ら武家を束ねし者に相応しき構えにござるな。」
祐永もまた、御所内の様子に対して感服している様子である。
政豊
「ふん、贅の限りを尽くしておるただの愚かな者の住処であろうが。くだらぬわ!」
一方、政豊は呆れ果てた様子でそう言っていた。
政豊の発言は半ば僻みのように聞こえるが、庶民としての言葉を代弁しているようにも思えた。
そうして祐宗らが抜け穴の出口から御所内の侵入に成功した頃、継晴らの軍勢はその近くに身を潜めていた。
継晴
「来たぞ…教晴じゃな。それに、志太祐宗…志太祐永…木内政豊もおるではないか…」
継晴は志太軍の軍勢の中に祐宗らの姿が見えた事を確認していた。
継晴
「正に今が好機であるな。よし!ではお前たちよ、一気に攻撃を仕掛けよ!」
継晴がそう声を上げるやいなや、兵たちは一斉に志太軍に対して弓を弾いた。
兵たちが放った矢は、たちまち志太軍に豪雨のように降り注いだ。
その様子にいち早く気付き、声を上げたのは政豊であった。
政豊
「ぐわっ!何じゃ貴様らは!」
幕府軍の放った矢は政豊の顔をかすめ、頬からは血が流れていた。
この継晴らによる不意の攻撃により、多くの志太軍の兵たちが負傷した模様である。
そして兵たちはたちまち混乱状態へと陥った。
教晴
「やはり父上が待ち構えておったか…」
教晴は唇を噛んで俯きながらそう言っていた。
継晴
「はっはっは!教晴よ、お前のその浅はかな考えが命取りとなったようじゃな!」
継晴は教晴の作戦に対して嘲笑いながらそう言った。
そして続けて継晴が祐宗たちに対して声を上げる。
継晴
「ここは貴様らのような身分の卑しき者には相応しき場所にはござらん!」
継晴は怒りの表情を見せていた。
そして幕府軍の兵たちによる志太軍の攻撃は手を止める事無く続いている。
祐宗
「いっ、いかん!ここは一旦、引き返すのじゃ!」
幕府軍による攻撃を一方的に受け続ける事に危険を感じた祐宗は慌てた様子で声を上げた。
その様子を見た継晴がさらなる追い打ちをかけるように叫ぶ。
継晴
「おぉっと!そうやすやすと簡単にお前たちを逃しはせぬぞ!覚悟いたせ!」
そう言うと幕府軍は志太軍の後ろに回り込み、抜け穴の出口を兵たちで塞いだ。
継晴
「ふはははは!これで貴様らは袋の鼠ぞ!余の断り無しに御所に入ったことを後悔せよ!」
継晴は声高らかに下品な笑い声を上げていた。
どうやら祐宗らを御所内に封じ込めて追い込みをかけるようである。
祐永
「兄者、こうなればこの幕府軍を我らが撃破するしか無さそうにございますな…」
祐宗
「やるしか無い、ということか…行くぞ!」
この絶体絶命とも言える状況に置かれた祐宗らは、共に覚悟を決めた表情であった。
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる