シンデレラは貧乏性~結婚に必要な条件は『金銭感覚』です!~

狭山ひびき

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隣国の王子は好敵手

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 夕方になり、リチャードは帰ってくるなりカレンを呼んだ。

 ショウガ入りのハーブティーを入れて持って行くと、リボンのかかった丸い箱を手渡される。

「お土産だ」

「お土産?」

 アクセサリーは断った。ではなんだろうと受け取り、リボンほどいて蓋を開けると、中にはコロコロと丸い包がいくつも入っている。

「ご褒美はチョコレートボンボンがよかったんだろう?」

「覚えていてくれたんですか?」

「約束したことは忘れない」

 リチャードはソファに腰かけてカレンが煎れたハーブティーに口をつける。

 カレンは彼の隣に座ると、さっそくチョコレートボンボンをひとつ手に取り、包装をはがして口に入れた。

(はー、チョコ、おいしい……)

 少し大きいチョコレートを、頬を丸く膨らませてもごもごと食べていると、それを見たリチャードが「リスみたいだ」と笑い出す。

「もう一つ口に入れると、左右均等に頬が膨れて、本当にリスみたいになりそうだな」

 そう言いながらチョコレートボンボンに手を伸ばそうとするので、カレンは慌てて口を押えた。

「二つも入りません。無理だからだめです!」

「いけそうだがな」

「無理!」

「そうか、残念だ」

 リチャードは肩を揺らして笑っていたが、突然「くしゅん!」と一つくしゃみをした。

(やっぱり体が冷えたんだ)

 部屋の中は事前に暖炉に火をくべて暖めていたが、冷えた体はすぐには温まらない。

 カレンは立ち上がると、部屋から出来上がったばかりのクッションとひざ掛けを持って戻った。

 ソファにクッションを並べて、リチャードの膝にひざ掛けをかければ、リチャードが不思議そうに視線を落とした。

「これは?」

「アレクさんにいただいた絹織物で作ってみました」

「……アレクさん、ね」

「どうかしました?」

 リチャードは途端にむすっと口を曲げる。

「俺のことは殿下なのに、カイザー王子のことは『アレクさん』というのは不公平じゃないか?」

 アレクのことは、彼自身が「アレク」と呼んでほしいと言うからそう呼んでいるだけだ。だが、リチャードは不満らしい。

「俺もただのリチャードと呼ばれたい」

「え、でも……」

 さすがに王子を呼び捨てるわけにはいかない。そう思うのだが、リチャードがすっかり拗ねてしまったので、カレンは葛藤の末、恐る恐る呼んでみた。

「り、リチャード……?」

 すると、リチャードは一転して嬉しそうな表情を浮かべる。

「いいな、それ。アレクさんより『リチャード』と呼び捨ての方が格上だろう。悪くない」

 何が「格上」なのか全くわからないが、リチャードは満足そうだ。

 なんだかよくわからない張り合いをしているリチャードに、カレンはあきれたように肩を落とした。
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