33 / 43
第一部 三回目の人生
解毒薬と衝撃の事実 2
しおりを挟む
オルティス公爵は、クリストバルと同じく銀色の髪にミント色の瞳をしている。
対してオルティス公爵夫人はクリーム色の髪にエメラルド色の瞳。
だけど、顔立ちは、公爵夫人の方がクリストバルに似ている気がした。
……今までクリストバルはオルティス公爵に似ていると思っていたけど、実はお母さん似だったのか。
なんて、わたしは現実逃避しちゃうよ。
だって、公爵邸について、部屋に案内されたあとで、わたしは公爵夫人にサロンに強制連行されたからね。
どうやら今から、ここでわたしは仕立て屋さんたちに採寸されて、すでにざっくりと仮縫いが終わっているドレスの試着三昧らしいわよ。ぎゃふん!
オルティス公爵夫妻の間の子供は、クリストバル一人である。
クリストバルを出産したとき、かなりの難産だったらしくて、夫人はそれ以上子供が望めなくなったんだそうだ。
だから、というわけではないんだろうけど、公爵夫人はすっかりおもちゃを見つけたみたいな顔でわたしを見ている。
笑顔で「娘がほしかったの」なんて言っているけど、これはもしかしてもしかしなくても、着せ替え人形がほしかったの~と言っているのと同じではなかろうか。
そう疑いたくなるほど、サロンには仮縫いドレスが溢れているのよ……。
「まあまあ、クリストバル坊ちゃんからお聞きしておりましたが、本当に細いですわね。腰なんて折れそう。若いんですもの、もっとしっかり食べないと駄目ですよ。ここではしっかり食べましょうね」
なんて、おばあちゃんみたいな顔でわたしに注意をしてくるのは、オルティス公爵家のメイド頭ナタリアさん。御年六十歳であらせられるがまだまだ現役だそうだ。ちょっぴりふくよかで、なんというか、優しそうではあるけどとっても迫力がある。
「ぴったりに作るより、少し余裕を持たせましょうか」
公爵夫人が言うと、ナタリアさんが大きく頷いた。
「ええ。ドレスに合わせて体型を整えましょう。こんなに痩せていては不健康ですからね。もっと太っていただかなくては」
え? それ、普通逆だよね?
思わずモニカさんを見たら、こちらも大きく頷いていた。
「では、二、三センチほど余裕を持たせて作りましょう」
お上品な仕立て屋さんが、メジャーを手にいい笑顔でいらっしゃる。
公爵夫人は「この機会にたくさんドレスを作りましょうね!」なんて言ってるし、それに同調するようにこの場にいるメイドさんたちはみんな手をワキワキさせていて……わたし、果たしてここから無事に生還できるでしょうか?
魔女であるわたしに忌避感情を抱かないでいてくれるのは嬉しいけど、これは、想像していたのとなんか違うっ!
……あ~れ~~~~~~!
すべてが終わった時、わたしは精魂尽きてぐったりしてしまいましたよ。
対してオルティス公爵夫人はクリーム色の髪にエメラルド色の瞳。
だけど、顔立ちは、公爵夫人の方がクリストバルに似ている気がした。
……今までクリストバルはオルティス公爵に似ていると思っていたけど、実はお母さん似だったのか。
なんて、わたしは現実逃避しちゃうよ。
だって、公爵邸について、部屋に案内されたあとで、わたしは公爵夫人にサロンに強制連行されたからね。
どうやら今から、ここでわたしは仕立て屋さんたちに採寸されて、すでにざっくりと仮縫いが終わっているドレスの試着三昧らしいわよ。ぎゃふん!
オルティス公爵夫妻の間の子供は、クリストバル一人である。
クリストバルを出産したとき、かなりの難産だったらしくて、夫人はそれ以上子供が望めなくなったんだそうだ。
だから、というわけではないんだろうけど、公爵夫人はすっかりおもちゃを見つけたみたいな顔でわたしを見ている。
笑顔で「娘がほしかったの」なんて言っているけど、これはもしかしてもしかしなくても、着せ替え人形がほしかったの~と言っているのと同じではなかろうか。
そう疑いたくなるほど、サロンには仮縫いドレスが溢れているのよ……。
「まあまあ、クリストバル坊ちゃんからお聞きしておりましたが、本当に細いですわね。腰なんて折れそう。若いんですもの、もっとしっかり食べないと駄目ですよ。ここではしっかり食べましょうね」
なんて、おばあちゃんみたいな顔でわたしに注意をしてくるのは、オルティス公爵家のメイド頭ナタリアさん。御年六十歳であらせられるがまだまだ現役だそうだ。ちょっぴりふくよかで、なんというか、優しそうではあるけどとっても迫力がある。
「ぴったりに作るより、少し余裕を持たせましょうか」
公爵夫人が言うと、ナタリアさんが大きく頷いた。
「ええ。ドレスに合わせて体型を整えましょう。こんなに痩せていては不健康ですからね。もっと太っていただかなくては」
え? それ、普通逆だよね?
思わずモニカさんを見たら、こちらも大きく頷いていた。
「では、二、三センチほど余裕を持たせて作りましょう」
お上品な仕立て屋さんが、メジャーを手にいい笑顔でいらっしゃる。
公爵夫人は「この機会にたくさんドレスを作りましょうね!」なんて言ってるし、それに同調するようにこの場にいるメイドさんたちはみんな手をワキワキさせていて……わたし、果たしてここから無事に生還できるでしょうか?
魔女であるわたしに忌避感情を抱かないでいてくれるのは嬉しいけど、これは、想像していたのとなんか違うっ!
……あ~れ~~~~~~!
すべてが終わった時、わたしは精魂尽きてぐったりしてしまいましたよ。
55
あなたにおすすめの小説
私を裏切った夫が、後悔しているようですが知りません
藤原遊
恋愛
政略結婚として、公爵家に嫁いだ私は
愛のない夫婦関係を「仕事」だと思い、正妻の役目を果たしてきた。
夫が愛人を持つことも、
その子を屋敷に迎え入れることも、黙って受け入れてきた。
けれど――
跡取りを、正妻の子ではなく愛人の子にする。
その言葉を、人前で軽く口にした瞬間。
私は悟ったのだ。
この家では、息子を守れないと。
元々、実家との間には
「嫡子以外の子は実家の跡取りにする」という取り決めがあった。
ならば話は簡単だ。
役目を終えた私は、離縁を選ぶ。
息子と共に、この家を去るだけ。
後悔しているようですが――
もう、私の知るところではありません。
手放してみたら、けっこう平気でした。
朝山みどり
恋愛
エリザ・シスレーは伯爵家の後継として、勉強、父の手伝いと努力していた。父の親戚の婚約者との仲も良好で、結婚する日を楽しみしていた。
そんなある日、父が急死してしまう。エリザは学院をやめて、領主の仕事に専念した。
だが、領主として努力するエリザを家族は理解してくれない。彼女は家族のなかで孤立していく。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
本物の夫は愛人に夢中なので、影武者とだけ愛し合います
こじまき
恋愛
幼い頃から許嫁だった王太子ヴァレリアンと結婚した公爵令嬢ディアーヌ。しかしヴァレリアンは身分の低い男爵令嬢に夢中で、初夜をすっぽかしてしまう。代わりに寝室にいたのは、彼そっくりの影武者…生まれたときに存在を消された双子の弟ルイだった。
※「小説家になろう」にも投稿しています
「わざわざ始まるまでまたないで、今のうちに手を打ったってよくない?」
イチイ アキラ
恋愛
アスター公爵令嬢エステルは、夢をみる。それは先を映す夢。
ある日、夢をみた。
この国の未来を。
それをアルフレッド王太子に相談する。彼女を愛して止まない婚約者に。
彼は言う。
愛する君とぼくの国のためなら、未来を変えるのも仕方なくない?
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
私が生きていたことは秘密にしてください
月山 歩
恋愛
メイベルは婚約者と妹によって、崖に突き落とされ、公爵家の領地に倒れていた。
見つけてくれた彼は一見優しそうだが、行方不明のまま隠れて生きて行こうとする私に驚くような提案をする。
「少年の世話係になってくれ。けれど人に話したら消す。」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる