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兵革の五月[May of Struggle]
Mission13 反撃開始②
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──町外れ、廃倉庫──
周りに家などなく、ただ森に囲まれたそこへ俺たちは辿り着く。
そして到着と同時に静かに、且つ素早く車から降りる。
「ここが連中のいる場所ね……」
「周りには住宅はなかった。奴らの様な無頼の徒が屯するにはうってつけの場所だろうな」
運転席にいた湖城先生は降りながら彼女はそう言った。
彼女の腰には拳銃のホルスターが取り付けられている。
「俺たちは車内にいる。なにかあったら無線機でサポートするぜ、千秋チャンたちが」
「ああ。とはいえ、町外れの廃倉庫だ。サポートできる様なことは少ないかもしれないな」
確かにそれもそうか。廃倉庫内に監視カメラなどの機械があるとは思えない。
だとすると電子機器を相手に戦う彼女は活躍する機会はないだろう。
「とにかく倉庫内に入ってくれ」
「判った」
頷き、俺たちは倉庫まで闇夜に溶け込む様にして歩む。
まさか旅先で襲撃された報復として襲撃をすることになるとは思いもしなかった。
「む……?皆、止まれ」
俺たちの前を歩く湖城先生がすっと右手を軽く挙げて俺たちに止まる様に言う。
そして自身の眼前に存在するものを見て、忌々しげな表情を浮かべた。
「警備だ……一瞬のうちに倒せれば騒ぎにはならないか……?」
彼女はそう言うが入り口を守っている黒スーツにサングラスという格好の男2人とここからの距離は30メートル以上はある。
停められているトラックの陰から飛び出して全速力でここから走って彼らに向かっていっても騒ぎになる前に倒すことは不可能だろう。たとえ第1空挺団出身の彼女でも、だ。
〈……任せて〉
どの様にして中に入ろうかを考えていると無線機からその様な声が聞こえてくる。
それから数瞬、入り口を守る男の1人がその場で倒れる。
「なんだ──」
突然共に警備をしていた仲間が倒れ、なにが起こったのかを理解できずにいる男。
そんな彼も同様に倒れることになる。
「……七菜さん」
俺たちは男たちを倒した人物のいる後方へと視線を向ける。
ジメジメとしていそうな鬱蒼とした森──そして草木と同化する様にして狙撃銃を構える七菜さん。
彼女が2発の銃弾を放ち、警備を撃ち倒したのだ。
〈君たちの背中はわたしが守る。絶対に〉
「……頼りにしてます」
学園最強クラスの狙撃術を持つ彼女が俺たちの背中を守ってくれているだなんて心強い。
警備をしていた男たちが無力化され、俺たちは早速中に入る。
その瞬間──
「隠れろっ!」
湖城先生がそう叫ぶ。
俺たちは入り口の柱にびったりと張り付く様にして隠れる。
それと同時に幾多もの破裂音が倉庫内を反響した。
「……ほぅ、カミソリの様に鋭い反射神経だ。やはり元空挺団教官はこの程度じゃ殺せはしないな」
ぱち、ぱちと小馬鹿にする様な乾いた拍手と称賛。
俺は慎重に柱の陰から顔を出して彼女を褒め称えた人物を見る。
ヤンキーの装いをした男たちが機銃をこちらに向けており──彼らの後ろに彼女を称賛した人物はいた。
「貴様がボスか?」
「ボス?ああその通りだ」
着崩していないベージュのスーツにリムレスの眼鏡、オールバックにしている黒髪……秩序や礼儀などが欠如していそうなヤンキーたちの領袖にしては彼の出で立ちはいたってまともだった。
「とある人物からの依頼でな、お前たちには死んでもらう」
やれ、と短く命令をすると幾多の銃火が俺たちへと飛来する。
「遠慮なく撃ってくるわね……」
「それにまさか銃を持ってるなんて……ただのヤンキーじゃなさそう……」
柱で銃弾を防ぎ、反撃の機会を窺う。
けれど彼らは中々その機会をつくってはくれない。
「出てこい。その瞬間に蜂の巣にしてやる」
「出て行くわけないでしょ……」
「今なら苦しませずに殺してやろう。早く──」
そんな時、突然倉庫内が暗闇に包まれる。
突然のことに彼らは戸惑う。
「なんだ……!?」
「……七菜さんだ」
銃声はしなかったが突然倉庫内の照明がパリンと割れた音で判った。
彼女が狙撃で暗闇をもたらしたのだ。
「……残念だったな、貴様らの負けだ」
「なに──ぐっ……!?」
なにかを殴る様な音が庫内に響き渡り、リーダー格の男が倒れる。
更に男たちの悲鳴が上がり始める。
なにが起こっているのかこの暗闇の中では本来ならば判らないだろう。
けれど暗視装置機能搭載のコンタクトをつけている俺たちにとって闇は意味のないものだ。
「な、なんだというんだ……!?」
倒れた男は立ち上がろうとするが暗闇の中を泳ぐ様に動くなにかによって蹴られ、「ぐっ……」と息を洩らす。
「……ありがとう。お陰で奇襲ができたよ」
「せっかくの会議を台無しにしてくれたお礼だよ」
暗闇の中、2人の人物が男たちへと刃を叩き込む。
それは蒼と環さんだった。
2人は薙刀と仕込み刀で男たちを次々に切り伏せてゆく。
「まずい……逃げるぞっ!」
暗闇の中、何人かの男たちは倉庫の外を目指して駆ける。
けれど外には──
「それは無理ですわ」
「ああ。逃がすと思っているのかな?」
──若葉さんと基綱さんが待ち伏せしていた。2人とも手には薙刀が握られている。
男たちは武器を手に2人に襲いかかることはせずにその場でどうするか逡巡する。
「ちっ……死ねえっ!」
「危ないっ!」
数瞬逡巡し、男は手に持った機銃を2人に向ける。
しかしトリガーが指に乗せられる前に背後にいた凛華がサーベルで切り伏せた。
「このアマっ!」
仲間がやられたことに対して怒った男が彼女へと銃弾を放つ。
「……っと」
けれど彼女はそれをひらりと華麗にかわした。
そして男の身体に鋭い一撃を叩き込んだ。
「ぅぐっ……!」
(銃弾を回避した……!?しかも撃たれてから……!)
恐ろしいまでの動体視力だ。
やはり彼女は一般人ではなく、どこかの部隊かなにかに所属していたのだろう。
「凄い剣術……凛華ちゃん、あとで少しお願いがあるんだけど……」
彼女の腕前を見た藍川先輩はそう言う。
「はい……?判りました──」
「話は後だ!1人逃げたぞ!」
湖城先生がそう叫び、拳銃を構える。
銃口の先にはリーダー格の男がいた。
「ふ、ふふ……逃げさせてもらうっ!」
「待てっ!」
パン、パンと立て続けに逃げる男へと放つが当たらない。
動く人間に対して当てるというのは思っているよりも困難らしい。
「このまま逃がすわけ──」
「来てくれッ!」
男は外まで出ると指笛を吹く。
するとそれに呼応する様に突然俺たちの目の前に2つの影が現れる。
「随分派手にやったみてえだな、その割には負けたみてえだけどな」
庫内を見て、1人はそう言った。
「……ああ。部下共が役に立たなくてな、後はお前たちに任せる」
「報酬は高くなる。いいのかい?」
「ああ構わない。そこの奴らと両家の連中を殺してくれれば問題ない」
男はそう言ってこの場から離れる。
そして俺たちは突如現れた2人の人物へと得物を向ける。
「おっ?始末するのがまさかお前たちだとはな……」
「あんたたちは……!」
俺たちの目の前に現れた2人の人物の1人には見覚えがあった。
夜風に揺れるエアリーピンクの髪に凛然たる紅色の双眸、速水沙々だ。
「まさかまたこんな早く逢えるなんてな……嬉しいぜ」
周りに家などなく、ただ森に囲まれたそこへ俺たちは辿り着く。
そして到着と同時に静かに、且つ素早く車から降りる。
「ここが連中のいる場所ね……」
「周りには住宅はなかった。奴らの様な無頼の徒が屯するにはうってつけの場所だろうな」
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彼女の腰には拳銃のホルスターが取り付けられている。
「俺たちは車内にいる。なにかあったら無線機でサポートするぜ、千秋チャンたちが」
「ああ。とはいえ、町外れの廃倉庫だ。サポートできる様なことは少ないかもしれないな」
確かにそれもそうか。廃倉庫内に監視カメラなどの機械があるとは思えない。
だとすると電子機器を相手に戦う彼女は活躍する機会はないだろう。
「とにかく倉庫内に入ってくれ」
「判った」
頷き、俺たちは倉庫まで闇夜に溶け込む様にして歩む。
まさか旅先で襲撃された報復として襲撃をすることになるとは思いもしなかった。
「む……?皆、止まれ」
俺たちの前を歩く湖城先生がすっと右手を軽く挙げて俺たちに止まる様に言う。
そして自身の眼前に存在するものを見て、忌々しげな表情を浮かべた。
「警備だ……一瞬のうちに倒せれば騒ぎにはならないか……?」
彼女はそう言うが入り口を守っている黒スーツにサングラスという格好の男2人とここからの距離は30メートル以上はある。
停められているトラックの陰から飛び出して全速力でここから走って彼らに向かっていっても騒ぎになる前に倒すことは不可能だろう。たとえ第1空挺団出身の彼女でも、だ。
〈……任せて〉
どの様にして中に入ろうかを考えていると無線機からその様な声が聞こえてくる。
それから数瞬、入り口を守る男の1人がその場で倒れる。
「なんだ──」
突然共に警備をしていた仲間が倒れ、なにが起こったのかを理解できずにいる男。
そんな彼も同様に倒れることになる。
「……七菜さん」
俺たちは男たちを倒した人物のいる後方へと視線を向ける。
ジメジメとしていそうな鬱蒼とした森──そして草木と同化する様にして狙撃銃を構える七菜さん。
彼女が2発の銃弾を放ち、警備を撃ち倒したのだ。
〈君たちの背中はわたしが守る。絶対に〉
「……頼りにしてます」
学園最強クラスの狙撃術を持つ彼女が俺たちの背中を守ってくれているだなんて心強い。
警備をしていた男たちが無力化され、俺たちは早速中に入る。
その瞬間──
「隠れろっ!」
湖城先生がそう叫ぶ。
俺たちは入り口の柱にびったりと張り付く様にして隠れる。
それと同時に幾多もの破裂音が倉庫内を反響した。
「……ほぅ、カミソリの様に鋭い反射神経だ。やはり元空挺団教官はこの程度じゃ殺せはしないな」
ぱち、ぱちと小馬鹿にする様な乾いた拍手と称賛。
俺は慎重に柱の陰から顔を出して彼女を褒め称えた人物を見る。
ヤンキーの装いをした男たちが機銃をこちらに向けており──彼らの後ろに彼女を称賛した人物はいた。
「貴様がボスか?」
「ボス?ああその通りだ」
着崩していないベージュのスーツにリムレスの眼鏡、オールバックにしている黒髪……秩序や礼儀などが欠如していそうなヤンキーたちの領袖にしては彼の出で立ちはいたってまともだった。
「とある人物からの依頼でな、お前たちには死んでもらう」
やれ、と短く命令をすると幾多の銃火が俺たちへと飛来する。
「遠慮なく撃ってくるわね……」
「それにまさか銃を持ってるなんて……ただのヤンキーじゃなさそう……」
柱で銃弾を防ぎ、反撃の機会を窺う。
けれど彼らは中々その機会をつくってはくれない。
「出てこい。その瞬間に蜂の巣にしてやる」
「出て行くわけないでしょ……」
「今なら苦しませずに殺してやろう。早く──」
そんな時、突然倉庫内が暗闇に包まれる。
突然のことに彼らは戸惑う。
「なんだ……!?」
「……七菜さんだ」
銃声はしなかったが突然倉庫内の照明がパリンと割れた音で判った。
彼女が狙撃で暗闇をもたらしたのだ。
「……残念だったな、貴様らの負けだ」
「なに──ぐっ……!?」
なにかを殴る様な音が庫内に響き渡り、リーダー格の男が倒れる。
更に男たちの悲鳴が上がり始める。
なにが起こっているのかこの暗闇の中では本来ならば判らないだろう。
けれど暗視装置機能搭載のコンタクトをつけている俺たちにとって闇は意味のないものだ。
「な、なんだというんだ……!?」
倒れた男は立ち上がろうとするが暗闇の中を泳ぐ様に動くなにかによって蹴られ、「ぐっ……」と息を洩らす。
「……ありがとう。お陰で奇襲ができたよ」
「せっかくの会議を台無しにしてくれたお礼だよ」
暗闇の中、2人の人物が男たちへと刃を叩き込む。
それは蒼と環さんだった。
2人は薙刀と仕込み刀で男たちを次々に切り伏せてゆく。
「まずい……逃げるぞっ!」
暗闇の中、何人かの男たちは倉庫の外を目指して駆ける。
けれど外には──
「それは無理ですわ」
「ああ。逃がすと思っているのかな?」
──若葉さんと基綱さんが待ち伏せしていた。2人とも手には薙刀が握られている。
男たちは武器を手に2人に襲いかかることはせずにその場でどうするか逡巡する。
「ちっ……死ねえっ!」
「危ないっ!」
数瞬逡巡し、男は手に持った機銃を2人に向ける。
しかしトリガーが指に乗せられる前に背後にいた凛華がサーベルで切り伏せた。
「このアマっ!」
仲間がやられたことに対して怒った男が彼女へと銃弾を放つ。
「……っと」
けれど彼女はそれをひらりと華麗にかわした。
そして男の身体に鋭い一撃を叩き込んだ。
「ぅぐっ……!」
(銃弾を回避した……!?しかも撃たれてから……!)
恐ろしいまでの動体視力だ。
やはり彼女は一般人ではなく、どこかの部隊かなにかに所属していたのだろう。
「凄い剣術……凛華ちゃん、あとで少しお願いがあるんだけど……」
彼女の腕前を見た藍川先輩はそう言う。
「はい……?判りました──」
「話は後だ!1人逃げたぞ!」
湖城先生がそう叫び、拳銃を構える。
銃口の先にはリーダー格の男がいた。
「ふ、ふふ……逃げさせてもらうっ!」
「待てっ!」
パン、パンと立て続けに逃げる男へと放つが当たらない。
動く人間に対して当てるというのは思っているよりも困難らしい。
「このまま逃がすわけ──」
「来てくれッ!」
男は外まで出ると指笛を吹く。
するとそれに呼応する様に突然俺たちの目の前に2つの影が現れる。
「随分派手にやったみてえだな、その割には負けたみてえだけどな」
庫内を見て、1人はそう言った。
「……ああ。部下共が役に立たなくてな、後はお前たちに任せる」
「報酬は高くなる。いいのかい?」
「ああ構わない。そこの奴らと両家の連中を殺してくれれば問題ない」
男はそう言ってこの場から離れる。
そして俺たちは突如現れた2人の人物へと得物を向ける。
「おっ?始末するのがまさかお前たちだとはな……」
「あんたたちは……!」
俺たちの目の前に現れた2人の人物の1人には見覚えがあった。
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