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兵革の五月[May of Struggle]
Mission24 湯船にて語らう①
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「ふぅぅ……いいお湯ねぇ~……」
湯船に肩までゆっくりと浸かり、今にでも溶けそうな声で仙はそう言った。
「だろう?この家の地下から湧いているんだがこの湯には美肌は勿論冷え性、肩こり、疲労回復効果もあるんだ」
「へぇ、初めてオンセンに入ったけど……気持ちいいね」
「あれ、アメリカにも温泉ってなかったっけ?」
美波は頭に乗せたタオルを直しながらそう問うた。
「あるけどオンセンに入ったことのないアメリカ人の方が多いよ。それくらい人気がないんだ」
「ああ。レイと共にアメリカにいた時も風呂で湯を張ることは少なかったな。一ヶ月に一、二回あるかないかくらいだ。それ以外はシャワーで済ませていた」
「へぇ……日本と違うんだね、アメリカって」
知的好奇心が旺盛なのか関心した様に美波は言った。
「意外よね。アメリカにはニューヨークなんて都市があるのにほとんどシャワーで済ませて、入浴はしないのね」
仙はそう言うと猪口に注いだぬるめの燗酒をぐいっと呑んだ。
どうやら酔いが回っているらしい。呑み干した直後に大笑いを始める。
「……酔ってるみたいだね」
「入浴中の飲酒は身体に大きな負担がかかると聞くが……大丈夫か?」
「ああ大丈夫。仙ちゃんはこれがある意味通常モードだから」
彼女の隣にいた拓海が苦笑いを浮かべつつそう言う。
東条家と家族ぐるみの付き合いが長い彼女は仙以外の東条家の人間の次に彼女の酔った姿を見ることが多い人間だ。
「これが通常だというのも困るんだが……まあ構わない。せっかくの客人だしな」
そう微かな笑みを浮かべると柚は彼女同様に猪口で燗酒を呑む。
けれど仙とは違い、ゆっくりと舌に染み込ませる様に呑んでいる。
「……ふむ、上等な酒だ。飲み口がまろやかでほのかな甘みが広がってくる様だ。こんな良い酒をありがとう、東条先生」
そうスマートに酒を呑む柚に皆思わず目を奪われた。
一方で隣にいる仙は味わうことをせずに一気に酒を喉へと流し込む様にして呑んでおり、スマートとはかけ離れている。
「でしょう!?父が国内最高クラスの酒造家と交流があるお陰で安く買えたんです。湖城先生にも呑んでもらいたいと思って」
「ああ。ありがたい。……しかし東条先生、そんな上等な酒をがぶがぶと勢いよく呑んでいいものなのか?もう少し味わって呑んだ方が……」
柚はそう指摘をする。
仙は先ほどから一口で呑み干しては注ぐ、呑み干しては注ぐを繰り返している。
徳利の中の燗酒がなくなるとこの家の女中に新たな徳利を持ってくる様に頼んでおり、仙一人だけで既に徳利四本分ほど呑んでいる。
「え?……あっ!美味しすぎてもうこんなに呑んじゃった……。安く買えたとはいえ、数量限定でレアなものなのに……」
そうがっかりした様に言うものの彼女は自身の猪口に酒を注ぐことを止めない。
その様子に思わず皆苦笑いを浮かべ、軽く呆れた。
「……まぁ判らんでもないな。かなり美味だったしな。気付いたら呑み干していたというのも──」
徳利の首を持って、喋りかけていた柚の言葉は『バチャリ』という音と共に遮られた。
その音の正体は柚の隣にいた七菜が出した音だった。
どうやら意識がなくなりかけたのか顔面を湯に叩きつけることになった。
「大丈夫!?七菜!」
「だい……じょうぶです……少し、のぼせただけです……」
麻季が湯から彼女の顔面を離すとその顔だけでなく身体は赤く染まっていた。
長い間湯船に浸かりすぎてしまったらしい。
「湖城先生、先に出ますね。少し七菜を冷やしてきます」
「ああ頼んだ。私たちも少ししたら出る」
麻季はのぼせてぼうっとしている七菜に肩を貸すと先に風呂場から出て行った。
そして手早く着替えると相棒の火照った身体を冷やすための場所へと向かう。
湯船に肩までゆっくりと浸かり、今にでも溶けそうな声で仙はそう言った。
「だろう?この家の地下から湧いているんだがこの湯には美肌は勿論冷え性、肩こり、疲労回復効果もあるんだ」
「へぇ、初めてオンセンに入ったけど……気持ちいいね」
「あれ、アメリカにも温泉ってなかったっけ?」
美波は頭に乗せたタオルを直しながらそう問うた。
「あるけどオンセンに入ったことのないアメリカ人の方が多いよ。それくらい人気がないんだ」
「ああ。レイと共にアメリカにいた時も風呂で湯を張ることは少なかったな。一ヶ月に一、二回あるかないかくらいだ。それ以外はシャワーで済ませていた」
「へぇ……日本と違うんだね、アメリカって」
知的好奇心が旺盛なのか関心した様に美波は言った。
「意外よね。アメリカにはニューヨークなんて都市があるのにほとんどシャワーで済ませて、入浴はしないのね」
仙はそう言うと猪口に注いだぬるめの燗酒をぐいっと呑んだ。
どうやら酔いが回っているらしい。呑み干した直後に大笑いを始める。
「……酔ってるみたいだね」
「入浴中の飲酒は身体に大きな負担がかかると聞くが……大丈夫か?」
「ああ大丈夫。仙ちゃんはこれがある意味通常モードだから」
彼女の隣にいた拓海が苦笑いを浮かべつつそう言う。
東条家と家族ぐるみの付き合いが長い彼女は仙以外の東条家の人間の次に彼女の酔った姿を見ることが多い人間だ。
「これが通常だというのも困るんだが……まあ構わない。せっかくの客人だしな」
そう微かな笑みを浮かべると柚は彼女同様に猪口で燗酒を呑む。
けれど仙とは違い、ゆっくりと舌に染み込ませる様に呑んでいる。
「……ふむ、上等な酒だ。飲み口がまろやかでほのかな甘みが広がってくる様だ。こんな良い酒をありがとう、東条先生」
そうスマートに酒を呑む柚に皆思わず目を奪われた。
一方で隣にいる仙は味わうことをせずに一気に酒を喉へと流し込む様にして呑んでおり、スマートとはかけ離れている。
「でしょう!?父が国内最高クラスの酒造家と交流があるお陰で安く買えたんです。湖城先生にも呑んでもらいたいと思って」
「ああ。ありがたい。……しかし東条先生、そんな上等な酒をがぶがぶと勢いよく呑んでいいものなのか?もう少し味わって呑んだ方が……」
柚はそう指摘をする。
仙は先ほどから一口で呑み干しては注ぐ、呑み干しては注ぐを繰り返している。
徳利の中の燗酒がなくなるとこの家の女中に新たな徳利を持ってくる様に頼んでおり、仙一人だけで既に徳利四本分ほど呑んでいる。
「え?……あっ!美味しすぎてもうこんなに呑んじゃった……。安く買えたとはいえ、数量限定でレアなものなのに……」
そうがっかりした様に言うものの彼女は自身の猪口に酒を注ぐことを止めない。
その様子に思わず皆苦笑いを浮かべ、軽く呆れた。
「……まぁ判らんでもないな。かなり美味だったしな。気付いたら呑み干していたというのも──」
徳利の首を持って、喋りかけていた柚の言葉は『バチャリ』という音と共に遮られた。
その音の正体は柚の隣にいた七菜が出した音だった。
どうやら意識がなくなりかけたのか顔面を湯に叩きつけることになった。
「大丈夫!?七菜!」
「だい……じょうぶです……少し、のぼせただけです……」
麻季が湯から彼女の顔面を離すとその顔だけでなく身体は赤く染まっていた。
長い間湯船に浸かりすぎてしまったらしい。
「湖城先生、先に出ますね。少し七菜を冷やしてきます」
「ああ頼んだ。私たちも少ししたら出る」
麻季はのぼせてぼうっとしている七菜に肩を貸すと先に風呂場から出て行った。
そして手早く着替えると相棒の火照った身体を冷やすための場所へと向かう。
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