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兵革の五月[May of Struggle]
Mission21 和平、朝食兼昼食兼夕食
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──翌日
俺たち全員は昨夜の作戦での疲れから全員が泥の様に眠っていた。
そのため、起きたのは全員起きたのは夕方だった。
「おはようございまーす……」
「ああおはよう、よく眠れたかな?」
着替えて居間に向かうとそこには湖城先生をはじめとした湖城家の方々が座っていた。
「ああはい。……すみません、こんな時間帯まで寝てしまって……」
人様の家で遅いという次元ではない時間帯に起きてしまったことに思わず罪悪感を禁じ得ない。
けれど彼女は微かに笑みを浮かべてみせると「いいや」と首を横に振った。
「問題ない。昨夜は両家のために戦ってくれたからな。ああそれと、昨夜の君たちの活躍を見て、両家の人間でその後不和に関して話し合ったんだ」
「……ああ。元は昔の人間が始めたことだ。『何故仲の悪いままでいなければならないのか』……それに疑問も持たずにいた」
長方卓の短辺と向き合う様にして座っている湖城家当主のトメさんがそう言った。
「今思えばバカげた話だ。何故流城流暗殺術を陋劣なものだと唾棄しなければならないのか、何故認めなかったのか、何故不和を早く解消しなかったのか……本当にバカげてる」
トメさんは『バカ』の部分を強めて言った。
それはまるで自分自身に向けられた言葉の様に聞こえた。いや、というか自分自身に向けて言っているのだろう。
「そのせいで七菜の考えを否定することになってしまった。あの子にもあの子の考えがあったというのに……アタシも古い人間だ。とはいえ本当にバカなことをした……」
「……ううん、それは違うよ」
彼女の言葉は俺たちの後方にいる人物によって否定された。
七菜さんだ。彼女も俺たち同様先ほど起きたばかりだ。
「お婆ちゃんは湖城家の当主でしょ。湖城流武術を思ってしたこと……なんでしょ、全部」
「……しかしアタシは湖城家のことばかり考えて多様性を認めなかった。そのせいで不和がこの町全体にまで波及させてしまった……」
「もう終わったことなんですし……お婆様、この通りです。七菜も気にしてませんわ」
若葉さんの言葉にこくりと頷く七菜さん。
彼女に続いて七菜さんは言葉を紡ぐ。
「うん。それに過去ばかり気にしても仕方ないよ、お婆ちゃん。……って、お母さん。終わったことって?」
「ああ……両家の不和はもうおしまいになったのよ」
普通に聞き流していたが七菜さんが自身の母に問うてようやく俺たちも気付いた。
「おしまいって……会議は?」
「ああ。台無しにされてはしまったがその後に不和を終わりにしようと両家の人間全員で決めた」
大人に任せてくれ、とは言っていたがこのことも言っていたのか。
「それじゃあ……」
「これで両家との仲直りは済んだ。これからは流城家とも交流できる」
その言葉に七菜さんの表情はぱあっと明るくなる。
その瞳は“鷹の目”の異名通りの鋭いものではなく、柔和なものだった。
「よかったですね、七菜さん」
「うん、ホントに……ありがとう、君たちがいてくれたお陰だよ」
彼女は瞳を潤ませ、そう言った。
少しでも貢献することができたのならよかった。
「さて、お腹も空いているでしょう。支度してきますね」
「ああ叔母さん、私も手伝おう」
若葉さんと湖城先生は食事の準備をしに台所へと向かった。
「……そう言えば」
「うん?」
長方卓を囲む様に座って少し遅め……否、かなり遅めの朝食を待っているとふと凛華がなにかを思い出した様にそう言った。
「藍川先輩、昨日『あとでお願いがあるんだけど』って言ってましたよね」
「ああ……うん、忘れてた」
藍川先輩はそう言って軽く頬を掻く。
俺たちもすっかり忘れていた。
「そのお願いって?」
「いや、あの時凄い剣術の使い手だなって思ってさ。軽く手合わせしたいなって思って」
「手合わせ……?敵じゃないのになんで戦わないといけないんですか?」
凛華はそう問い、首を傾げる。
ああそうか、凛華は記憶喪失で模擬戦という言葉も忘れてしまっているのか。
「凛華、仮の戦いだよ。先輩を仮の敵だと考えて戦うんだ。そうすることで自分の力を高めるんだ」
「戦いの練習……ってこと?」
「そういうこと。それで……いいかな?」
藍川先輩は一戦士として凛華と戦いたいのだろう。
そんな彼女に対して凛華は微笑み、言った。
「いいですよ」
「ホントに?やった!それじゃあ模擬戦は食べ終わってからどこかでやろうか」
藍川先輩は嬉々として言った。
「はーい、お食事の準備ができましたよ」
「ああ。前に君たちが食べたいと言っていたものだ」
若葉さんと湖城先生が料理を盆に載せて運んできた。それも両手に。
更に両手の盆にはいくつもの料理がどれも大量に盛り付けてある。
「え゛……」
湖城先生たちは起きていたのだから夕食になるが俺たちは今さっき起きてきたばかりで朝食なのだ。
寝起きの身体が受け付けるか判らない量の料理に俺たち全員が固まってしまった。
「ん?どうしました、なにか苦手なものでもありましたか?」
「い、いや……そんなことはございません!」
「?そうか。さあ、たんと食べてくれ」
卓上に数々の料理が置かれていく。
彼女たちからしてみれば好意なのだろうが寝起きの俺たちにとっては自分たちの大好物といえどありがたくはなかった。
けれどそんな言葉を飲み込んで俺たちは合掌し、「いただきます」と共に食事を摂り始める。
俺たち全員は昨夜の作戦での疲れから全員が泥の様に眠っていた。
そのため、起きたのは全員起きたのは夕方だった。
「おはようございまーす……」
「ああおはよう、よく眠れたかな?」
着替えて居間に向かうとそこには湖城先生をはじめとした湖城家の方々が座っていた。
「ああはい。……すみません、こんな時間帯まで寝てしまって……」
人様の家で遅いという次元ではない時間帯に起きてしまったことに思わず罪悪感を禁じ得ない。
けれど彼女は微かに笑みを浮かべてみせると「いいや」と首を横に振った。
「問題ない。昨夜は両家のために戦ってくれたからな。ああそれと、昨夜の君たちの活躍を見て、両家の人間でその後不和に関して話し合ったんだ」
「……ああ。元は昔の人間が始めたことだ。『何故仲の悪いままでいなければならないのか』……それに疑問も持たずにいた」
長方卓の短辺と向き合う様にして座っている湖城家当主のトメさんがそう言った。
「今思えばバカげた話だ。何故流城流暗殺術を陋劣なものだと唾棄しなければならないのか、何故認めなかったのか、何故不和を早く解消しなかったのか……本当にバカげてる」
トメさんは『バカ』の部分を強めて言った。
それはまるで自分自身に向けられた言葉の様に聞こえた。いや、というか自分自身に向けて言っているのだろう。
「そのせいで七菜の考えを否定することになってしまった。あの子にもあの子の考えがあったというのに……アタシも古い人間だ。とはいえ本当にバカなことをした……」
「……ううん、それは違うよ」
彼女の言葉は俺たちの後方にいる人物によって否定された。
七菜さんだ。彼女も俺たち同様先ほど起きたばかりだ。
「お婆ちゃんは湖城家の当主でしょ。湖城流武術を思ってしたこと……なんでしょ、全部」
「……しかしアタシは湖城家のことばかり考えて多様性を認めなかった。そのせいで不和がこの町全体にまで波及させてしまった……」
「もう終わったことなんですし……お婆様、この通りです。七菜も気にしてませんわ」
若葉さんの言葉にこくりと頷く七菜さん。
彼女に続いて七菜さんは言葉を紡ぐ。
「うん。それに過去ばかり気にしても仕方ないよ、お婆ちゃん。……って、お母さん。終わったことって?」
「ああ……両家の不和はもうおしまいになったのよ」
普通に聞き流していたが七菜さんが自身の母に問うてようやく俺たちも気付いた。
「おしまいって……会議は?」
「ああ。台無しにされてはしまったがその後に不和を終わりにしようと両家の人間全員で決めた」
大人に任せてくれ、とは言っていたがこのことも言っていたのか。
「それじゃあ……」
「これで両家との仲直りは済んだ。これからは流城家とも交流できる」
その言葉に七菜さんの表情はぱあっと明るくなる。
その瞳は“鷹の目”の異名通りの鋭いものではなく、柔和なものだった。
「よかったですね、七菜さん」
「うん、ホントに……ありがとう、君たちがいてくれたお陰だよ」
彼女は瞳を潤ませ、そう言った。
少しでも貢献することができたのならよかった。
「さて、お腹も空いているでしょう。支度してきますね」
「ああ叔母さん、私も手伝おう」
若葉さんと湖城先生は食事の準備をしに台所へと向かった。
「……そう言えば」
「うん?」
長方卓を囲む様に座って少し遅め……否、かなり遅めの朝食を待っているとふと凛華がなにかを思い出した様にそう言った。
「藍川先輩、昨日『あとでお願いがあるんだけど』って言ってましたよね」
「ああ……うん、忘れてた」
藍川先輩はそう言って軽く頬を掻く。
俺たちもすっかり忘れていた。
「そのお願いって?」
「いや、あの時凄い剣術の使い手だなって思ってさ。軽く手合わせしたいなって思って」
「手合わせ……?敵じゃないのになんで戦わないといけないんですか?」
凛華はそう問い、首を傾げる。
ああそうか、凛華は記憶喪失で模擬戦という言葉も忘れてしまっているのか。
「凛華、仮の戦いだよ。先輩を仮の敵だと考えて戦うんだ。そうすることで自分の力を高めるんだ」
「戦いの練習……ってこと?」
「そういうこと。それで……いいかな?」
藍川先輩は一戦士として凛華と戦いたいのだろう。
そんな彼女に対して凛華は微笑み、言った。
「いいですよ」
「ホントに?やった!それじゃあ模擬戦は食べ終わってからどこかでやろうか」
藍川先輩は嬉々として言った。
「はーい、お食事の準備ができましたよ」
「ああ。前に君たちが食べたいと言っていたものだ」
若葉さんと湖城先生が料理を盆に載せて運んできた。それも両手に。
更に両手の盆にはいくつもの料理がどれも大量に盛り付けてある。
「え゛……」
湖城先生たちは起きていたのだから夕食になるが俺たちは今さっき起きてきたばかりで朝食なのだ。
寝起きの身体が受け付けるか判らない量の料理に俺たち全員が固まってしまった。
「ん?どうしました、なにか苦手なものでもありましたか?」
「い、いや……そんなことはございません!」
「?そうか。さあ、たんと食べてくれ」
卓上に数々の料理が置かれていく。
彼女たちからしてみれば好意なのだろうが寝起きの俺たちにとっては自分たちの大好物といえどありがたくはなかった。
けれどそんな言葉を飲み込んで俺たちは合掌し、「いただきます」と共に食事を摂り始める。
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