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庶子平
一
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「召公奭はかの周王室と同姓であり、姫を姓としました。やがて、周の武王は無道の紂王を討ち、殷王朝を滅ぼすと、召公は北燕に封じられました。つまり、連綿と続く燕王朝は、偉大なる周の武王から重用された、召公を始祖とするのです。故に庶子、公子である貴方方は、清廉実直に天子に仕え続けた召公奭様の後胤であるということを胸に刻み、高貴な血に恥ぬように、日々、心の研鑽に励み、慎みを以って、来たるべき時に備えるのです」
白眉の下に鋭い眼を隠した、中庶子(公族の教育係)の老人が木簡を拡げ、嗄れ声で読み上げる。
木簡を閉じると、堂内に等間隔に座る、為政者の卵達を見遣る。しわぶき一つしない。その静寂に、老人は満足気に微笑む。
庶子、公子達の教育を一任される黄元は、真摯に文机の上に拡げた木簡と向き合う、数十名の庶子、公子の様子をゆっくりと堂内を巡りと窺う。
すると、あることに気が付く。一つだけ空席がある。文机には放り出された形の木簡が残されている。黄元は辟易すると共に、蟀谷に青筋が立つのを感じた。
「公子職様」
黄元は悠揚と立ち止まり、広げた木簡で顔を隠すようにしている、少年の名を呼んだ。
白皙の少年がおずおずと顔を上げる。
「はい…」
消え入りそうな声で職と呼ばれた少年は答えた。
黄元は射貫くような眼で、彼の隣の空席を見遣る。
「平様は何処に?」
「それは…」
言い淀む職。海千山千の黄元が放つ眼力に、職はたじろぐ。ぎこちのない苦笑で誤魔化す。
「公子!」
黄元がぴしゃりと放つ。
「ひっ」
驚きのあまり姫職は、持っていた木簡を放り出した。
黄元の視線が、刺すように痛い。
「先生。兄上は…」
(申し訳ございません。兄上)
姫職は心の内で、静かに兄に懺悔した。
白眉の下に鋭い眼を隠した、中庶子(公族の教育係)の老人が木簡を拡げ、嗄れ声で読み上げる。
木簡を閉じると、堂内に等間隔に座る、為政者の卵達を見遣る。しわぶき一つしない。その静寂に、老人は満足気に微笑む。
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すると、あることに気が付く。一つだけ空席がある。文机には放り出された形の木簡が残されている。黄元は辟易すると共に、蟀谷に青筋が立つのを感じた。
「公子職様」
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「はい…」
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「それは…」
言い淀む職。海千山千の黄元が放つ眼力に、職はたじろぐ。ぎこちのない苦笑で誤魔化す。
「公子!」
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「ひっ」
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