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神聖デメテール国編
第28話 最大火力
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タローと蘇生する腐敗竜が戦闘を繰り広げる中、カイエンはマーサの遺体を墓から掘り起こしていた。
既に骨と化したその遺体を、大事そうに抱えて地面に書いた魔方陣の上に置く。
実験はまだ完成していない。
ステータスの高い子供、正確に言えば魔力の高い子供のほうが宿りやすいことは分かっている。
しかし、なぜ魔力の高い子供に宿りやすいのかという理由までは判明していなかった。
それでもすでに時間は残されていない。
おそらく自分はここで終わる。
タローの実力は定かではないが、腐敗竜と対等に戦う姿を見ると、どう見積もっても相打ち以上になると予想できた。
タマコもそろそろ足止めを倒してこちらへ向かってくる頃であろう。
そうなれば自分は捕まるか殺されるかのどちらかだ。
マーサと再会するチャンスは今しかない。
実験段階で導かれた成功確率は0.3%未満。
だが、その確率にかけるしかなかった。
「マーサ……もう一度君に――」
カイエンはマーサ復活の儀式を始める。
***
蘇生する腐敗竜は少し息を吸い込むとタローに向けて大きな水の弾丸を吐き出す。
腐敗属性という特殊な属性を付与した技――腐水の息吹。
掠っただけでも傷口から広がり、全身を数秒で朽ち果てさせる水の弾。
タローは危険を感じて、タマコの時のように気合で受けることはしなかった。
「さすがに気合で腐食を受けるのは嫌だな~」
能天気に言っているが先ほどから腐水の息吹を機関銃のように撃ち込まれているのだが、その神がかり的な身体能力で全て回避していた。
弾の軌道を読み、横に駆け出す。腐敗竜は首を動かしタローを追う。
追いつきそうになると跳躍して身を翻して躱した。
一見すると防戦一方にみえる攻防。
しかしタローは攻撃を躱しながら腐敗竜に近づき、魔剣でダメージを確実に与えていた。
身体の一部を失う大ダメージだが、超絶的な再生速度がダメージをかき消すため決定打にはならずじまいだ。
相手が近づいたタイミングで腐敗竜が尾を振るって攻撃する。
タローはそれに気づくと魔剣を強く握り、横に振り被る。
先ほどの攻撃から防御するだけでは吹き飛ばされるだけだということはわかっていた。
タローは強く魔剣を力いっぱい振るう。
尾と魔剣が激突しあたりに衝撃波が起こる。
そして、押し負けたのは圧倒的な巨体の腐敗竜だ。
圧倒的な体格差をさらに圧倒する攻撃力がタローに大きなアドバンテージを与えた。
だが腐敗竜の超速再生がそのアドバンテージを最大限にカバーする。
お互いに距離を取り睨みあう。
吠える蘇生する腐敗竜。
聞いているだけで心臓を強く揺らす音の衝撃。
まるで自分の体格以上の巨大なスピーカーの前に立っているような感覚だ。
心臓が弱い者なら確実に止まりそうな轟音がタローを襲う。
一進一退の攻防が続く中、タローの視界の隅に謎の光を捉えた。
目線を向けるとカイエンがマーサの墓の前で何かの儀式を行っていた。
「カイエンさんか……もしかして彼女さん復活させてんのか?」
タマコはリッチについては何も言っていなかった。
たぶん現れても何とかできると判断していたのだろう。
どっちにしろ今は腐敗竜に集中したほうがよさそうだ。
「速めに決着つけたいな」
そう思った時だった。
注意が散漫になった瞬間、腐敗竜が地上から離陸した。
「やばっ!」
石を打って撃ち落とそうにも、先ほどからの腐水の息吹の連射により暮石が全て腐って消失している。
周りに目をやり何か撃ち落とせそうなものを探す。
その間に蘇生する腐敗竜は大きく息を吸い込んだ。
上空に高く上がると、タローに向けて酸性の唾液を発射する。
――酸性大滝――
文字通り滝のような酸のミサイルがタローを襲う。
避けようにも大きすぎて避ける場所がない。
絶体絶命の中、タローは魔剣を傘に形状変化させた。
傘を短く持ち酸性大滝を一身に受ける。
凄まじい力で降り注ぐ酸のミサイル。
数メートル後退したが何とか耐えるタロー。
腐敗竜はそれを確認し、更に出力を上げる。
どうやら勝負を決めに来たようだ。
それを感じたタローは負けじと押し返す。
「な・め・ん・なぁあああ!!!」
タローは酸のミサイルに一歩一歩進みだした。
徐々に徐々に押し返していくタロー。
それは勢いを増していき、その足はどんどん前へと進んでいき、とうとう酸性大滝の中から抜け出した。
その瞬間――一気に駆け出した。
魔剣を棍棒に変化させると、地面を思い切り叩いた。
その威力で地面が大きく割れる。
タローはその攻撃の反動を生かし、その身を上空に高く上げた。
高速で移動していき、腐敗竜よりも高い位置へと飛来した。
だが、腐敗竜にとってはまたとないチャンスである。
翼がある自分と違い、空中の自由が利かないタローは格好の餌食。
大きく息を吸い込むともう一度、最大火力で酸性大滝を放った。
「この時のための、魔力制御だ!」
タローは魔剣を上段に構えた。
先の10万体+20万体のワイト人形との戦闘。
彼はすでに魔剣の制御をものにしていた。
制御のコツは――攻撃するときの気持ち。
タローが制御できていなかった時は、決まって自分が"面倒だと思っていた"ときだった。
そして制御ができていた時は特に何も考えずに振るっていた。
"無感情"と"怠惰"。
この二つの感情を使い分けることで、怠惰の魔剣を初めて使いこなせるのだ。
「本当に、面倒な再生能力だな」
今までは余計な被害を出さないように力を制御していた。
だが、今は蘇生する腐敗竜を放っておくほうが危険だ。
だから――
余計な被害を出さないために、力を開放する――
目に見えるほどの魔力が魔剣に纏われる。
「死人はおとなしく――」
迫る酸のミサイル。
それに向かって力いっぱいに魔剣を振り下ろした。
「土に、還りやがれぇええええッッ!」
禍々しい魔力と酸性大滝がぶつかり合う。
だが、それはすぐに終わることとなった。
タローが打てる最大の魔力開放。
それは蘇生する腐敗竜の最大火力ごときでは相手にもならなかった。
一瞬で酸性大滝をかき消し、蘇生する腐敗竜に魔力の波動が直撃した。
その威力は蘇生する腐敗竜に再生させる暇を与えないほどであった。
地面に衝撃波が伝わり残っていた墓地の壁が崩れ落ちていく。
轟音が鳴り響き、蘇生する腐敗竜の真下にどデカい穴が開いた。
突風が吹き荒れ大量の砂埃が舞う。
儀式の最中であったカイエンは衝撃から守るために魔法で結界を張る。
だが魔剣の余りある魔力が影響し、カイエンが張った結界はすぐに破壊された。
(マーサ!)
カイエンはその身を挺して、彼女の遺体を守るように覆いかぶさった。
砂埃が止み周りの光景を認識できるようになる。
そこには蘇生する腐敗竜はいなかった。
圧倒的な超速再生能力を持つ最上級アンデットモンスター。
それをねじ伏せたのは、他を圧倒する究極の攻撃力だった。
既に骨と化したその遺体を、大事そうに抱えて地面に書いた魔方陣の上に置く。
実験はまだ完成していない。
ステータスの高い子供、正確に言えば魔力の高い子供のほうが宿りやすいことは分かっている。
しかし、なぜ魔力の高い子供に宿りやすいのかという理由までは判明していなかった。
それでもすでに時間は残されていない。
おそらく自分はここで終わる。
タローの実力は定かではないが、腐敗竜と対等に戦う姿を見ると、どう見積もっても相打ち以上になると予想できた。
タマコもそろそろ足止めを倒してこちらへ向かってくる頃であろう。
そうなれば自分は捕まるか殺されるかのどちらかだ。
マーサと再会するチャンスは今しかない。
実験段階で導かれた成功確率は0.3%未満。
だが、その確率にかけるしかなかった。
「マーサ……もう一度君に――」
カイエンはマーサ復活の儀式を始める。
***
蘇生する腐敗竜は少し息を吸い込むとタローに向けて大きな水の弾丸を吐き出す。
腐敗属性という特殊な属性を付与した技――腐水の息吹。
掠っただけでも傷口から広がり、全身を数秒で朽ち果てさせる水の弾。
タローは危険を感じて、タマコの時のように気合で受けることはしなかった。
「さすがに気合で腐食を受けるのは嫌だな~」
能天気に言っているが先ほどから腐水の息吹を機関銃のように撃ち込まれているのだが、その神がかり的な身体能力で全て回避していた。
弾の軌道を読み、横に駆け出す。腐敗竜は首を動かしタローを追う。
追いつきそうになると跳躍して身を翻して躱した。
一見すると防戦一方にみえる攻防。
しかしタローは攻撃を躱しながら腐敗竜に近づき、魔剣でダメージを確実に与えていた。
身体の一部を失う大ダメージだが、超絶的な再生速度がダメージをかき消すため決定打にはならずじまいだ。
相手が近づいたタイミングで腐敗竜が尾を振るって攻撃する。
タローはそれに気づくと魔剣を強く握り、横に振り被る。
先ほどの攻撃から防御するだけでは吹き飛ばされるだけだということはわかっていた。
タローは強く魔剣を力いっぱい振るう。
尾と魔剣が激突しあたりに衝撃波が起こる。
そして、押し負けたのは圧倒的な巨体の腐敗竜だ。
圧倒的な体格差をさらに圧倒する攻撃力がタローに大きなアドバンテージを与えた。
だが腐敗竜の超速再生がそのアドバンテージを最大限にカバーする。
お互いに距離を取り睨みあう。
吠える蘇生する腐敗竜。
聞いているだけで心臓を強く揺らす音の衝撃。
まるで自分の体格以上の巨大なスピーカーの前に立っているような感覚だ。
心臓が弱い者なら確実に止まりそうな轟音がタローを襲う。
一進一退の攻防が続く中、タローの視界の隅に謎の光を捉えた。
目線を向けるとカイエンがマーサの墓の前で何かの儀式を行っていた。
「カイエンさんか……もしかして彼女さん復活させてんのか?」
タマコはリッチについては何も言っていなかった。
たぶん現れても何とかできると判断していたのだろう。
どっちにしろ今は腐敗竜に集中したほうがよさそうだ。
「速めに決着つけたいな」
そう思った時だった。
注意が散漫になった瞬間、腐敗竜が地上から離陸した。
「やばっ!」
石を打って撃ち落とそうにも、先ほどからの腐水の息吹の連射により暮石が全て腐って消失している。
周りに目をやり何か撃ち落とせそうなものを探す。
その間に蘇生する腐敗竜は大きく息を吸い込んだ。
上空に高く上がると、タローに向けて酸性の唾液を発射する。
――酸性大滝――
文字通り滝のような酸のミサイルがタローを襲う。
避けようにも大きすぎて避ける場所がない。
絶体絶命の中、タローは魔剣を傘に形状変化させた。
傘を短く持ち酸性大滝を一身に受ける。
凄まじい力で降り注ぐ酸のミサイル。
数メートル後退したが何とか耐えるタロー。
腐敗竜はそれを確認し、更に出力を上げる。
どうやら勝負を決めに来たようだ。
それを感じたタローは負けじと押し返す。
「な・め・ん・なぁあああ!!!」
タローは酸のミサイルに一歩一歩進みだした。
徐々に徐々に押し返していくタロー。
それは勢いを増していき、その足はどんどん前へと進んでいき、とうとう酸性大滝の中から抜け出した。
その瞬間――一気に駆け出した。
魔剣を棍棒に変化させると、地面を思い切り叩いた。
その威力で地面が大きく割れる。
タローはその攻撃の反動を生かし、その身を上空に高く上げた。
高速で移動していき、腐敗竜よりも高い位置へと飛来した。
だが、腐敗竜にとってはまたとないチャンスである。
翼がある自分と違い、空中の自由が利かないタローは格好の餌食。
大きく息を吸い込むともう一度、最大火力で酸性大滝を放った。
「この時のための、魔力制御だ!」
タローは魔剣を上段に構えた。
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彼はすでに魔剣の制御をものにしていた。
制御のコツは――攻撃するときの気持ち。
タローが制御できていなかった時は、決まって自分が"面倒だと思っていた"ときだった。
そして制御ができていた時は特に何も考えずに振るっていた。
"無感情"と"怠惰"。
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「本当に、面倒な再生能力だな」
今までは余計な被害を出さないように力を制御していた。
だが、今は蘇生する腐敗竜を放っておくほうが危険だ。
だから――
余計な被害を出さないために、力を開放する――
目に見えるほどの魔力が魔剣に纏われる。
「死人はおとなしく――」
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それに向かって力いっぱいに魔剣を振り下ろした。
「土に、還りやがれぇええええッッ!」
禍々しい魔力と酸性大滝がぶつかり合う。
だが、それはすぐに終わることとなった。
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それは蘇生する腐敗竜の最大火力ごときでは相手にもならなかった。
一瞬で酸性大滝をかき消し、蘇生する腐敗竜に魔力の波動が直撃した。
その威力は蘇生する腐敗竜に再生させる暇を与えないほどであった。
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轟音が鳴り響き、蘇生する腐敗竜の真下にどデカい穴が開いた。
突風が吹き荒れ大量の砂埃が舞う。
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だが魔剣の余りある魔力が影響し、カイエンが張った結界はすぐに破壊された。
(マーサ!)
カイエンはその身を挺して、彼女の遺体を守るように覆いかぶさった。
砂埃が止み周りの光景を認識できるようになる。
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