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魔剣争奪戦編
第119話 最良
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タイタンのカフェにて、レオンとアルバートはティータイムを楽しんでいた。
「ねぇレオンちゃん?」
小さな体にコーヒーを流し込んでいたアルバートが問いかけた。
「魔剣、取られちゃったけどいいの?」
それは何かを危惧しているかのような心配そうな声音であった。
現在、全ての魔剣は優勝者のタローが所有している。
一本ですら脅威となる剣が七本揃った時、一体何が起こるのかは予測が全くつかない。
ムサシやアキラ辺りなら何に使うかは察しが付くが、タローという奇想天外、予測不可能な人間がどのように使用するのかは全くの未知であった。
もしかしたら本当にヤバいことに使うのでは? この平和を乱すようなことに……。
それを危惧しての問いかけだったのだが、レオンはいたっていつも通りであった。
「大丈夫ですよ」
ティーカップを置きながら静かに呟いた。
アルバートと真逆で、全く心配はしていない様子である。
「彼が優勝することが、一番良い結果になりますから」
テラス席に差す零れ日が、優しくレオンの顔を照らしたのであった。
***
レオンがタローを信じていた頃――
「やめろ主殿ぉ!」
「(^>ω<^)``」
(訳:お考え直しをタロー様ぁ!)
タローの身体を必死に抑えるタマコとプー。
その理由は、
「うるせぇ! もう貯金も無いんだ!
俺に残された手段は――魔剣を売ることだけなんだよぉお!」
この世に七振りのみ存在する魔剣。
それが今、怠惰の魔剣を除いた6本が、売られようとしていた。
今、ここに世界が大混乱する事態が引き起こされようとしていたのである。
・・・
「とにかく、せっかく手に入れたのじゃ。とりあえず使ってみるだけ使おうではないか」
乱れた息を整えながらタマコが言った。
魔剣が売られようものなら大金は手に入るだろうが、世界はこれを巡って戦争になるかもしれない。
それほどの危険が魔剣にはあるのだ。それを理解していたからタマコは必死に止めていたのである。
本当に、タマコが有能で助かった。
「(`-ω-´)」
(訳:わたくし以外を装備するなど許したくないですが……試しに使うくらいなら許します!)
プーは「自分もノリで売られたらどうしよう……」という危機感から止めていただけであった。
本当は自分以外の魔剣を使用されるのは浮気と判断したいところではあったが、自分が捨てられる可能性が少なくなるのならば仕方がない。甘んじて受け入れようと考えたのである。
「まぁ、せっかく手に入ったんだから……使ってみるか」
渋々納得したタローは、各魔剣を手に取ってみることにしたのだった。
・・・
一本目:憤怒の魔剣
二本の刀を手に持って構えてみた。
中々様になっていたのだが、10秒ほど経って変化が起こった。
「何か、穏やかな気持ちになってきた」
急に瞳に優しさが宿ってのである。
「(^・ω・^)」
(訳:あ、怒りが無くなって優しい人になってますね)
「マズいマズイ! 早く手放せ死ぬから!」
慌てて憤怒の魔剣を叩き落とすと、タローは元の状態に戻った。
どうやら憤怒の魔剣の適正は無いようだ。
*
二本目:傲慢の魔剣
ナイフを手に持つ。
すると、突然タローは居間の隅に体育座りで下を向いた。
「俺みたいなクズの代わりなんて……いくらでもいるんだよな」
「(;`・ω・)」
(訳:自身が無くなって卑屈になってる!?)
「大丈夫じゃ主殿! 代わりになる人なんていない!
仕事に変わりはいても、個人の代わりなど絶対に居ないのじゃ!」
説得しながらゆっくりと近づき魔剣を取り上げると元に戻った。
傲慢の魔剣の適正も無いらしい。
そして、こんな感じで残りの魔剣も装備してみたのだが……。
*
三本目:暴食の魔剣
「……なんか、今日は晩飯要らないや」
「(;`・ω・)」
(訳:食欲がなくなってる!)
「ちゃんと食べなさい!」
暴食の魔剣の適正なし。
*
四本目:嫉妬の魔剣
「俺が稼いだものを、皆にも分けてあげたい」
「(;`・ω・)」
(訳:嫉妬心が無くなったことにより独占欲が無くなってる)
「はいはい次行こう」
嫉妬の魔剣の適正なし。
*
五本目:色欲の魔剣
「世界のすべてが、平和に満ちてくれたらいいよね」
「(;`・ω・)」
(訳:初っ端から賢者タイム!?)
「めちゃくちゃ良い人になってる!」
色欲の魔剣の適正なし。
*
六本目:強欲の魔剣
「もう……命さえあれば何もいらない……」
「(;`・ω・)」
(訳:物欲が消えたっ!?)
「命も大事だけど生きがいも大事じゃよ!?」
強欲の魔剣の適正なし。
*
で、結局――
七本目:怠惰の魔剣
「落ち着く」
「(`・ω・´)」
(訳:当然です!)
「向いてないのぉ、プー以外」
どうやらタローは怠惰の魔剣しか扱えないようだ。
チート主人公なら全部に適性があったりするのだが、この主人公には無いらしい。
「じゃあ、どうするんじゃこれ?」
タマコが頭を掻きながら呟いた。
目の前には魔剣が六本ある。
だが、使えない以上家のオブジェにしかならない。
「やっぱり、一番良いのはアレだな」
そのとき、タローの目がピカーンと光った。
「まさか……」
「(;`・ω・)」
(訳:まさか……!?)
売却の文字が頭の中を駆け巡るタマコとプーをよそに、タローはニヤリと怪しく笑むのであった。
***
数日後、ギルド本部にSランク冒険者と魔王たちが全員集まった。
何も聞かされぬまま集められたのだが、レオン以外の全員が目を見開いた。
目の前の机に、魔剣が六本あったからである。
「――で、タローはお前たちに返還するそうだ」
ドラムスが簡潔に経緯を説明した。
そう、タローは優勝賞品の魔剣を全員に返したのだ。
タローが言うには『道具を一番うまく使える奴が持つのが、道具も幸せだろう』とのことである。
「さすがおうじ」
「さすがアリスちゃんの旦那さんねえ!」
「良かったッスねジー君!」
「ああ」
「あの野郎……粋なこと言うじゃねぇか」
「ヒッヒッヒ……まぁいいだろう」
「タローちゃんらしいわね~」
「タロー様はお優しいです」
「これでまた修行できるな、ムサシ」
「うん……今度はちゃんとタローくんに勝ってみせるよ」
アリスもアンブレラも、ランもジードも、アキラもクロスも、エリスもシャルルも、ハザードも、そしてムサシも喜んだ。
負けて戻るのでなく、勝って手に入れたいという気持ちもあったのだが、その思いは次に戦う時までとっておくことにしたのだった。
「良かったねレオンちゃん!」
アルバートも手放しに喜んだ。
レオンは眼鏡に手を当てながら口を開く。
「ね? 彼が優勝することが、一番良い結果になったでしょ?」
***
「あ~あ。今後もバイト続行か~」
「良いではないか」
「(^・ω・^)」
(訳:まだまだ頑張りましょう!)
タローが冒険者になって、初めてのことが多い戦いであった。
魔剣の扱いも覚え、様々な動きもコピーし、また一段と強くなった。
結果的に金銭は無くなったけど、それでも得たものは大きかったのである。
「あ~、めんどくせぇな~!」
激闘を終え、再びタローはいつもの日常へと戻っていくのであった。
「ねぇレオンちゃん?」
小さな体にコーヒーを流し込んでいたアルバートが問いかけた。
「魔剣、取られちゃったけどいいの?」
それは何かを危惧しているかのような心配そうな声音であった。
現在、全ての魔剣は優勝者のタローが所有している。
一本ですら脅威となる剣が七本揃った時、一体何が起こるのかは予測が全くつかない。
ムサシやアキラ辺りなら何に使うかは察しが付くが、タローという奇想天外、予測不可能な人間がどのように使用するのかは全くの未知であった。
もしかしたら本当にヤバいことに使うのでは? この平和を乱すようなことに……。
それを危惧しての問いかけだったのだが、レオンはいたっていつも通りであった。
「大丈夫ですよ」
ティーカップを置きながら静かに呟いた。
アルバートと真逆で、全く心配はしていない様子である。
「彼が優勝することが、一番良い結果になりますから」
テラス席に差す零れ日が、優しくレオンの顔を照らしたのであった。
***
レオンがタローを信じていた頃――
「やめろ主殿ぉ!」
「(^>ω<^)``」
(訳:お考え直しをタロー様ぁ!)
タローの身体を必死に抑えるタマコとプー。
その理由は、
「うるせぇ! もう貯金も無いんだ!
俺に残された手段は――魔剣を売ることだけなんだよぉお!」
この世に七振りのみ存在する魔剣。
それが今、怠惰の魔剣を除いた6本が、売られようとしていた。
今、ここに世界が大混乱する事態が引き起こされようとしていたのである。
・・・
「とにかく、せっかく手に入れたのじゃ。とりあえず使ってみるだけ使おうではないか」
乱れた息を整えながらタマコが言った。
魔剣が売られようものなら大金は手に入るだろうが、世界はこれを巡って戦争になるかもしれない。
それほどの危険が魔剣にはあるのだ。それを理解していたからタマコは必死に止めていたのである。
本当に、タマコが有能で助かった。
「(`-ω-´)」
(訳:わたくし以外を装備するなど許したくないですが……試しに使うくらいなら許します!)
プーは「自分もノリで売られたらどうしよう……」という危機感から止めていただけであった。
本当は自分以外の魔剣を使用されるのは浮気と判断したいところではあったが、自分が捨てられる可能性が少なくなるのならば仕方がない。甘んじて受け入れようと考えたのである。
「まぁ、せっかく手に入ったんだから……使ってみるか」
渋々納得したタローは、各魔剣を手に取ってみることにしたのだった。
・・・
一本目:憤怒の魔剣
二本の刀を手に持って構えてみた。
中々様になっていたのだが、10秒ほど経って変化が起こった。
「何か、穏やかな気持ちになってきた」
急に瞳に優しさが宿ってのである。
「(^・ω・^)」
(訳:あ、怒りが無くなって優しい人になってますね)
「マズいマズイ! 早く手放せ死ぬから!」
慌てて憤怒の魔剣を叩き落とすと、タローは元の状態に戻った。
どうやら憤怒の魔剣の適正は無いようだ。
*
二本目:傲慢の魔剣
ナイフを手に持つ。
すると、突然タローは居間の隅に体育座りで下を向いた。
「俺みたいなクズの代わりなんて……いくらでもいるんだよな」
「(;`・ω・)」
(訳:自身が無くなって卑屈になってる!?)
「大丈夫じゃ主殿! 代わりになる人なんていない!
仕事に変わりはいても、個人の代わりなど絶対に居ないのじゃ!」
説得しながらゆっくりと近づき魔剣を取り上げると元に戻った。
傲慢の魔剣の適正も無いらしい。
そして、こんな感じで残りの魔剣も装備してみたのだが……。
*
三本目:暴食の魔剣
「……なんか、今日は晩飯要らないや」
「(;`・ω・)」
(訳:食欲がなくなってる!)
「ちゃんと食べなさい!」
暴食の魔剣の適正なし。
*
四本目:嫉妬の魔剣
「俺が稼いだものを、皆にも分けてあげたい」
「(;`・ω・)」
(訳:嫉妬心が無くなったことにより独占欲が無くなってる)
「はいはい次行こう」
嫉妬の魔剣の適正なし。
*
五本目:色欲の魔剣
「世界のすべてが、平和に満ちてくれたらいいよね」
「(;`・ω・)」
(訳:初っ端から賢者タイム!?)
「めちゃくちゃ良い人になってる!」
色欲の魔剣の適正なし。
*
六本目:強欲の魔剣
「もう……命さえあれば何もいらない……」
「(;`・ω・)」
(訳:物欲が消えたっ!?)
「命も大事だけど生きがいも大事じゃよ!?」
強欲の魔剣の適正なし。
*
で、結局――
七本目:怠惰の魔剣
「落ち着く」
「(`・ω・´)」
(訳:当然です!)
「向いてないのぉ、プー以外」
どうやらタローは怠惰の魔剣しか扱えないようだ。
チート主人公なら全部に適性があったりするのだが、この主人公には無いらしい。
「じゃあ、どうするんじゃこれ?」
タマコが頭を掻きながら呟いた。
目の前には魔剣が六本ある。
だが、使えない以上家のオブジェにしかならない。
「やっぱり、一番良いのはアレだな」
そのとき、タローの目がピカーンと光った。
「まさか……」
「(;`・ω・)」
(訳:まさか……!?)
売却の文字が頭の中を駆け巡るタマコとプーをよそに、タローはニヤリと怪しく笑むのであった。
***
数日後、ギルド本部にSランク冒険者と魔王たちが全員集まった。
何も聞かされぬまま集められたのだが、レオン以外の全員が目を見開いた。
目の前の机に、魔剣が六本あったからである。
「――で、タローはお前たちに返還するそうだ」
ドラムスが簡潔に経緯を説明した。
そう、タローは優勝賞品の魔剣を全員に返したのだ。
タローが言うには『道具を一番うまく使える奴が持つのが、道具も幸せだろう』とのことである。
「さすがおうじ」
「さすがアリスちゃんの旦那さんねえ!」
「良かったッスねジー君!」
「ああ」
「あの野郎……粋なこと言うじゃねぇか」
「ヒッヒッヒ……まぁいいだろう」
「タローちゃんらしいわね~」
「タロー様はお優しいです」
「これでまた修行できるな、ムサシ」
「うん……今度はちゃんとタローくんに勝ってみせるよ」
アリスもアンブレラも、ランもジードも、アキラもクロスも、エリスもシャルルも、ハザードも、そしてムサシも喜んだ。
負けて戻るのでなく、勝って手に入れたいという気持ちもあったのだが、その思いは次に戦う時までとっておくことにしたのだった。
「良かったねレオンちゃん!」
アルバートも手放しに喜んだ。
レオンは眼鏡に手を当てながら口を開く。
「ね? 彼が優勝することが、一番良い結果になったでしょ?」
***
「あ~あ。今後もバイト続行か~」
「良いではないか」
「(^・ω・^)」
(訳:まだまだ頑張りましょう!)
タローが冒険者になって、初めてのことが多い戦いであった。
魔剣の扱いも覚え、様々な動きもコピーし、また一段と強くなった。
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