バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話

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幕間(2)

第125話 異世界ものはヒロインが主人公を好きになる理由が雑だから、明確にしてみましたっていう話

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 タローが洞窟調査に駆り出されている頃、タマコは家でのんびりしていた。
 自分も同行しようとしていたのだが、タローが珍しく「たまには休めば?」と気を利かせたのでお言葉に甘えさせてもらったのだ。

(今日の夕飯は主殿の好きなものにしようかの♪)

 と、ソファーでくつろぎながら考えてでいると、家のインターホンが鳴った。
 郵便でも来たのかと思いソファーから玄関へと移動した。

「どちら様じゃ~……?」

「おひさ~マリア♡」
「こんにちはマリア様」

 そこに居たのはタマコの親友エリスとその主であるシャルルだった。
 シャルルが手土産の紙袋を渡すとエリスは「女子会しよ?」と提案するのだった。


 ***


 タマコはすぐに3人分のお茶を用意すると、シャルルに手渡されたケーキを切り分けた。
 急遽の女子会だったがこれくらいなら何の負担にもならない。
 エリスとシャルルがタマコの入れたお茶に舌鼓を打っていると、シャルルが口を開いた。

「気になったのですが、マリア様はなぜタロー様をお好きになられたのですか?」

 それはシャルルが疑問に思っていたことだった。
 あった回数は少ないがタマコが優しいと言うことは十分に伝わっている。
 戦闘においては申し分なく頼りになり、家庭的でもあり、タマコが人間であったなら男など引く手あまただっただろう。
 だが、そんなタマコが好きになったタローはかなり問題のある男であった。
 家では基本寝るだけであり家事手伝いはしない。命令しても言うことを聞きやしない。
 力尽くで何とかしたいがドン引きするほど強くて手も足も出ない。
 優しい部分も確かにあるのだが、そこだけで好きになるのかと疑問に思うところである。
 シャルルの素朴な疑問にタマコは「うーん……」と首をひねると少しして答えた。

「私もわからんのじゃがなぁ……なんか、好き?」
「な、なんかとは?」

 思わず訊き返した。

「『なんか』、じゃな」
「『なんか』ですか」
「『なんか』なんじゃよ」

 どうやらタマコ自身好きになった理由はよく分からないらしい。
 気付いたら恋に落ちていた、そんな感じだろうか。

("恋"に理由は無いのでしょうか?)

 自分自身よく恋というものがよくわかっていないシャルルはとりあえずそう結論づけた。

 が、それに待ったをかける女が一柱。

「理屈っぽいあなたが理由も無く好きになるわけないでしょ?」

 エリスはケーキを口に運びながら口を挟んだ。

「エリスはマリア様が好きになった理由がわかるの?」
「付き合いが長いからね」
「なぜ私すらわからないのにエリスがわかるんじゃ」
「あんた、自覚が無かったのね~」

 タマコにすらわからないホレた理由。
 エリスは一つため息をつくとフォークをタマコに向けて言った。

「あんた、昔っからじゃない? ホントにわからなかったのね」

「………………………………え?」

 ダメ男好き。
 その言葉にタマコは酷く動揺した。

「いやいやいやいや。ないないないないありえなーい。そんなわけないじゃろー」
「言葉遣いおかしくなってるわよ?」

 指摘されさらに焦るタマコは汗が止まらなかった。

「いやいやいや! 私これでも魔王じゃぞ? その魔王がダメ男が好きなんてあるわけないじゃろ!」
「……シャルルはどう思う?」

 と、エリスに突然話をフラれたシャルルは驚きつつも正直な感想を答える。

「マリア様はしっかりした方ですし。きっとタロー様の優しい所に惹かれたんだと思います!」

 純真無垢な濁りの無い笑顔を添えたシャルルに、タマコは満足そうな顔を浮かべた。

「うむ! 流石じゃシャルル。
 私がダメ男が好きなんて、そんなわけないんじゃよ! 
 あっははは。わっはっはっはっは! ―― 」


 ・・・・・・・

 ・・・・・

 ・・・


「たで~ま~……ってシャルルとエリスが来てた」
「おかえり~。あと状況説明ありがと~」

 外は夕方となり、洞窟調査の依頼を終えたタローが帰ってきた。
 いい時間なのでシャルルもエリスもそろそろ帰ろうかと身支度を整え始める。

(マリア様がダメ男好きなんて、そんなことあるわけありません。
 まったく、エリスも変なこと言うんだから!)

 何気なくそんなことを考えていると、横でタローがタマコに話しかけているのが聞こえた。

「タマコー」
「なんじゃ?」
「明日、ムサシと遊びに行くから金くれ。あと夕飯食ってきたから。
 じゃ俺寝るわ。あとよろしく~」

 それだけ言ってタローは自室へと向かっていった。

(タロー様、それは酷すぎではありませんか!?)

 タローの態度は聖女シャルルから見ても酷いものだった。
 タマコが傷ついているのではと思い、そっとタマコを見やる。


 …………………………………………キュン!


 タマコはポッと頬を赤く染めていた。

 それを見たシャルルは思った。

(あ、ダメ男好きホントだ)と。
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