バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話

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最終章・転生勇者編

第135話 勇者の盾

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 軽鎧ライトアーマーの上に赤いマント。真っすぐ強い瞳をした男は黄金の剣と盾を右手と左手にそれぞれ持った。
 対して上半身裸にピアスや指輪を付けた男は武器を一切持たず、硬く握った拳を構える。

 ユウシとアキラ。

 まるで優等生と不良のようにも見える正反対の二人。
 武器と素手。
 鎧と裸。
 明らかにアキラの方が不利に思える戦いだが。――

「いくぜ」

 短い掛け声とともにアキラは臆せず距離を詰めた。
 初手はダッシュによる加速と右の拳によるパンチだった。

「うぉらぁああああッ!」

 雄叫びと共に撃ちだされた拳。

「この程度ッ!」

 ユウシは左手に持った盾でガードした。
 衝撃に耐えアキラの初撃を受け止めると、右手の剣を振り下ろす。

「まだまだぁッ!」

 アキラはユウシの剣を持つをピンポイントで蹴り上げた。
「なッ!?」と驚くユウシ。
「くらいやがれッ!」
 攻撃を反らすのと同時に、アキラは回転蹴りを繰り出した。

「ぐッ!」

 強烈な回し蹴りは、ユウシの右わき腹を直撃した。
 ユウシは衝撃を殺せず、岩壁へ蹴り飛ばされしまった。
 少しだけ目がくらむが休んでいる暇はない。
 アキラはすでに追撃しようと距離を詰めてきていたのだ。

「さっさとお寝んねしなぁ!」

 ユウシの顔面目掛けて飛び膝蹴りを放つアキラ。
 だがユウシはフラつきながらも、寸前で横に転がり難を逃れた。
 と、そのときアキラにハプニングが発生する。
 ユウシが避けたことによりアキラの膝蹴りは後ろの岩へと撃ち込まれていた。
 岩に膝が食い込むほどの凄まじい威力であったが、それ故に足が挟まってしまったのである。

「うお! ヤベェ力みすぎちまった!」

 何とか抜こうとするも、なかなか抜けない。
 そしてその間に、ユウシの意識が覚醒し回復に成功する。
 ユウシはこの機を逃さず、手に魔力を溜め、特大の炎を放った。

「――フレイムボム!」

 上級炎魔法フレイムボム。
 魔力の多いユウシの魔法は、Aランクの魔法より10倍以上の威力を誇る。
 アキラの防御力でも危うい攻撃であった。

「ぬぉ、お、おおああああッッ! 」

 危険を感じたアキラは足に渾身の力をこめた。
 すると徐々に岩が緩みだし、なんとか抜け出すことに成功した。

「よっしゃ抜け――」

 歓喜の声を上げようとしたが、すでに炎は迫っていた。
 その瞬間にアキラは悟った。
(あ、躱せなねぇな)と。
 誰もが絶望的に思う状況である。
 だが――

「――上等だぁあコラァ!」

 アキラは口角を上げ、狂気の笑みを浮かべた
 そして特大の炎の中に、何の対策も無いまま突っ込んでいった。

「な、バカか貴様!」

 ユウシもその突飛な行動に目を見開いた。

「アッチィイ~~~~! ……けど、気合でのり、越えるッ!」

 炎の中をギラギラした目で突っ切ったアキラは、炎の中から生還した。
 体から煙がプスプスと上がっているが、アキラに弱っている様子はない。

「ハッハッハ! やっぱ大事なのは気合だな!」

 メチャクチャな戦法。けれど、やってのけたのだから結果的に成功である。
 呆れるユウシであったが、今は戦闘中だ。

「休んでる暇はねぇぞ!」

 すぐさまパンチを繰り出すアキラ。
 ユウシは「やれやれ……」とアキラの拳を盾で受け止める。

「――さすが、Sランクは伊達じゃないね」

 拳と盾により膠着状態となる両者。
 が、直後にユウシの盾が赤く発光し始めた。

「あ? なんだ――」とアキラは怪訝に思った。

 突然だが、ここでユウシの武器について説明しよう。
 "勇者の盾"と"勇者の剣"。
 この二つには、魔剣のように固有能力が備わっている。
 剣はのちに説明するとして、まずは"盾"の能力。
 この盾には能力が二つある。
 一つは威力の"蓄積"だ。
 盾で受けたダメージを蓄積できる能力である。
 そしてもう一つは"解放"である。
 これは蓄積された攻撃分の威力を爆発させるという能力だ。

 能力の名を、"バーストカウンター"という。

 この戦い、アキラの攻撃を何度か受けているユウシ。
 その際、ユウシはその威力を、確実に盾へと蓄積させていた。

 そして、蓄積された威力はもちろん――

「自分の攻撃、その身で味わうといい!」

 盾から発せられた赤い光は、高速で収束した。
 その直後、爆炎がアキラを飲み込んだ。
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