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最終章・転生勇者編
第150話 抉る
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アリスの殺意に合わせて、その魔剣は胎動を始める。
心臓が呻くように、または胃袋が食事を求めるように。
風の音も虫の声も一つしない静けさも相まって、不気味な鼓動はユウシの耳を強く叩いた。
(あれが、魔剣ベルゼブブの真の姿……)
警戒をしつつ黄金の剣と盾を両手に出現させる。
しかし武器を握っただけで恐怖が和らぐことは無い。
アリスの狂気と魔剣の不気味さの恐怖のブレンドはユウシの精神をじわりじわりと蝕んでいく。
武器を握る手に汗が滲み出て、自然と力が入った。
「……さっさとおわらせる」
アリスは小さく呟くと、両腕をだらりと下げた。
対してユウシは盾を前方に構える防御姿勢。
(落ち着け、良く見ろ!)
恐怖に支配されかける心を律し、自分に強く言い聞かせた。
頭をクールダウンさせ、冷静さを取り戻しつつ相手を見やる。
アリスはまだ構えない。
だが両腕を下げたまま、徐にゆらゆらと身体を横に前に後ろにと揺らし始めた。
(落ち着け……落ち着け)
ただただ不気味な動きのように見え、さらに恐怖感を増していく。
ユウシは警戒を強めて集中する。
アリスはひたすらにゆらゆらと、ただゆらゆらと揺れるのみだ。
(落ち着け……落ち着け……)
アリスから決して目を離さず、わずかな挙動も見逃さない。
怪しい動きをすればこちらから斬りかかるのも手段として有りだ。
(落ち着――)
冷静に、冷静にアリスに目をやった。
ゆらゆら……
ゆらゆら……
ゆらゆら……
フッ――
その瞬間、少女は消えた。
(ア、レ……?)
その光景に、ユウシは目を開いたまま動けなくなった。
まるで最初から幻影だったかのように、少女は奇麗さっぱりと目の前から消え去ってしまった。
(いったいどこに――)
ユウシの視界から、アリスは消えた。
だが、その代わりに――
「――……いただきまーす」
背後から、少女の声が聞こえた。
「――ッ!?」
驚き振り返ったとき、最初に目に飛び込んだのは緑色の瞳だった。
真っ白な肌と金色の髪の毛とが合わさり、その緑を強調させている。
そしてその瞳から感じたのは、ただただ純粋な食欲であった。
(しまった!)
少女を視界にとらえたとき、ユウシの心を一瞬だけ恐怖が支配し、身体が硬直してしまった。
無防備な状態を見逃さず、アリスは完璧なタイミングで魔剣を振り下ろす。
ザクッ
ユウシは防御が間に合わず、背中に直接暴食の魔剣の刃を受けた。
そして、暴食の魔剣は魔剣の中でも異質な"ノコギリ型"の魔剣。
考えてみて欲しい。
丈夫な大木を切断する刃を。
鉄すら削り斬る刃を。
あの鋸歯が、背中の肉を走れば、一体どうなるだろうか?
「ぐぅあああああああああッ!」
悲鳴と共に鮮血が舞った。
激痛が身体を駆け抜けると、ユウシは思わず倒れ伏した。
「……んー」
倒れた勇者に目も暮れず、アリスは暴食の魔剣に付着している真っ赤な肉片を手に取ると、それを口に入れた。
もごもごと舌で肉を転がした後、咀嚼して味わった。
「……不ッッ味い肉だね」
肉を飲み込むと、口元の血を拭いながら少女は感想を漏らすのだった。
心臓が呻くように、または胃袋が食事を求めるように。
風の音も虫の声も一つしない静けさも相まって、不気味な鼓動はユウシの耳を強く叩いた。
(あれが、魔剣ベルゼブブの真の姿……)
警戒をしつつ黄金の剣と盾を両手に出現させる。
しかし武器を握っただけで恐怖が和らぐことは無い。
アリスの狂気と魔剣の不気味さの恐怖のブレンドはユウシの精神をじわりじわりと蝕んでいく。
武器を握る手に汗が滲み出て、自然と力が入った。
「……さっさとおわらせる」
アリスは小さく呟くと、両腕をだらりと下げた。
対してユウシは盾を前方に構える防御姿勢。
(落ち着け、良く見ろ!)
恐怖に支配されかける心を律し、自分に強く言い聞かせた。
頭をクールダウンさせ、冷静さを取り戻しつつ相手を見やる。
アリスはまだ構えない。
だが両腕を下げたまま、徐にゆらゆらと身体を横に前に後ろにと揺らし始めた。
(落ち着け……落ち着け)
ただただ不気味な動きのように見え、さらに恐怖感を増していく。
ユウシは警戒を強めて集中する。
アリスはひたすらにゆらゆらと、ただゆらゆらと揺れるのみだ。
(落ち着け……落ち着け……)
アリスから決して目を離さず、わずかな挙動も見逃さない。
怪しい動きをすればこちらから斬りかかるのも手段として有りだ。
(落ち着――)
冷静に、冷静にアリスに目をやった。
ゆらゆら……
ゆらゆら……
ゆらゆら……
フッ――
その瞬間、少女は消えた。
(ア、レ……?)
その光景に、ユウシは目を開いたまま動けなくなった。
まるで最初から幻影だったかのように、少女は奇麗さっぱりと目の前から消え去ってしまった。
(いったいどこに――)
ユウシの視界から、アリスは消えた。
だが、その代わりに――
「――……いただきまーす」
背後から、少女の声が聞こえた。
「――ッ!?」
驚き振り返ったとき、最初に目に飛び込んだのは緑色の瞳だった。
真っ白な肌と金色の髪の毛とが合わさり、その緑を強調させている。
そしてその瞳から感じたのは、ただただ純粋な食欲であった。
(しまった!)
少女を視界にとらえたとき、ユウシの心を一瞬だけ恐怖が支配し、身体が硬直してしまった。
無防備な状態を見逃さず、アリスは完璧なタイミングで魔剣を振り下ろす。
ザクッ
ユウシは防御が間に合わず、背中に直接暴食の魔剣の刃を受けた。
そして、暴食の魔剣は魔剣の中でも異質な"ノコギリ型"の魔剣。
考えてみて欲しい。
丈夫な大木を切断する刃を。
鉄すら削り斬る刃を。
あの鋸歯が、背中の肉を走れば、一体どうなるだろうか?
「ぐぅあああああああああッ!」
悲鳴と共に鮮血が舞った。
激痛が身体を駆け抜けると、ユウシは思わず倒れ伏した。
「……んー」
倒れた勇者に目も暮れず、アリスは暴食の魔剣に付着している真っ赤な肉片を手に取ると、それを口に入れた。
もごもごと舌で肉を転がした後、咀嚼して味わった。
「……不ッッ味い肉だね」
肉を飲み込むと、口元の血を拭いながら少女は感想を漏らすのだった。
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