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最終章・転生勇者編
第161話 キミを信じている
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その日は曇りだった。
丁度良い暗さに眠くなって、心地よく昼寝をしていた。
けれど、突然外がうるさくなって、仕方なく起きた。
いつもの俺なら、それくらい無視している。
なのにその時だけは、なんだか嫌な予感がしたんだ。
『…………ッ!』
直感に従い家を飛び出しすと、血だまりの中に倒れるタマコが見えた。
更にその向こうには、犯人だろうか? 悲鳴に近い叫び声をあげて走り去っていく奴が見えた。
追おうと思ったけど、それよりタマコが心配だった。
抱きかかえると、タマコは一度だけ瞼を開け、俺の名前を呼んだ。
『……タ……ロー……――』
それを最後に、タマコはもう一度瞼を閉じた。
体温が低くなっていくのが手から伝わった。
それが雨で冷えたせいでないことは、バカな俺でも理解できる。
『――……タマ、コ?』
俺が呼んでも、タマコはもう動かなかった。
冷たい雨が身体を濡らす中で、頬を伝う雫だけが熱かった。
・・・・・・・
・・・・・
・・・
騒動のあと、周りで見ていた住民の一人が、冒険者やヒーラーを呼び応援に駆け付けた。
タマコはすぐに治療院へと運ばれ、シャルルが処置を行うこととなった。
シャルルによれば、フェニックスの生命力ならば、傷を治療すれば蘇生する可能性があるとのこと。
しかし、タマコの傷を見たシャルルの顔は訝しげであり、目を覚ます可能性が低いことをタローは理解していた。
タローは、雨で濡れた髪も乾かさずに俯いたまま動かない。
「(´・ω・`)」
「訳:…………タロー様」
目に見えて落ち込んでいる所有者に、プーもどうしていいかわからない。
プーはある意味タローよりもタマコと付き合いが長い。だからタマコのことも心配だし、気が気ではなかった。
なまじ自由意志を持ったせいでこんな思いをするくらいだったら、持ちたくなかったとさえ思ってしまう。
無言が続く中で、突然タローの頭にタオルが投げられた。
顔を上げると、ムサシとレオンが立っていた。
「風邪、ひくよ?」
ムサシがそう言うと「あぁ……ありがとう」と静かに受け取り、髪を拭き始める。
その間、レオンが話をする。
「勇者の力には、魔力の流れを乱す効果があると聞きます。
恐らくですが、フェニックスの蘇生能力が阻害されて、復活が困難になっているのでしょう」
「……勇者?」
「一部始終を見ていた者に聞いた特徴から、マリアさんを殺したのは勇者で間違いないでしょうね」
レオンは最後に「自分を犠牲にして子供を守るとは。優しい魔王だ」と付け加えた。
タローは「アイツらしいや」と少しだけ顔をにやけさせる。
すると、今度はムサシが頭を下げた。
突然のことに驚いたタローに、ムサシはこれまでの出来事を話した。
勇者が魔王を倒すためにSランク冒険者と戦い、力を付けていたこと。
その際、アリスに負けた勇者を煽り、自分が倒したことを。
それらが原因で、自暴自棄を起こした可能性があること。
「あの時、僕が無理に戦わなかったらこんなことにならなかったかもしれない。
……いや、いっそ僕が勇者を殺しておけば――」
「いいよムサシ。謝るな」
ムサシの言葉をタローは最後まで言わせなかった。
「やったのは勇者なんだろ? だったら、お前が謝ることじゃないだろ」
「でも――」
「お前がそのとき勇者を殺していたら、今度は別の誰かが悲しんで、お前を殺しに行ってたかもしれない。
……殺して解決する問題じゃないよ。
それにさ――」
顔を上げたタローは――目を腫らしながらも、無理やり笑みをつくっていた。
「タマコが死ぬとは、限らない! どんなに可能性が低くても、0じゃない! だからタマコは生き返る!
俺は、そう信じてる……ッ!」
実際、本当にタマコが生き返るかは賭けだ。
フェニックスは希少で、その生態は謎のまま。
ただ生命力が強いことがわかっているので、そうかもしれないという希望的観測に過ぎない。
それでも、タローは信じているのだ。
タマコは、きっと戻ってくると――。
「……ムサシ、レオンさん」
タローは袖で目元を乱暴に拭うと、ムサシとレオンへと顔を向ける。
「一つだけ、頼みたいことがあるんだけど――」
それは、一つの伝言だった。
丁度良い暗さに眠くなって、心地よく昼寝をしていた。
けれど、突然外がうるさくなって、仕方なく起きた。
いつもの俺なら、それくらい無視している。
なのにその時だけは、なんだか嫌な予感がしたんだ。
『…………ッ!』
直感に従い家を飛び出しすと、血だまりの中に倒れるタマコが見えた。
更にその向こうには、犯人だろうか? 悲鳴に近い叫び声をあげて走り去っていく奴が見えた。
追おうと思ったけど、それよりタマコが心配だった。
抱きかかえると、タマコは一度だけ瞼を開け、俺の名前を呼んだ。
『……タ……ロー……――』
それを最後に、タマコはもう一度瞼を閉じた。
体温が低くなっていくのが手から伝わった。
それが雨で冷えたせいでないことは、バカな俺でも理解できる。
『――……タマ、コ?』
俺が呼んでも、タマコはもう動かなかった。
冷たい雨が身体を濡らす中で、頬を伝う雫だけが熱かった。
・・・・・・・
・・・・・
・・・
騒動のあと、周りで見ていた住民の一人が、冒険者やヒーラーを呼び応援に駆け付けた。
タマコはすぐに治療院へと運ばれ、シャルルが処置を行うこととなった。
シャルルによれば、フェニックスの生命力ならば、傷を治療すれば蘇生する可能性があるとのこと。
しかし、タマコの傷を見たシャルルの顔は訝しげであり、目を覚ます可能性が低いことをタローは理解していた。
タローは、雨で濡れた髪も乾かさずに俯いたまま動かない。
「(´・ω・`)」
「訳:…………タロー様」
目に見えて落ち込んでいる所有者に、プーもどうしていいかわからない。
プーはある意味タローよりもタマコと付き合いが長い。だからタマコのことも心配だし、気が気ではなかった。
なまじ自由意志を持ったせいでこんな思いをするくらいだったら、持ちたくなかったとさえ思ってしまう。
無言が続く中で、突然タローの頭にタオルが投げられた。
顔を上げると、ムサシとレオンが立っていた。
「風邪、ひくよ?」
ムサシがそう言うと「あぁ……ありがとう」と静かに受け取り、髪を拭き始める。
その間、レオンが話をする。
「勇者の力には、魔力の流れを乱す効果があると聞きます。
恐らくですが、フェニックスの蘇生能力が阻害されて、復活が困難になっているのでしょう」
「……勇者?」
「一部始終を見ていた者に聞いた特徴から、マリアさんを殺したのは勇者で間違いないでしょうね」
レオンは最後に「自分を犠牲にして子供を守るとは。優しい魔王だ」と付け加えた。
タローは「アイツらしいや」と少しだけ顔をにやけさせる。
すると、今度はムサシが頭を下げた。
突然のことに驚いたタローに、ムサシはこれまでの出来事を話した。
勇者が魔王を倒すためにSランク冒険者と戦い、力を付けていたこと。
その際、アリスに負けた勇者を煽り、自分が倒したことを。
それらが原因で、自暴自棄を起こした可能性があること。
「あの時、僕が無理に戦わなかったらこんなことにならなかったかもしれない。
……いや、いっそ僕が勇者を殺しておけば――」
「いいよムサシ。謝るな」
ムサシの言葉をタローは最後まで言わせなかった。
「やったのは勇者なんだろ? だったら、お前が謝ることじゃないだろ」
「でも――」
「お前がそのとき勇者を殺していたら、今度は別の誰かが悲しんで、お前を殺しに行ってたかもしれない。
……殺して解決する問題じゃないよ。
それにさ――」
顔を上げたタローは――目を腫らしながらも、無理やり笑みをつくっていた。
「タマコが死ぬとは、限らない! どんなに可能性が低くても、0じゃない! だからタマコは生き返る!
俺は、そう信じてる……ッ!」
実際、本当にタマコが生き返るかは賭けだ。
フェニックスは希少で、その生態は謎のまま。
ただ生命力が強いことがわかっているので、そうかもしれないという希望的観測に過ぎない。
それでも、タローは信じているのだ。
タマコは、きっと戻ってくると――。
「……ムサシ、レオンさん」
タローは袖で目元を乱暴に拭うと、ムサシとレオンへと顔を向ける。
「一つだけ、頼みたいことがあるんだけど――」
それは、一つの伝言だった。
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