5 / 48
春篇 邂逅
4話 択一
貴澄さんが教室を出てから、いったいどれだけの時間が経過しただろう。10分かもしれないし、実は3分しか経過していないかもしれない。
次に呼ばれるのが私だと思うと、ひとり15分の面談時間が無限のように感じられた。まるで世界が凍ってしまったかのようだった。今は教室に掛けられた時計の針だけが乾いた音をたてながら正しく時を刻んでいる。
ファミリア選考の面談は、出席番号順にクラスメイトを隣の空き教室へ呼び、担任であるモニカ教諭と1対1で対話する形式で行われる。一応、入学前にファミリア選考に際しての事前調査と称する筆記課題が出されていたのだが、おそらく書面からは感じ取られない生徒たちの内面を肌で感じ取るためなのだろう。
対策をするにはあまりに短い時間の中で、私はただ聞こえてくる音に耳を傾けることしかできなかった。
「なんだか入試の時を思い出してしまうようで、気が滅入るね」
「まったくよ! 入学前に書かされた事前調査アンケートの意味がないじゃない」
東口さんと……この学校に来てから聞いた一番元気の良さそうな声はいったい誰なんだろう。
気にはなっても私の視線は時計から外れることなく、ただ聴覚を研ぎ澄ませ続けていた。
「紙に書いた自分なんて、いくらでも偽れる。それが素顔なのか仮面なのか、それを見たいんだろうね。まあ、何のための入試面接だったのか。とは思うけどね」
「けど、今回は落ちるも受かるもないんだし、テキトーでも大丈夫でしょ」
「おいおい、これで三年間一緒に暮らす相手が決まるんだ。いいのかい?」
「いいよ、別に。変に気合を入れた私よりも、取り繕わない、いつもの私と気が合いそうな人と一緒に暮らしたいもん」
(取り繕わない、いつもの私)
この15分で3年間寝食を共にする友人が決まるのだから、自分の気持ちに嘘をつくようなことはしたくない。いや、むしろ自分の気持ちを正直に伝えることこそが最適解なのかもしれない。
――私は、私の思いを伝えるだけでいい
そう考えただけで、私の肩に乗っていた重荷はどこか遠くに行ってしまったようだった。凍っていた世界は暖かさを取り戻し、規則正しく動く時計の針は私の耳に心地よい音を運ぶ。
「ははっ、そうかい。君らしいね」
「もう私のことを知ったつもりなの? 私、そんなに底の浅い女じゃないんだけど」
「ぶふっ……」
この子にはどんな自信があってそんな言葉が出てくるの⁉
あまりにも突然のことでつい吹き出してしまった。二人分の視線が肩に突き刺さって心が痛い。
「倉實さん、いったいいつから聞いていたんだい?」
「くらさねさん?」
「あぁそうか、君はまだ倉實さんと話したことなかっ……」
東口さんが言い終える前に、教室の扉が開く音を聞いた。最高のタイミングに、彼女が帰ってきてくれた。
「次、倉實さんの番よ。準備ができたら隣の空き教室に来てほしいって」
「あ、う、うん! ありがとう貴澄さん。東口さんもまた今度、じゃあ」
「行ってらっしゃい」
小さく手を振る彼女のその言葉が、立ち上がろうとしていた私の背中を押してくれた。
――行ってきます
そう心の内で唱えながら私は教室を後にする。
どうやら私はこの面談を堅苦しいものだと勘違いしていたらしい。
「そう、クラシック音楽が好きなの。先生もここ最近聞き始めてね、ドビュッシーとかよく聞くのよ」
始まってからというものの、聞かれたことは子供のころ好きだったことや現在の趣味、好きな音楽などというわざわざ15分もの時間をとってまで教師と話すようなことではなかった。
「わ、私もドビュッシーの音楽は好きです。特に月の光とか……メジャーすぎるかもしれないですけど、暖かみのなかに確かに残っている悲壮感を表現されていて、あの曖昧な世界観に溺れていたいって思ったこともあります。それで……」
ふふ、とモニカ教諭の笑い声で私は私の世界から目を覚ました。
「あっ、すみません。そこまでは聞いてなかったですよね」
まさに穴があったら入りたい状況だった。私だけ浮かれてこんなにペラペラ喋ってしまって……
「いえいえ、倉實さんがこんなに楽しそうにお話してくれる所をみていたらうれしくてつい、ね? ほら、その……辛い思いもあったでしょうから」
急に声のトーンと視点を下げたモニカ教諭は、自分からしてもあからさま過ぎたのか、ばつの悪そうな顔でうつむいていた。
右腕の話になることは覚悟していたが、聞き手にそんな顔をされてしまっては私の言葉も喉の奥で絡まり、何も言えなくなる。
話に華が咲いていたこの教室に沈黙が訪れた後、それを最初に破ったのはモニカ教諭だった。
「あまり聞きたくない話だろうけど、少し我慢してくださいね?」私をあやすように声をかけると、続けて「右手が不自由でしかも寮生活だと、どうしても倉實さんの生活に支障が出てしまうと思うの。だからその……ファミリアの方にはともに生活することに加えて、あなたの介助も頼もうと考えているの」
介助。今の私は1人でろくに体も洗えないし、ワイシャツのボタンさえ留めることができない。入学前は祖父母に介助をしてもらうことでかろうじて普通の生活を送ることができていた。
(普通の生活……)
親でもなんでもない、他人であるファミリアは、他人である私を受け入れてくれるだろうか。それで迷惑は掛からないだろうか。
それとも。
(私は、他人に迷惑をかけることでしか、普通の生活を送れないというの……?)
新しい環境での生活。ただでさえ不安があるはずなのに、それに加えて「私」なんていう不安要素、受け入れてくれる人はいるのだろうか。
(君は1人じゃない)
脳裏によぎったのは、岬で贈られた言葉。
(あの人だったら、こんな私も受け入れてくれるのかな)
名前も学年もわからない彼女だけれど、また会いたい。そしてこんな私を受け入れてほしい。そう思えた。
「倉實さん?」
「ひ、ひゃい!」
悪い癖だ。思考に没頭していたらしい。意識外からの呼びかけに思わず卒倒してしまうところだった。
「ごめんなさい。気分でも悪くしてしまったかしら……」
「いえ、大丈夫です。ちょっと考え事をしていて」
「それでね、できれば倉實さんにはすでに仲の良い子とファミリアになってもらった方が良いと考えているのだけれど……もうお友達は作れた?参考までに聞かせてくれないかしら」
赤の他人よりは受け入れてくれそう。もっともらしい提案だった。幸いお話しすることができたクラスメイトだっている。
「き、貴澄さんと東口さんとは、仲良くなれた……気がします」
少し自信はないが、少なくとも私からは仲の良い人という認識である2人を挙げると、モニカ教諭はうれしそうに
「あら!それはよかったわぁ!お2人とも穏やかで優しい方ですし、きっとこれからも倉實さんと良い関係を築いていけると思うわ」
東口さんが穏やかなのかはこの際考えないとしても、2人はとても優しくて魅力的な人に映った。私に話しかけてくれたし。
「そうなると倉實さんのファミリアは多分お二方のうちのどちらかになるとは思うのだけれど……参考までに貴澄さんと東口さん。どちらの方とこれから一緒に生活したいと思う?」
(それを決めるのがあなたの仕事じゃないの!?)
最後の最後にとんでもない決断を迫ってきたモニカ教諭をよそに、私は思考を巡らせた。
――貴澄さん
不安だらけだった私に初めて声をかけてくれたクラスメイト。可憐で真面目そうで優しい……私の初めての友達。
――東口さん
どこか懐かしさを感じさせられた私の「同胞」。お嬢様だらけのこの学院で見つけた一般家庭勢。不思議と彼女の前ではなにも緊張せずに話すことができる。自分でも信じられないほどに。
考えれば考えるほどにどちらかを選ぶことができなくなる。私はどちらがファミリアになってくれても嬉しい。私は人を選べるような立場じゃない。それでも私は
「私は――」
次に呼ばれるのが私だと思うと、ひとり15分の面談時間が無限のように感じられた。まるで世界が凍ってしまったかのようだった。今は教室に掛けられた時計の針だけが乾いた音をたてながら正しく時を刻んでいる。
ファミリア選考の面談は、出席番号順にクラスメイトを隣の空き教室へ呼び、担任であるモニカ教諭と1対1で対話する形式で行われる。一応、入学前にファミリア選考に際しての事前調査と称する筆記課題が出されていたのだが、おそらく書面からは感じ取られない生徒たちの内面を肌で感じ取るためなのだろう。
対策をするにはあまりに短い時間の中で、私はただ聞こえてくる音に耳を傾けることしかできなかった。
「なんだか入試の時を思い出してしまうようで、気が滅入るね」
「まったくよ! 入学前に書かされた事前調査アンケートの意味がないじゃない」
東口さんと……この学校に来てから聞いた一番元気の良さそうな声はいったい誰なんだろう。
気にはなっても私の視線は時計から外れることなく、ただ聴覚を研ぎ澄ませ続けていた。
「紙に書いた自分なんて、いくらでも偽れる。それが素顔なのか仮面なのか、それを見たいんだろうね。まあ、何のための入試面接だったのか。とは思うけどね」
「けど、今回は落ちるも受かるもないんだし、テキトーでも大丈夫でしょ」
「おいおい、これで三年間一緒に暮らす相手が決まるんだ。いいのかい?」
「いいよ、別に。変に気合を入れた私よりも、取り繕わない、いつもの私と気が合いそうな人と一緒に暮らしたいもん」
(取り繕わない、いつもの私)
この15分で3年間寝食を共にする友人が決まるのだから、自分の気持ちに嘘をつくようなことはしたくない。いや、むしろ自分の気持ちを正直に伝えることこそが最適解なのかもしれない。
――私は、私の思いを伝えるだけでいい
そう考えただけで、私の肩に乗っていた重荷はどこか遠くに行ってしまったようだった。凍っていた世界は暖かさを取り戻し、規則正しく動く時計の針は私の耳に心地よい音を運ぶ。
「ははっ、そうかい。君らしいね」
「もう私のことを知ったつもりなの? 私、そんなに底の浅い女じゃないんだけど」
「ぶふっ……」
この子にはどんな自信があってそんな言葉が出てくるの⁉
あまりにも突然のことでつい吹き出してしまった。二人分の視線が肩に突き刺さって心が痛い。
「倉實さん、いったいいつから聞いていたんだい?」
「くらさねさん?」
「あぁそうか、君はまだ倉實さんと話したことなかっ……」
東口さんが言い終える前に、教室の扉が開く音を聞いた。最高のタイミングに、彼女が帰ってきてくれた。
「次、倉實さんの番よ。準備ができたら隣の空き教室に来てほしいって」
「あ、う、うん! ありがとう貴澄さん。東口さんもまた今度、じゃあ」
「行ってらっしゃい」
小さく手を振る彼女のその言葉が、立ち上がろうとしていた私の背中を押してくれた。
――行ってきます
そう心の内で唱えながら私は教室を後にする。
どうやら私はこの面談を堅苦しいものだと勘違いしていたらしい。
「そう、クラシック音楽が好きなの。先生もここ最近聞き始めてね、ドビュッシーとかよく聞くのよ」
始まってからというものの、聞かれたことは子供のころ好きだったことや現在の趣味、好きな音楽などというわざわざ15分もの時間をとってまで教師と話すようなことではなかった。
「わ、私もドビュッシーの音楽は好きです。特に月の光とか……メジャーすぎるかもしれないですけど、暖かみのなかに確かに残っている悲壮感を表現されていて、あの曖昧な世界観に溺れていたいって思ったこともあります。それで……」
ふふ、とモニカ教諭の笑い声で私は私の世界から目を覚ました。
「あっ、すみません。そこまでは聞いてなかったですよね」
まさに穴があったら入りたい状況だった。私だけ浮かれてこんなにペラペラ喋ってしまって……
「いえいえ、倉實さんがこんなに楽しそうにお話してくれる所をみていたらうれしくてつい、ね? ほら、その……辛い思いもあったでしょうから」
急に声のトーンと視点を下げたモニカ教諭は、自分からしてもあからさま過ぎたのか、ばつの悪そうな顔でうつむいていた。
右腕の話になることは覚悟していたが、聞き手にそんな顔をされてしまっては私の言葉も喉の奥で絡まり、何も言えなくなる。
話に華が咲いていたこの教室に沈黙が訪れた後、それを最初に破ったのはモニカ教諭だった。
「あまり聞きたくない話だろうけど、少し我慢してくださいね?」私をあやすように声をかけると、続けて「右手が不自由でしかも寮生活だと、どうしても倉實さんの生活に支障が出てしまうと思うの。だからその……ファミリアの方にはともに生活することに加えて、あなたの介助も頼もうと考えているの」
介助。今の私は1人でろくに体も洗えないし、ワイシャツのボタンさえ留めることができない。入学前は祖父母に介助をしてもらうことでかろうじて普通の生活を送ることができていた。
(普通の生活……)
親でもなんでもない、他人であるファミリアは、他人である私を受け入れてくれるだろうか。それで迷惑は掛からないだろうか。
それとも。
(私は、他人に迷惑をかけることでしか、普通の生活を送れないというの……?)
新しい環境での生活。ただでさえ不安があるはずなのに、それに加えて「私」なんていう不安要素、受け入れてくれる人はいるのだろうか。
(君は1人じゃない)
脳裏によぎったのは、岬で贈られた言葉。
(あの人だったら、こんな私も受け入れてくれるのかな)
名前も学年もわからない彼女だけれど、また会いたい。そしてこんな私を受け入れてほしい。そう思えた。
「倉實さん?」
「ひ、ひゃい!」
悪い癖だ。思考に没頭していたらしい。意識外からの呼びかけに思わず卒倒してしまうところだった。
「ごめんなさい。気分でも悪くしてしまったかしら……」
「いえ、大丈夫です。ちょっと考え事をしていて」
「それでね、できれば倉實さんにはすでに仲の良い子とファミリアになってもらった方が良いと考えているのだけれど……もうお友達は作れた?参考までに聞かせてくれないかしら」
赤の他人よりは受け入れてくれそう。もっともらしい提案だった。幸いお話しすることができたクラスメイトだっている。
「き、貴澄さんと東口さんとは、仲良くなれた……気がします」
少し自信はないが、少なくとも私からは仲の良い人という認識である2人を挙げると、モニカ教諭はうれしそうに
「あら!それはよかったわぁ!お2人とも穏やかで優しい方ですし、きっとこれからも倉實さんと良い関係を築いていけると思うわ」
東口さんが穏やかなのかはこの際考えないとしても、2人はとても優しくて魅力的な人に映った。私に話しかけてくれたし。
「そうなると倉實さんのファミリアは多分お二方のうちのどちらかになるとは思うのだけれど……参考までに貴澄さんと東口さん。どちらの方とこれから一緒に生活したいと思う?」
(それを決めるのがあなたの仕事じゃないの!?)
最後の最後にとんでもない決断を迫ってきたモニカ教諭をよそに、私は思考を巡らせた。
――貴澄さん
不安だらけだった私に初めて声をかけてくれたクラスメイト。可憐で真面目そうで優しい……私の初めての友達。
――東口さん
どこか懐かしさを感じさせられた私の「同胞」。お嬢様だらけのこの学院で見つけた一般家庭勢。不思議と彼女の前ではなにも緊張せずに話すことができる。自分でも信じられないほどに。
考えれば考えるほどにどちらかを選ぶことができなくなる。私はどちらがファミリアになってくれても嬉しい。私は人を選べるような立場じゃない。それでも私は
「私は――」
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【純愛百合】檸檬色に染まる泉【純愛GL】
里見 亮和
キャラ文芸
”世界で一番美しいと思ってしまった憧れの女性”
女子高生の私が、生まれてはじめて我を忘れて好きになったひと。
雑誌で見つけた、たった一枚の写真しか手掛かりがないその女性が……
手なんか届くはずがなかった憧れの女性が……
いま……私の目の前にいる。
奇跡みたいな出会いは、優しいだけじゃ終わらない。
近づくほど切なくて、触れるほど苦しくて、それでも離れられない。
憧れの先にある“本当の答え”に辿り着くまでの、静かな純愛GL。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
迷子を助けたら生徒会長の婚約者兼女の子のパパになったけど別れたはずの彼女もなぜか近づいてくる
九戸政景
恋愛
新年に初詣に来た父川冬矢は、迷子になっていた頼母木茉莉を助け、従姉妹の田母神真夏と知り合う。その後、真夏と再会した冬矢は真夏の婚約者兼茉莉の父親になってほしいと頼まれる。
※こちらは、カクヨムやエブリスタでも公開している作品です。
再婚相手の連れ子は、僕が恋したレンタル彼女。――完璧な義妹は、深夜の自室で「練習」を強いてくる
まさき
恋愛
「初めまして、お兄さん。これからよろしくお願いしますね」
父の再婚によって現れた義理の妹・水瀬 凛(みなせ りん)。
清楚なワンピースを纏い、非の打ち所がない笑顔で挨拶をする彼女を見て、僕は息が止まるかと思った。
なぜなら彼女は、僕が貯金を叩いて一度だけレンタルし、その圧倒的なプロ意識と可憐さに――本気で恋をしてしまった人気No.1レンタル彼女だったから。
学校では誰もが憧れる高嶺の花。
家では親も感心するほど「理想の妹」を演じる彼女。
しかし、二人きりになった深夜のキッチンで、彼女は冷たい瞳で僕を射抜く。
「……私の仕事のこと、親に言ったらタダじゃおかないから」
秘密を共有したことで始まった、一つ屋根の下の奇妙な生活。
彼女は「さらなるスキルアップ」を名目に、僕の部屋を訪れるようになる。
「ねえ、もっと本気で抱きしめて。……そんなんじゃ、次のデートの練習にならないでしょ?」
これは、仕事(レンタル)か、演技(家族)か、それとも――。
完璧すぎる義妹に翻弄され、理性が溶けていく10日間の物語。
『著者より』
もしこの話が合えば、マイページに他の作品も置いてあります。
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/658724858
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。