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第三章 林間学校
18.嘆賞のミーティングと期末考査
ねーじゅ『今回の第二ミッション「林間学校で皆にいいところを見せよう!」の結果についてですが、素晴らしいの一言に尽きます』
称賛すると共に、ゆるぺんくんが、『GJ!』とサムズアップしているスタンプが。
現在夜の八時半丁度。
今日は音楽は流していない。
林間学校での疲れからか、脳が静けさを求めていた。
ブルー『おぉ、最上級の褒め言葉。どうもありがとうございます』
この体たらくと叱責されるかもというのはどうやら杞憂だったようだ。
俺は喜びながら、お返しに、『物書きのアルカヌム』のヒロイン文屋紡希が『ありがとうございます』とペコリと頭を下げているスタンプを。
ねーじゅ『よく頑張ったね、緋本君。カレー作りでの卓越した包丁さばきと、手慣れた火起こしのレクチャー。加えて男らしく頼りになるところを見せた夜の肝試し。極めつけは、ウォークラリーでの、あの危機に瀕したお姫様を救うナイトのような、確かな知識に基づいたクールな対応。いやぁ、元々その内に秘めているスペックが高いのは分かってたけれど、ここまでとはね。感服だよ。これなら次からのミッションも期待出来そうだ』
ブルー『おう。林間学校で数々のイベントを乗り越えてアップデートされた俺を見ていてくれ』
ねーじゅ『おぉ、いつになく緋本君がポジティブだ』
ブルー『それで、次は第三ミッションになると思うんだけど、近々控えているイベントとなると、今度の期末考査か?』
ねーじゅ『そう。という事で始めます。第三回「緋本蒼介成り上がりリア充化プロジェクト」会議!』
ブルー『そのプロジェクト名を、すんなり受け入れようとしている自分がいる事にびっくりだよ。慣れって怖いな』
ねーじゅ『君にもこのセンスが理解出来てきたって事だね。で、第三ミッションなんだけど、やる事は中間考査の時と変わらないから今回はタイトルはつけてないよ。内容は、テスト週間は、毎日放課後に視聴覚室で私と一緒に勉強会。私が対策プリントを作って、それを君が部活組に自分が作ったものとして渡す。そうして、中間考査での十位から、さらに上位を目指す。そんな流れだね』
ブルー『定期考査では、五位以内を狙うつもりでいるよ』
ねーじゅ『ホント、どうしちゃったの? 今日の君はまるで別人だね。君の性格だけを改変したクローンだって言われても、信じちゃうくらい』
ブルー『俺はネガティブがデフォルトだけど、たまにカスタマイズされるんだよ』
ねーじゅ『便利な機能だね。じゃあ目標は五位以内って事で設定しておくね』
ブルー『あまり目立ちたくはないんだけど、今更後には引けないからな。頑張ってみるよ』
そこで文屋紡希が『頑張る!』とガッツポーズしているスタンプを押した。
ねーじゅ『うん。見守ってるよ。認めてもらえるといいね、皆から』
ゆるぺんくんが『頑張れー!』という看板を掲げているスタンプが返ってきて、その日の会議はお開きとなった。
§
テスト週間では、雪代との視聴覚室での勉強会には、中間考査の時よりも頻繁に、生徒会長の樫井さんがお菓子の差し入れを持参して顔を見せた。
俺のカキヨミでの投稿作品を全て読み終えたらしく、『期待していた通りの素敵な純愛ものばかりで、満ち足りた幸せな気持ちになれたよ』といつものゆったりした口調で語ってくれた。
新作を心待ちにしているとの事だったが、未だその朧気なビジョンさえ見えていない。
ここのところ雪代に課されるミッション関係で何かと立て込んでいたというのもあり、構想を練る余裕がなかった。
残された一学期のイベントを全て終えて夏休みに入る前後に取り掛かろうと考えている。
部活組に対策プリントを渡す件に関しては、滞りなく終えられた。
皆今回も期待しているとの事。
信頼を寄せる雪代の手によるものだから、不備はないはずだ。
§
十分な対策をして望んだ期末考査では、中間考査の時以上の手応えを感じた。
テスト問題を高い精度で次々と的中させる雪代の手腕には、舌を巻くばかりだ。
そして訪れた結果発表の日。
朝、雪代と一緒にいつもより早めに登校して、廊下の掲示板に、悠々とした足取りで順位表を見にいった。
結果は、雪代が二位で俺が五位だった。
「またしても目標ギリギリ。余裕綽々で見にいったのに、一瞬ヒヤリとさせられたよ」
俺の中では、三位以内に入っていてもおかしくないだけの感触があったんだ。
「君らしくて、好感が持てるよ。そのドヤった顔から一変して焦り顔に変わるところ、エンジェルフォールかってくらいに落差があったね」
クスクスと可笑しそうにしながら。
「君は二位だから、皮肉を言っても様になってるよな」
天は彼女に幾つの才を与えれば満足するのか。
美貌。優秀な頭脳。卓越した文才──。
俺も少しばかりそのおこぼれに預かりたいものだ。
「これでも悔しがってるんだよ。一位の涼葉に、僅か三点及ばなかっただけだったからね」
「こと成績に関してはあいつは別格だからな。でもそこまで肉薄したなら、次はどうなるか分からないんじゃないか?」
「一位の座を奪う事が私にとってのミッションだね」
「君も自分にミッションを課してるんだな」
「常に上を見てるからね。現状で満足して停滞している気はないよ」
そう言う彼女の眼差しは、未来を見据えるように真っ直ぐ前を向いている。
「さすがねーじゅさん。向上心を忘れないのが人気の秘訣なんですね」
と少しばかり冗談っぽく。
「君も次のミッションに向けて英気を養っておいてね。今日の夜は、Rainでその第四ミッションの会議を開くよ」
「分かった。早めに諸々を済ませて連絡を待ってるよ」
この後、今回もやってきた部活組に、褒められたり感謝されるなどした。
彼らとの絆も徐々に深まってきて、親密度も増していると思いたい。
相変わらず、普段の教室では話しかけられもしないが。
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