それぞれの事情

紫陽花

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第八章 爽

矢島君!飲もう!

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 私は午後打合せが急に入り資料を準備するため資料庫へ行くと、
資料整理を為ていた矢島がいた。
 矢島は、必要な資料を私から聞くとサッサと揃えてくれた。
「悪いね。そっちも大変なのに。」
矢島は笑いながら、
「いえいえ、ほかならぬ爽先輩の為ですからねっ。」
「有難う~可愛いバイト君だこと。そうだ今日食事行く?」
 矢島は少し考えてから、
「ちょっと待って貰って良いですか。」
そう言うと矢島はスマホ出し何やら確認している。
「えっと、後輩から誘いがあったから、良かった!明後日だったので。
じゃあ定時に上がったらロビーで待ってます。」
「OK~じゃぁ後でね」
 私は兎に角絵美の用件を済またかった。
諦めさせるなら早い方が傷は浅くて済む。
嫌な役回りに少し苛立っている私の心。仕方ないよね……好きだから。
 矢島は、定時に上がりロビーにいるとラインか来た。
私は、打ち合わせが入り長引いている事をラインで知らせた。
六時過ぎにやっと打ち合せが終わった。
急いでロビーに降り、小走りで矢島に近づき
「ごめんね~打ち合わせなかなか終わらなくてさ。!」
「お疲れさまです!転ばないで下さいよ!」
矢島が手を挙げて笑う。
どうしよう、なんだか心臓が煩い。
平常心だぞ!頑張れ!私!
「さてと~何食べる?」
「美味しワイン飲みたいです。
でも、高くない奴で~」
「そんなお店ある?」
矢島はスマホの画面を見せてきた。
「ググッてみたらありますよ、
結構お洒落なお店でも」
「そのお店何処?」
お~場所は飯田橋ね
帰り道だ。
「途中下車する事になるよ?
良いなら電話してみるけど」
頷く矢島を確認して電話を入れると、お店は当日OKだったので、席だけの予約を入れて飯田橋に向かった。

「新富町から有楽町線で約13分飯田橋駅から五分か 三十分見れば余裕ですね 楽しみすっ」
矢島が嬉しそうに話す。
もう~こっちまで楽しくなる。
ハァ
これからの事を考えると気が重くなるんだけど……
嫌だなぁ本当馬鹿みたい!
 地下鉄に乗り隣に立つ矢島の横顔を見ると、やっぱりイケメンだなぁなんて感心してしまう。
もし恋人になったら、甘々かな?ツンデレかな?なんて妄想爆裂していたら
「爽先輩!降りますよ!ボォ~として!」
矢島は私を引っ張って降りると
ドアが閉まる!
「もう~何考え事してたんですか?何回呼んでも返事し無いんだから!」
「ごめんね~仕事のこと~」
「はいはい~仕事モードはこれまでね!ここからは無礼講でお願いします!」
そのまんま引っ張られながら
歩きていく。
ちょっとだけの恋人気分!
周りにはどう見えるかな~
擽ったい気持ちになる?
 そのお店は駅からすぐだった。
ググった通りのお洒落な雰囲気
のお店で、迎えてくれたスタッフも感じが良く、席に付くなり矢島は
「これは料理も期待出来ますね!」
「本当楽しみね」
二人は顔見合わせ思わず
微笑みあった。




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